Regulus

有賀尋

Of the Valentine day before, the common usage

2月14日。

聖バレンタイン。
こう呼ばれる由来は、その昔、ローマでは若い男女の結婚が禁止されているのにも関わらず、キリスト教徒であるバレンタインという人が密かに結婚させていて、それが皇帝にバレて処刑された日だった、とか、キリスト教で風紀が乱れるとして殉職者のお祭りにした、とか諸説ある。

かく言う僕も例外ではなく。

今日は2月13日。
毎年Regulusの皆にお菓子をあげるのが恒例行事になっていて、今年も何を作ろうか考えあぐねていた。

「...去年は確かフルーツタルト作ったんだっけ…遥甘いものそんなに得意じゃないから作ったんだけど…今年はどうしようかな…」

慶に本命をあげるのは当たり前としても、由真と遥には何をあげよう...。

考えた挙句、今年はウィスキーボンボンを作ることにした。

そもそも、ウイスキーボンボンは日本の呼び名で、正確にはフランスのお菓子のひとつ、ボンボンが原型だ。
ボンボンはナッツやフルーツを等を砂糖で包んだお菓子のこと。でもボンボンの定義は広くて、よくお店に売ってるゼリービーンズ、馴染みのある金平糖、グミ、マシュマロ、ガムなんかもその仲間に入るらしい。
その後に洋酒をチョコレートでコーティングするお菓子ができた、それが、「ボンボン・ア・ラ・リキュール」、洋酒入りのお菓子、という訳だ。

洋酒をウィスキーと選び、チョコレートでコーティングし、日本で商品化されたものがウイスキーボンボンである。
幸い、遥の家が共用ハウスになって、今日は僕ひとりがオフだったし、ちょうど良かった。家で作るにはバレるし、ユキやテルがいる。実家じゃ遠い。
それに、重要なウィスキーはウィスキー好きの遥とあってか、家にたくさんあった。

いいものが無いかと探していると、たくさん出てきた。家に置いておける安いものからいくらするんだと言うくらい高いものまで。その中で封が開いている3本の瓶を見つけた。

「ジョニーウォーカーブラックラベルとメーカーズマーク...えっ、ロイヤルサルートまで...封開いてるし...ちょっと借りよう...」

ちょっと拝借して作り始める。でもウィスキーボンボンは初めてだったから流石にレシピを見た。
コーンスターチで型を作ってウイスキーシロップを3種類3つずつ、それを型に入れて約半日。寝かせている間は慶のためにマカロンとトリュフチョコを作った。固まったらそのあとは型から出して低温にしたチョコレートでコーティング。チョコ作りは時間がかかる...。

チョコが固まるまで冷蔵庫に入れて、固まったら綺麗にラッピングをする。
慶のはウィスキーボンボンと、もう一つ特別にマカロンを作った。

...渡す明日が楽しみだ。

「喜んでくれるかな、3人とも...」

僕はワクワクしながら家の帰路に着いたのだった。

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