深緑の天使、反逆の使徒

ノベルバユーザー266019

7話 〜目が覚めた〜

昨日は散々な目に会った。
だが、そのおかげで私は道が見えた。
感謝しなくては。
とりあえず、アリスは場所と名前だけ記憶しておこう。
そのためにも、情報収集だ。
反応的に、学園がある場所。
学園の中に入れればいいのだが。
そんな方法でもないものか、と情報屋がよく屋台を開いているという露店街に行ってみる。


朝早くだったが、人はかなり多かった。
もうどんな手も使うからね。あでもR-18なことはしないです。
パンドラの容姿のせいで視線がすごい。
「うわっはっは!あんたすげぇな!いつもこんな情報持ってきてんのか!」
笑い声が聞こえた。
路地を曲がる。異質な空気。黒ローブを深く着た人間がきれいな絨毯の上に乗って前にいる男性に話している。声音からして、ローブの人間は女のようだ。男性が去ってから、黒ローブの前に行く。
「やぁいらっしゃい。お嬢さんはどんな情報をお求めかい?世間話程度でも構わないよ?」
喋り方に癖がある?気がする。まぁどうでもいいが。
「じゃあ学園?でしたっけ?に一般の人でも入れるか教えてください。」
「知らないってことはこの街は初めてかな?学園内に市場があるんだけどね、そこと授業棟には一般でも入れるから、行くといいよ。もし生徒の中に探し人がいる場合もそこがいい。基本的に生徒はそこを利用することになるからね。でも、あんま行かないほうがいいかもよ」
「なぜ?」
「んーとね。ここからはお金が必要なんだけど、いいや。初回サービスということで、教えてあげるよ!なんでも最近、殺人が起きたらしいんだよ。それだけならまだいいんだけど、犯人として、学園から追放された生徒さん、冤罪だったみたいなんだよね。つまり殺人犯はまだ学校の中にいるってことなんだよ。気をつけなね。」
「忠告ありがと。殺人犯には気をつけとくます。サービス料は知り合いに敏腕情報屋として広めくことでいいかな?」
「広めてくれるのかい。嬉しいこったねぇ。」
「ありがとうございました。あそうだ。名前は?」
「じゃあ鴉天狗からすとでも名乗っておこうかな。」
「では〜。」
そう言って学園を目指した。学校の正門前。
【文化祭】
と書かれた立て札が。中はたくさんの人で賑わっている。
「文化祭ってのも教えて欲しかったなぁ。」
呟きながら、普段は無いであろう屋台と人だかりを突っ切る。すると、なぜか半虚ろな目をした3人の学園生集団を発見した。あの子たちが、殺された生徒もしくは冤罪で飛ばされた生徒の友達だろうか。何かなだめてやれば、情報を手に入れられるかもしれない。側から見れば、やろうとしていることは外道の極みだ。だが、なんでも利用すると決めた以上利用していく。
「どうかしたんですか?顔に出てますよ。」
と聞いてみる。ビクッとしてから作ったような笑顔を見せて
「なんでもないですよ。」
と。
「何にもないならさっきみたいな目はしてないですよ。できれば、話を聞かせてもらっていいですか?」
と言って善人を装う。
「そう…いい人なのね、あなた。じゃあ、ちょっと私たちの寮部屋に来てもらえますか?」
「はい」
とにこやかな顔をして言い、部屋に向かった。
「少し前のことなんです。学校の中で殺人事件がおきまして、私達のルームメイトが、冤罪で退学させられたんです。」
「あなた達は、仲が良かったんですね…」
「はい…私なんて、うざいからって理由で戦いを申し込むだなんて無礼な事をしたのに、それでも良くしてもらってたんです。」
金髪ロングの子がさらっと爆弾発言したけど…
「そう…ですか」
と言っておく。
「あ!申し遅れました。わたしはクレナイと申します。後ろにいるのがアドレーヌと“アリス”です。」
「!!!」
何かが怖いです。はい。しかもアドレーヌってこの国の貴族じゃなかったっけ。
「私はパンドラです。すみません、貴族様だとは知らなくて…」
「いいんですよ、それくらい。話を聞いてくれただけ嬉しいので。」
「無礼なことを聞くようですが、冤罪で退学させられたっていう生徒さんのお名前って…」
「ああ、ガヴリィル・ミルキィウェイって言うんです。」
ん?
(あらら。ガブリエル所持者、つまり夕貴ちゃんだね)
ほう?どうやら、濡れ衣を着せた奴は死にたいらしいな。いいだろう。ギタギタにしてやんよ。
「わわっ!すみません!用事を思い出しました!自分で話が聞かせてって言ったのに…」
「いいんですよ、では」
適当なことを言ってその場を離れる。
(アリス発見、だね。)
「反応もそうだったの?」
(うん。多分、今日の夜には彼女に目覚めるだろうね。)
なら良かった。冤罪も、よく考えたら都合がいいことだ。このまま放っておこう。
さて、次の国となるけれど...
 

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魔法と冒険の都ステルヴァ
信仰国家ベテネゼル
に続き、次目指すところは
熱の国レベッカ、である。特徴は、ガスなどの利用をいち早く取り入れたこと。国民みんなが松岡修○レベルでアツイこと。平均気温もアツイこと。とにかくアツイ国。正直、あまり好きになれないと思う。
(ガブリエルがハネルジセスでザドキエルを仲間にしたようだよ。あとアリスをどうにかしようとしてるみたい。アリスは任せようか。)
そうだね。任せよう。
さて、レベッカは、基本的にステルヴァよりは魔族の国に近くない。しかし、一箇所だけ、ステルヴァよりも魔族の国に近い場所がある。そこに、魔物のいる塔があるらしいのだ。そして、天使の反応はそこにある。ならそこに行けばいい、となるのだが、問題があった。私が移動やらなんやらをしている期間で、既に一か月と少しが立っていたのである。なんでも風の噂によると、強くなっていく勇者たちが、誰も最上部に到達したことのないレベッカの謎の塔を登る、というのだ。つまり、私がやっとの思い?でおさらばした集団に鉢合わせする可能性がある。そうなると、かなり面倒い。なにせついこないだまで、私がシーサーペントの謎の召喚により消えた、ということで、あの善人野郎が気負いしていないわけがない。見つければ一緒に戻って魔王を倒そう!だの言ってくるに違いない。魔王なんて興味ねぇよ。むしろ魔王になんてなってやろうか。変装魔法があるが、戦闘中は使ってられない。あれは魔力が結構抜かれる。一応本体の髪の毛は水色に染めてあるが、私はなんというか、目つきがちょっと鋭いので、バレる可能性が高い。でも行かなきゃならんのだけど、ね。そもそも邪魔して来たら殺すつもりなのだけど。


そんなことを思いながら、私は歩いて行った。

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