命を助けてくれた女騎士がただのくっ殺キチだった件

名無し@無名

プロローグ

 
 ーーむせ返る獣の匂い。

 泥臭さと汗が混じった、そんな顔を背けたくなる匂いに私は包まれていた。
 その匂いを発している主達は、様々な感情を込めた醜悪な顔で私を見下ろしている。抗おうにも、私の両手は太い木の後ろに回され、そして縄で縛られている。精一杯足掻いてみたが、やはりそれでも事態は解決しなかった。
 陽も沈みかけ、辺りは夕闇に染まろうとしている。そんな森の中で、人気の無い森の中で、私は三体のオークに囲まれているのだ。
 人間の大人より一回り大きい、豚の様な顔を持った人型の獣。低脳ではあるが力は有り、ナメて掛かると酷い目に合う。そう、今の私みたいに。

「げっへへ、こんな辺鄙な所に来るとは、物好きの女騎士もいたもんだなぁ」
「なぁアニキ、さっさとひん剥いて楽しもうじゃねぇか?」
「女騎士!女騎士!」
「ッ……寄るなッ!!」

 私は殺意を込めた視線を向けるが、奴らは相変わらず下品な笑いを浮かべるだけだった。

(……くそっ、なんとかしなくちゃ。このままじゃ……私はーーこの醜い魔物に!!)

 何度も縄を解こうともがく。
 しかし、どれだけ抵抗しても、私に自由は無いらしい。

「さぁて、惨めな姿を眺めるのも飽きたな。じゃあ兄弟、服を剥いでいけ」
「ひひッ、任せとけぇ!」
「や、やめろ!触るな!!」

 どんどん近く獣の匂い。
 私は、こんな魔物に陵辱されてしまうの?
 嫌だ。
 嫌だ嫌だ嫌だ!
 こんな思いをするくらいならいっそーー。



「くッ……もう殺して!!」











「ーー駄目だ、それじゃあ20点だ!!」
「……えッ?」
「とうッ!!」

 突然、岩場の上から声が響く。
 その声の主はそこそこ高い岩場から飛び降りると、軽快に着地し、そしてゆっくりと此方に歩み寄る。優雅さと気品を兼ね備えたその歩み。そしてようやくその姿が確認できる所まで来た。

「なんだその『くっ殺』は!貴様の『くっ殺』ではこの素晴らしいシチュエーションが台無しではないか!!」
「…………はい?」

 純白の鎧を見に纏った金髪色白の女騎士。
 その見た目と相反するヤバみに、私の頭は真っ白になりそうだった。

「命を助けてくれた女騎士がただのくっ殺キチだった件」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く