Regulus

有賀尋

Moon Under the Beauty

―僕は君のために歌を作ろう。―

君がいると音が動く。
動いた音に君の言葉が乗る。
そうすると見える世界は変わる。

いつも誰かを思って作る訳では無いけど、どんな曲を書いてもそれは君のための歌になってしまう。
たまにらしくない曲も作る。
だけどその音は繊細で、真っ直ぐ聞く人に伝わるはず。
たまに聞かれる質問にこんなのがある。

「この曲は誰かを意識して作ったんですか?」

と。

無意識にそうなっているんだ。
隣に居るから、ずっと見てきたから。
僕にしか分からない君の顔があるから。
君が歌うから、僕が作った曲は命を持って輝く。
皆が奏でるから、僕の作った曲が皆の色に染まっていく。

このグループのムードメーカー。グループの広告塔。でもその裏ではとにかく努力する。喧嘩するほど仲がよくて、2人が下を支えてくれるおかげで土台ができて、そこに声が乗って、コーラスが乗ってハーモニーが重なる。
それが合わさってやっとひとつになって。真っ直ぐに見たままを感じたままを君が歌詞にする。だから曲を聞いた人が涙を流す。

君の歌う顔が好き。
君の書く歌詞が好き。
真っ直ぐに見る目が好き。
真剣に向き合う目が、マイクの前に立ってギターを弾く君が好き。
背中を合わせて体重を預けてくれる。
背中から伝わる体温が心地いい。 
そっと抱きしめてくれる体温が心地いい。

君が目を覚ましてから、僕の時間は動き出した。絡まった糸がするする解けていくみたいに、電池を変えた時計の秒針が動き始めるように。
だからメロディが出来た。歌詞ができた。
僕が作った僕の曲。君と2人だけの曲。
僕らしくもないしこのグループらしくもないって言われたくらい切ないバラード。
でもこれは、僕の気持ちを思いっきり詰め込んだ。

ねぇ、聞いて。
僕はこんなに君が好きなんだ。
この気持ちを歌にして届けるよ。
だから、この気持ちがどうか届きますように。

 曲のタイトルは―。

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