命を助けてくれた女騎士がただのくっ殺キチだった件

名無し@無名

にくっ殺

「いやすまない、先ほどの言葉は忘れてくれ」
「……は、はぁ」

 セリアさんはおっと危ない所だった。と言いたげな素振りを見せる。涼やかな顔から険しい顔、そしてまた凛とした表情と、コロコロと顔色が変化していく。
 しかし、この私達のやり取りを続ける上で無視できない事がある。

 それはーーーー

「お、おぅコラ!!何無視してくれてんだよ、あぁ!?」
「兄貴、まとめてヤッちまいましょうよ」
「女騎士!女騎士!」

 そう、律儀に私達のやり取りを静観してくれていたオーク達だ。さっきからイライラしながらも、決して割って入らずに待ってくれていたのだ。しかし、流石に痺れを切らしたのか、オラつきながらも少し申し訳なさそうに前に出てきた。

「む、もう少し待っていろ。今は崇高なくっ殺談義に華が咲いているのだ!貴様らはどうやってアリーシャを陵辱するのかを考えていろ!!」
「え、それなんかヤダ」
「ぐ……舐めやがって!このアマがぁああ!!」

 居た堪れずに、手に持った棍棒を振りかざし襲いかかってくるオーク達。そりゃそうだ、私が逆の立場ならそうする。
 しかし、セリアさんはそれを確認すると、スッと腰の剣に手を置いた。

「やれやれ……堪え性の無い奴らだ」
「お前もひん剥いてやらぁあああ!!」
「それは困るな。仕方がないーー《セイクリッドスラッシュ》!」
「がは……ッ!?」
「あ、兄貴ぃいい!!」
「女騎士つよい!女騎士つよいッ!?」
「ふむ、またやってしまった。一番狡猾そうな見所のあるオークだったのだが」
「つ、強い!?」

 白い刀身が煌めくと、襲いかかって来たオークは一瞬のうちに両断された。息一つ乱さず、涼しげな表情のままで残りのオークに視線を向けた。

「さて、お前達はどうする?私に斬られるか、逃げ果せて生き延びるか選ばせてやる」
「ひ、ひぃッ!?」
「女騎士怖い!女騎士怖い!」

 バタバタと、辿々しい足音を立てて、残された二頭のオークは一目散に逃げ出した。

「ふぅ、これでやっと落ち着いて話が出来るな」
「あ、あの!逃して大丈夫なんですか!?その……報復とかあるんじゃ……」
「むしろ望むところだ。醜悪さに磨きをかけて襲ってくるといい。その方がより興奮出来る」
「…………」

 見た目と反して頭の中は相当だろうなと、助けてもらっておいてそう理解した。
 でもあの剣の腕前は間違いない。素人目から見ても相当なものだ。ならば、私のとるべき行動はただ一つ!!

「あ、あの、セリアさん!」
「む?」
「わ、私を是非、弟子にして下さい!!」
「うむ、良いだろう」
「即答ですか!?……でも、ありがとうございます!」
「私がお前を、誰よりも見事な『くっ殺女騎士』に育て上げてやる」
「えッ!?いや、そうじゃなくて剣をーー」
「さぁ、そうと決まれば次の現場に行くぞ!!欲にまみれた醜いオークが大量に住む穴場があるのだ!」
「ちょッ……いや、ちがッ……あ、引っ張らないでーー!!」

 こうして、私は騎士としての道(ベクトルとしては明後日の方向)を歩む事になったのでした。

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