Regulus

有賀尋

Surprising present〜recollections〜

「ったく、大変なの分かってただろ」
「分かってたけどさ...」

俺達は何をしているか。
そう、これはほんの少し前に溯る。

俺の誕生日プレゼントと称して由真がチョコレート風呂に入った自分がプレゼントだと言った。

それはいい。

が、しかし。

キッチンは大量のチョコレートを溶かしたおかげでボウルがすごい山になっていたし、1番悲惨だったのは風呂だ。
誰も使わないとはいえチョコレートまみれにしたおかげで掃除が大変だ。
使用人だけには任せておけないので、風呂掃除を受け持った。
そしてこれには少し問題も発生した。

チョコレートをどこに流すか、だ。

ただ下水に流すわけにもいかない。かと言って外に流すのも...。結局水道局に連絡をしたところ流していいということを聞いたので申し訳ないと思いつつも流した。
そのあとは2人で大掃除だ。たまに使用人にお願いをして俺達が掃除をする。

「ったく、大変なことしてくれたなお前」
「そうだけどー、遥喜んでたじゃん」

...それはもう。嬉しかったことこの上ない。

が、しかしだ。

「後先考えてないのはどうかと思うが?」
「...分かってるよ」

そう言いつつ2人で掃除をして終わる頃には数時間経っていた。
チョコレートを落とすのと、匂いを消すのに時間がかかった。

「あー...疲れた...」
「いい運動みたいになったじゃん...」
「いい運動って...」
そう言って2人で浴場の綺麗になった床に寝転ぶ。
濡れるのなんてもう知ったこっちゃない。

「...ま、いっか」
「...いいの?」
「楽しかったからな。けど、俺はしばらくチョコレートは要らない」
「...奇遇、俺も要らない」

そう笑いあって浴場を出た。
たまにはこんな日があってもいい。

だが、数日間体からチョコレートの匂いが消えなかったのは余談だ。

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