深緑の天使、反逆の使徒

ノベルバユーザー266019

3話 〜決闘申し込み〜

入学式は非常につまらないモノだった。校長がだらだらと長文を読み上げ、クラスの確認。これだけ。校長の話がやたら長いのはどの世界でも同じ、か。
「だるぅ」
「校長先生の話、長すぎですぅ」
ドアを勢いよく開ける。ガッシャーンと大きな音が出たが、どうやら私達二人が一番乗りのようだ。席順の決まりはないようだ。大学の教室のような感じで、好きな席に座るのだろう。私達二人は、前から三番目、窓側の席にする。机の中に入れられていた教科書等確認し、駄弁っていたところ…
「フン、ここが私の教室のようね」
「そうですわお嬢様」
「お嬢様には少し汚いわね」
お嬢様とその取りまき女子5名がやってきた。
「ほらあの人ですよ、試験日うるさい原因の…」
と小声でクレナイが言ってくれた。ふ〜んと声を出す。
取り巻きがコソコソ話をし、うち一人が、
「お嬢様、あの二人の席、見てください。適量レベルの日差しが差し込んでます。きっと暖かくてお嬢様にはぴったりですわ」
とお嬢様に進言。すると
「そうね。おい、そこの二人。ステルヴァ公爵家、アドレーヌ·ストレイの名において命ずる。そこをどけ!」
私達は顔を見合わせる。私がちょっと笑うと、クレナイは私が何を考えているかわかったらしい。出会って二週間程度なのに、すごいなこいつ。そして私は、一瞬だけ見下すような目をしてから、すぐに笑顔に戻す。そして立ち上がる。
「あら、どいてくれるの?まぁ私の命令に逆らうわけ無いでしょうけど。ふふ」
クレナイは私の中で何かがプチッと切れる音を聞いたらしい苦笑いをする。
「いいえ?これはどかないという意思表示です。」
「な!?貴様お嬢様に何という無礼を!」
「なぜどかないの?まずなぜ、私の絶対命令スキルに逆らえるの?」
ほう、そんなスキルが。
「明確な意思、があるからでしょうか」
適当に答える。
「なぜ、明確な意思を持てるの?今まで見てきた人間は、ストレイ家の名を聞いただけで心が折れるのに…」
「んーと、それには私が考えられる理由でも3つはありますね。一つは、私がクラロイロの貴族であるということ。ニつ目は、私がストレイ家なんて聞いたことがないこと。そして3つ目は…自分は誰にも負けないという自身があるからです」
「誰にも負けない、ですか。なら、放課後にこの学園の修練場に来てください。一年生でも使用可能とのことでしたから。そこで世間知らずな貴族の脳にストレイ家の名と敗北を刻みなさい」
「かっこいい台詞だね?まぁ、お茶会のお誘いとあらば、参上しないわけには行きませんね」
とどこその台詞をとってくる。
そんな私とアドレーヌの論争についていけない他生徒がようやく終わったか、という感じで教室に入ってくる。一番後ろの席に決めたらしいアドレーヌが、もういちど席から教卓前まで降りてくる。するとチョークを手に取り、黒板に何か書き始めた。一応十一歳なので、届かないところは魔法でチョークを動かしながら…
『放課後、一年生用修練場にてミルキィウェイ家の者と決闘す   アドレーヌ』
そう書いていた。はぁ。どうせ私を無様に負かすところを、大勢の人に見てもらいたいんだろうが…ミルキィウェイ書かないでよ。身バレするじゃん。見られていたら関係ないけど。担任─アリサ先生のようだ、がびびってたじゃん。しかも他クラスに見られたよ?アリサ先生が「私も見に行こ」と言っていたけど大丈夫かなぁ?その声が聞こえたのか、アドレーヌがこちらを睨む。おお怖い怖いと意思疎通テレパシーでクレナイに言う。意思疎通テレパシーのことは、クレナイにはやり方と一緒に教えてある。あはは、と笑う声が脳に響いて来た。
「えー今日から君たちの担任になったアリサです!担当強化は魔法です!よろしくお願いします!まずはみんなも自己紹介をしましょう!」
お、おう。把握です。ちなみにクラスは20人いる。A-クラスは特待生を集めた感じなので、人数が少ない。通常は37人ぐらい。みんなの自己紹介が始まった。
「じゃあ俺から行きます!俺の名前はラタールです!属性は火属性です!」
「じゃっじゃあ私も」
とラタールの隣の子が始める。
「わっ私はエリヤです!属性は闇属性で苦手なものは虫です」
おお、昔の私を見ているようだ。
「俺はエイジ!属性は雷、だ!よろしくな、お前ら!」
雷…希少な属性か。
「僕はバジルです。属性は木と水。最近は呪文の暗記に没頭しています」
バジルくん。2属性に暗記が好き、か。すごそうだなぁ」
「ガスニーです。クラロイロって国からきました。属性は火です。親が鍛冶師で、天職が錬成師なので、ある程度の武器なら作れます。よろしくお願いします」
「私はママーレですわ。お嬢様に心血を注いでおります。属性は木ですわ」
「私めはアディ。ママーレと同じ立場ですわ。属性は火です」
「カリンですわ。(ry)属性は水です」
「ハリー(ry)属性は光なのです」
「ナーシー(ry)属性は闇です」
「ふふ。私がアドレーヌです。属性は火、木、土、氷、光。レベルが10です。どうぞよろしく」
「ポリーです。レベッカからきました。属性は火であります。よろしくお願いします」
「ボブだ!適正は火。特に爆発系の魔法をよく使うんだ。よろしくな!」
そんなに簡単に手の内を出していいのだろうか、と思うような紹介だな。
「スイートです。甘い物が好きなの。適正が木で、木属性の魔法で一番甘い砂糖を作れないか研究するためにきたの!よろしくね」
おお、名前もぴったりだねぇ。
「アリス…私の名。魔法適正は木と光。あと剣には自信がある」
「エリィっていうの。属性は教えない!よろしく♡」
こやつ、男子を魅了しにいってるぞ、生意気な。
「シーザーだ。属性は言わないが毒薬は作れる。本を読んでるときは話しかけないでくれ。」
「スノウだよ!偽名で小説家やってたりするから、誰か当ててみてね?属性は光だよ!」
「………………………」
「あっ私か!えっとクレナイです。属性は火で、剣は強いと自負があります。アリスさん、あとでお手合わせ願います!」
「受けて立つ」
と澄んだ声でアリスは言う。
「私か。えーガヴリィルです。武器は弓と剣。ガスニーくんと同じ国から来た。適正は──」
「ふん、どうせ1個なんでしょ?」
うざいなやっぱり。というか、ほかの1属性の人に睨まれてるぞ。
「適正は7属性適正レインボーで、レベルが11です。よろしくお願いします」
「「「「「な!!?」」」」
ああやっぱり7属性適正は珍しいのか。まぁいっか。全員の自己紹介が終わり、席をこの席で確定。取り巻きは納得していないようだったが…初日はそれだけで終わった。
「さて、修練場に行きますか!」

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