命を助けてくれた女騎士がただのくっ殺キチだった件

名無し@無名

いちくっ殺

 突如現れた金髪の騎士。
 ゆるく巻かれた横髪、後ろ髪は三つ編みを数本作り、それを束ねるように纏められていた。鎧は真っ白で汚れ一つ無く、その美しい出で立ちは、かのジャンヌダルクを彷彿とさせた(本で見ただけですけど)。
 しかし、その騎士さんはオークを無視して私に歩み寄った。近くでみると、白魚の様な肌に凛とした表情が確認できる。鎧さえ来ていなければ、どこかの令嬢と言っても信じるくらいの美女だった。
 しかし、その美人女騎士さんは私を険しい顔で見下ろしている。あれ?助けに来てくれたと言うには少し様子がおかしいぞ?

「……あ、あの」
「お前、名前は?」
「へ!?……アリーシャと言いますケド」
「ふむ、アリーシャか。清純そうで悪くない名だ」

 そう言いながら、さらに私の姿を品定めするかの如く、上から下まで見つめていた。

「あ、あのー……」
「アリーシャよ、さっきも言ったが、なんだあの『くっ殺』は」
「は、はぃい!?」
「ピンクの髪、若い見習い騎士、人気の無い森の中、ガタイのいいオーク。これだけのシチュエーションが揃っておきながら、あんな間の抜けた『くっ殺』しか出せないなんて恥ずかしいとは思わんか?」
「あの、言ってる意味がーー」
「ああ、すまない熱くなった。私は『くっ殺特別認定官』を務めるセリア・ルノワールだ。ありとあらゆる『くっ殺』の現場に趣き、その『くっ殺』に点数を付けている」
「くっころに……点数?」
「そうだ!」
「あ、あのぉ、一つ質問いいですか?」
「なんだ?」
「くっころって何ですか?」
「ーーなに!?」
「いえ、さっきから連呼されているやつですけど」

 私の言葉に目に見えてワナワナしだしたセリアさん。そして、大きく深呼吸をし、スカートのポケットから出した細やかなレースの入ったハンカチで汗を拭いた。

「まさかとは思うが、『くっ殺』を知らないのか?」
「え、あ……はい」
「嘘をつけ!貴様はそれでも女騎士だろう!?ならば知っていて当然の筈だ!いや寧ろ小学校で習わなかったか!?」
「私の記憶している限り、義務教育では習いませんでしたが……」
「なんと……なんと言う事だ!じゃあつまり、さっきの『くッ……もう殺して!!』のセリフはーー」
「と、咄嗟に出たもので……深い意味は特に。な、何かマズかったですか?」
「ああ!大いに!じゃあ何か?あの言葉はつまり、昨今における在り来たりな『くっ殺』では無く、初出しナチュラルボーンバージンくっ殺だったと言う事なのか!?」
「ますます分からなくなったんですけど」
「私とした事が……こんなダイヤの原石の『初くっ殺』に20点など点数を付けてしまうなんて……不覚!!」

 目に見えて取り乱すセリアさん。
 なんだろう、不思議な人だけど、この少しの絡みで解った事がある。

 多分、この人ヤバイ人だ。

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