勇者の魂を受け継いだ問題児
*剣聖からの伝言―1*
フィリシアたちとの朝食を終え、センリとクロードは再び男子寮へと向かっていた。
すると、隣を歩くクロードが満足気に言ってきた。
「いや~、美味かった美味かった。美女3人に囲まれて食う飯は格別だな~!お前もそう思うだろ?」
「……ああ、そうだな」
クロードの言葉に、センリは適当に相槌を打って応じる。
だが美女3人に囲まれて云々はともかく、クロードの言う通り、確かに飯は美味かったと思う。
食事なんて生きる為の作業でしかないと思い、今までカップ麺や冷食ばかりを食べていたが、暫くロクな飯を食ってなかったせいか、センリの中にある『食』への価値観が少し変わった。
「……なぁ、センリ」
「なんだ?」
そんな事を考えていると、隣を歩くクロードがこちらを振り向かずに言ってきた。
「お前って、ソーマと喧嘩でもしてんの?」
「……なんだよ、いきなり」
「いや……昨日、あいつが部屋に戻ってきてから様子が少しおかしくてな……俺が帰った後に何かあったのかな~って」
「…………」
そんな事を言われたので、昨日の出来事を思い出してみる。
"なんか本当につまんねぇ奴だな、お前"
"もういい。力も無い上に努力もしない……本物のクズに期待していた僕が悪かった"
"もう、二度と僕に話しかけないでね"
「…………」
喧嘩とは、互いに言い合ったり殴り合ったりする事だと思うのだが、昨日の出来事を思い返してみると、俺があいつに一方的に甚振られただけだった。
果たしてこれは喧嘩というのだろうか。
俺の全てを否定され、拒絶され、そして立ち去っていった。
ただ、それだけ。
だから、俺はクロードの言葉に―――
「別に、喧嘩なんかしてねぇよ」
「……そうか?」
「ああ」
「…………。わかった。そういう事にしておくよ」
「…………」
センリが頷くとクロードは小さく嘆息し、それ以上は何も言ってこなかった。
―――それから、数分後。
気が付くと既にセンリは自分の部屋の前まで辿り着いていた。
そこでクロードがこちらを振り向いて口を開く。
「そんじゃあな。俺、あっちだから。また機会があったら3人で一緒に食おうな?」
「……機会があれば、な」
「はは。相変わらずだな、お前」
センリの言葉にクロードが苦笑し、そのまま去っていった。
「…………」
それを暫く見つめ、角を曲がってクロードの姿が見えなくなってから、胸ポケットに入れてあるステータスプレートを取り出して鍵を開ける。
そして部屋の中に入ってドアを閉め、自分の部屋の中にいた人物を睨み付ける。
すると、俺の部屋で寛ぐ不法侵入者がこちらを見つめて言ってきた。
「おや……?随分と早起きなのですね。てっきりまだ寝てるのかと思ってましたが……」
すると、隣を歩くクロードが満足気に言ってきた。
「いや~、美味かった美味かった。美女3人に囲まれて食う飯は格別だな~!お前もそう思うだろ?」
「……ああ、そうだな」
クロードの言葉に、センリは適当に相槌を打って応じる。
だが美女3人に囲まれて云々はともかく、クロードの言う通り、確かに飯は美味かったと思う。
食事なんて生きる為の作業でしかないと思い、今までカップ麺や冷食ばかりを食べていたが、暫くロクな飯を食ってなかったせいか、センリの中にある『食』への価値観が少し変わった。
「……なぁ、センリ」
「なんだ?」
そんな事を考えていると、隣を歩くクロードがこちらを振り向かずに言ってきた。
「お前って、ソーマと喧嘩でもしてんの?」
「……なんだよ、いきなり」
「いや……昨日、あいつが部屋に戻ってきてから様子が少しおかしくてな……俺が帰った後に何かあったのかな~って」
「…………」
そんな事を言われたので、昨日の出来事を思い出してみる。
"なんか本当につまんねぇ奴だな、お前"
"もういい。力も無い上に努力もしない……本物のクズに期待していた僕が悪かった"
"もう、二度と僕に話しかけないでね"
「…………」
喧嘩とは、互いに言い合ったり殴り合ったりする事だと思うのだが、昨日の出来事を思い返してみると、俺があいつに一方的に甚振られただけだった。
果たしてこれは喧嘩というのだろうか。
俺の全てを否定され、拒絶され、そして立ち去っていった。
ただ、それだけ。
だから、俺はクロードの言葉に―――
「別に、喧嘩なんかしてねぇよ」
「……そうか?」
「ああ」
「…………。わかった。そういう事にしておくよ」
「…………」
センリが頷くとクロードは小さく嘆息し、それ以上は何も言ってこなかった。
―――それから、数分後。
気が付くと既にセンリは自分の部屋の前まで辿り着いていた。
そこでクロードがこちらを振り向いて口を開く。
「そんじゃあな。俺、あっちだから。また機会があったら3人で一緒に食おうな?」
「……機会があれば、な」
「はは。相変わらずだな、お前」
センリの言葉にクロードが苦笑し、そのまま去っていった。
「…………」
それを暫く見つめ、角を曲がってクロードの姿が見えなくなってから、胸ポケットに入れてあるステータスプレートを取り出して鍵を開ける。
そして部屋の中に入ってドアを閉め、自分の部屋の中にいた人物を睨み付ける。
すると、俺の部屋で寛ぐ不法侵入者がこちらを見つめて言ってきた。
「おや……?随分と早起きなのですね。てっきりまだ寝てるのかと思ってましたが……」
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