Regulus
Moments of happiness
「志輝くん、目線こっち向けてくれるー?慶くんもー」
...どうしてこうなってるんだろう。
Regulus復活はメディアにも大々的に取り上げられて、仕事が増えた。顔出しも増えたし、曲の依頼も増えた。
もちろん由真を通してだけど。
今回は雑誌の取材だって聞いてたけど...。
...聞いてないよ、グラビアがあるなんて!
Regulusの巻頭表紙の撮影はすぐに終わったのに、その後由真と遥がはけて「お二人のグラビアいきまーす」なんてさ!しかも由真と遥もグラビアがあるって言ってたけど別スタジオだからっていなくなっちゃったし!
慣れない事をしてるとどうしても表情が固くなる。これは由真に言われたんだっけ。
しかも今回はワイシャツ1枚で全身水を被った。濡れてて気持ち悪いけど慶を見てるとすごくドキドキする。何をしても慶はかっこいい。
「じゃあ2人くっついてー、それで、キスしそうな位で慶くん近づいてー」
「はい」
ちょ、ちょっと待って!?
そんなのもあるの!?
む、無理無理!無理だよ!
慶は言われた通りに近づいてきて、本当にキスできそうなくらいで止まった。
「はーい目線二人とも目線だけくださーい」
僕は慶の目線から逸れたくて目だけをカメラに向けると、シャッターの音がした。
「...志輝、こっち見ろよ」
「...へ?」
慶に言われた通りに目線を戻すと目が合ってふっと慶が僕にしか見せない顔で微笑んだ。
それを見て僕もつられて微笑み返すと1発OKが出た。
その後にも何枚か撮った。みんなに見せて決めるって言ってたけどそれはそれで恥ずかしいような...。
撮影と取材が順調に進んで終わると、僕は由真に声をかけられた。
「ところで志輝ー?衣装のデザは決めたの?」
ぎくっと肩が自然に跳ねた。
「...志輝ー?」
「...すみません、まだです...」
「まだなの?デザイナーと決めてって言ったよね」
「だって由真が全部却下するから...!」
次の衣装のデザインを決めていく時に、僕のだけ由真が尽く否定された。
「えー、このデザは流石にダサい」
「...でもキーボード弾けなきゃ意味ないし...」
「ダメ、重い。コンセプト合わない」
「いや、でも動きやすいし…」
「この色は相性悪い、却下」
「...うー...えー...」
ひたすらこんな感じだ。
そして今日もデザイナーさんと僕だけで居残りで考えないといけない。
「決まんなかったら居残りだから」
「そんなぁ...」
「志輝居残りなら俺達は飲みに行こうぜ」
「え、待っててくれないの!?」
「俺は待っててもいいけど」
「いいから行くよー、じゃあお先ー」
唯一の助け舟の慶も由真と遥に引きずられて行ってしまった。
結局由真に案を出しても却下が繰り返されて、やっとOKを貰った時には既に日付を超えていたし、終電もなくなっていた。
「すみません、こんなに遅くまで...」
「大丈夫ですよ、お気をつけて帰ってください。タクシー呼んでありますから」
ありがたくタクシーを使わせてもらう。
...疲れたな...少し寝てもいいかな…
そんなに距離はないけど、ちょっと疲れた。僕はタクシーの中で少しの間意識を手放した。
着いた頃だろうと思って目が覚めるとすぐ目の前で、家の前でタクシーを降りる。
慶は寝てるだろうな…。
そう考えながらエントランスを抜けると、エレベーターで慶が待っていた。
「...慶?」
「おかえり、待ってた」
「待ってたって...いつから...?」
「5分前くらい。デザイナーさんから連絡あったから」
なぜか僕の時は関わる人から慶に連絡が行く。遥と一緒だったら遥が送ってくれるし、由真だったらタクシーを呼んでくれる。でも帰った先には必ず慶がいる。
「そっか、ただいま。寝てたでしょ?」
「いや、起きてた。帰ろう、テルとユキが待ってる」
「...うん」
エレベーターに乗って玄関を開けると慶が真っ先に入っていって、玄関先で腕を広げた。僕は慶に近寄って大人しく腕の中に収まる。
「おかえり、志輝」
「...ただいま、慶」
慶がキスをしてくれる。それは僕にとってとても甘い。リビングに入ると2匹が駆け寄ってきて、1回ずつ吠えた。
「ただいま、ユキ、テル」
2匹の頭を撫でると満足したようで自分のベッドに戻って行った。帰りを本当に待っていてくれたらしい。
「...デザできた?」
「うん、由真に却下されまくったけどなんとか、ね...」
ソファーに並んで座る。僕は慶に寄りかかって目を閉じる。
...幸せだ、こんなふうに出来てるなんて。
「...志輝?」
「...うん...?」
「眠いなら寝るか、行こう、ベッド」
「...うん...」
「...仕方ないな」
ふわっと抱き上げられた感覚があった。慶の心臓の音が心地いい。慶の匂いがする。
慶に包まれてその日は眠った。甘やかされてる僕は、すごく幸せだ。
グラビアの写真は結局2人で微笑んだ写真に決まったのは言うまでもなく、残りの写真はデータでくれて、僕がそのおかげで風邪をひいたのは余談だ。
...どうしてこうなってるんだろう。
Regulus復活はメディアにも大々的に取り上げられて、仕事が増えた。顔出しも増えたし、曲の依頼も増えた。
もちろん由真を通してだけど。
今回は雑誌の取材だって聞いてたけど...。
...聞いてないよ、グラビアがあるなんて!
Regulusの巻頭表紙の撮影はすぐに終わったのに、その後由真と遥がはけて「お二人のグラビアいきまーす」なんてさ!しかも由真と遥もグラビアがあるって言ってたけど別スタジオだからっていなくなっちゃったし!
慣れない事をしてるとどうしても表情が固くなる。これは由真に言われたんだっけ。
しかも今回はワイシャツ1枚で全身水を被った。濡れてて気持ち悪いけど慶を見てるとすごくドキドキする。何をしても慶はかっこいい。
「じゃあ2人くっついてー、それで、キスしそうな位で慶くん近づいてー」
「はい」
ちょ、ちょっと待って!?
そんなのもあるの!?
む、無理無理!無理だよ!
慶は言われた通りに近づいてきて、本当にキスできそうなくらいで止まった。
「はーい目線二人とも目線だけくださーい」
僕は慶の目線から逸れたくて目だけをカメラに向けると、シャッターの音がした。
「...志輝、こっち見ろよ」
「...へ?」
慶に言われた通りに目線を戻すと目が合ってふっと慶が僕にしか見せない顔で微笑んだ。
それを見て僕もつられて微笑み返すと1発OKが出た。
その後にも何枚か撮った。みんなに見せて決めるって言ってたけどそれはそれで恥ずかしいような...。
撮影と取材が順調に進んで終わると、僕は由真に声をかけられた。
「ところで志輝ー?衣装のデザは決めたの?」
ぎくっと肩が自然に跳ねた。
「...志輝ー?」
「...すみません、まだです...」
「まだなの?デザイナーと決めてって言ったよね」
「だって由真が全部却下するから...!」
次の衣装のデザインを決めていく時に、僕のだけ由真が尽く否定された。
「えー、このデザは流石にダサい」
「...でもキーボード弾けなきゃ意味ないし...」
「ダメ、重い。コンセプト合わない」
「いや、でも動きやすいし…」
「この色は相性悪い、却下」
「...うー...えー...」
ひたすらこんな感じだ。
そして今日もデザイナーさんと僕だけで居残りで考えないといけない。
「決まんなかったら居残りだから」
「そんなぁ...」
「志輝居残りなら俺達は飲みに行こうぜ」
「え、待っててくれないの!?」
「俺は待っててもいいけど」
「いいから行くよー、じゃあお先ー」
唯一の助け舟の慶も由真と遥に引きずられて行ってしまった。
結局由真に案を出しても却下が繰り返されて、やっとOKを貰った時には既に日付を超えていたし、終電もなくなっていた。
「すみません、こんなに遅くまで...」
「大丈夫ですよ、お気をつけて帰ってください。タクシー呼んでありますから」
ありがたくタクシーを使わせてもらう。
...疲れたな...少し寝てもいいかな…
そんなに距離はないけど、ちょっと疲れた。僕はタクシーの中で少しの間意識を手放した。
着いた頃だろうと思って目が覚めるとすぐ目の前で、家の前でタクシーを降りる。
慶は寝てるだろうな…。
そう考えながらエントランスを抜けると、エレベーターで慶が待っていた。
「...慶?」
「おかえり、待ってた」
「待ってたって...いつから...?」
「5分前くらい。デザイナーさんから連絡あったから」
なぜか僕の時は関わる人から慶に連絡が行く。遥と一緒だったら遥が送ってくれるし、由真だったらタクシーを呼んでくれる。でも帰った先には必ず慶がいる。
「そっか、ただいま。寝てたでしょ?」
「いや、起きてた。帰ろう、テルとユキが待ってる」
「...うん」
エレベーターに乗って玄関を開けると慶が真っ先に入っていって、玄関先で腕を広げた。僕は慶に近寄って大人しく腕の中に収まる。
「おかえり、志輝」
「...ただいま、慶」
慶がキスをしてくれる。それは僕にとってとても甘い。リビングに入ると2匹が駆け寄ってきて、1回ずつ吠えた。
「ただいま、ユキ、テル」
2匹の頭を撫でると満足したようで自分のベッドに戻って行った。帰りを本当に待っていてくれたらしい。
「...デザできた?」
「うん、由真に却下されまくったけどなんとか、ね...」
ソファーに並んで座る。僕は慶に寄りかかって目を閉じる。
...幸せだ、こんなふうに出来てるなんて。
「...志輝?」
「...うん...?」
「眠いなら寝るか、行こう、ベッド」
「...うん...」
「...仕方ないな」
ふわっと抱き上げられた感覚があった。慶の心臓の音が心地いい。慶の匂いがする。
慶に包まれてその日は眠った。甘やかされてる僕は、すごく幸せだ。
グラビアの写真は結局2人で微笑んだ写真に決まったのは言うまでもなく、残りの写真はデータでくれて、僕がそのおかげで風邪をひいたのは余談だ。
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