たとえ世界を敵にまわしても、

緑色の無糖

#三十 「神山ぁぁぁぁ!!!」 (神山)

 副兵士長が案内したのは戦いやすそうな広い部屋だった。

「ここにいるのか?」
「そう見えるかい?ええ?」
「やっぱりな…信じる方が間違いだった」

 副兵士長は神山を騙して、嘘の案内をしたようだ。

「ここには俺の部下はいない。人質が居なくなったわけだ!」
「俺はシェリアの所へ案内しろと言った。案内しなければお前の部下を全滅させるとも」

 副兵士長は重そうな兜を脱ぎ、顔を露にする。汗を拭い、ニヤリと笑ってから兜を被る。腰から剣を引き抜き神山に向ける。

「だから離した。さあ、勝負だ!」
「……こい、カブトプロクター…」

 空間にヒビが入り、カブトプロクターが飛んでくる。
 カブトプロクターは副兵士長に突進し、攻撃をする。

「っがうぐ!」

 神山はカブトプロクターを手に取り、いつの間にか巻かれていたベルトにセットする。
 
「変身…」
『ヘンシン』
「ブロウアウェイ」
『ブロウアウェイ』

 前の様に発射されたアーマーは部屋の壁にぶつかり、床に落ちる。
 部屋の入り口をアーマーが固めてしまったが。

『チェンジ、ライトビートル』

 カブトムシの角にシンプルな赤い装甲。

「お前は選択を誤った。素直に案内すればいいものを…アクセルタイム!」
『アクセルタイム』

 神山はベルトの横を叩くと低い男性の声でアクセルタイムと発音される。
 副兵士長は全く動いていない。
 アクセルタイムは神山自身の時間を加速させるものだ。
 原理は神山にも分かっていない。
 分かっているのはカブトプロクターを作ったP団だけだ。

 神山は天井を突き破り、上の階へ行く。
 そこにはチェロが身を潜めていた。
 神山はそれを無視し、さっきの兵士たちと戦っていた部屋の上まで行く。
 今度は床を破壊し、下の階まで降りる。

 蹴りで兵士全員を薙ぎ払い気絶させる。
 さっきと同じルートで副兵士長の部屋へ戻り、地面に着地する。
 
『オーバータイム』

 アクセルタイムの効果が切れ、神山の時間の加速がなくなる。
 副兵士長は何が起こったのかわからない様子で辺りを見回す。
 神山はカブトプロクターを外し、変身を解除する。

「何をした!?」
「お前の部下は全滅させた。生きてるかどうかは自分で確認しろ」
「くっ……くそ!」
「次はお前だ」
「神山ぁぁぁぁぁ!」

 副兵士長は叫んだ。とても大きな声で。

「認めない!兵士長が来ればお前なんか!」
「ほう?兵士長は強いのか?」
「ああ!強いとも!」

 副兵士長は自分の事のように語る。

「兵士長はとても強い!なんたってあのキドタクヤに勝利したのだからな!」
「それが俺より強いという根拠か?」
「そうだ!」

 副兵士長の主張を聞いた神山は呆れた顔をする。
 そして自信満々に、

「一番強いのは俺だ。兵士長ではない」

 言い放った。

「お前のとこの兵士長は俺の部下の鬼戸に手加減してもらってやっと勝てるくらいだ」
「キドは本気だったさ。たぶんな」
「獣宿しと言っていたか?」
「そんな言葉。聞いたことがないね」
「なら手加減していたな」

 獣宿し。鬼戸 たくやは本気の戦いにしか使う事がない。
 兵士長戦で使わなかったと言うことは手加減をしていたと考えるのが普通だ。

「サラ姉!ヒヨリ!中に入る方法を手分けして探そう。兵士は全滅していることに懸ける!」

 古屋の声が聞こえた。

「来たか。ならそろそろ片付けよう」
「何!?」

 神山は副兵士長に瞬時に近づき、回し蹴りをする。
 副兵士長の首に当たり、勢いよく体ごと吹っ飛ぶ。出入口に向かって。
 扉を破壊し、廊下の壁に叩き付けられる。
 廊下には古屋、サラ、ヒヨリが居る。
 神山は既に気絶して意識が無い副兵士長に向かって、

「俺は『神の山の天の星』。『神山 天星』。この名をよく覚えておけ」

 堂々と言い放った。



 やっと…やっと三十話だ…。
 古屋編と神山編が三十話ずつ書き終える事が出来たので次回の投稿は古屋編の31話です。
 キャラ紹介も新しい話として投稿するので、よろしくお願いします。
 そして、ありがとうございました。
by緑色の無糖

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