勇者の魂を受け継いだ問題児
*暗黙の掟*
「…………リ…………セ、リ…………」
「…………」
「……ちょっと、センリ!!」
「…………んだよ、うるっせぇな……」
心の中だけでの力説を止め、センリは声を掛けてきたソーマを睨み付けてそう応じた。
「……うるさいじゃないよ。僕たちがわざわざ説明してあげてるのに、君はずっと上の空だし……」
「……別に説明なんかいらねぇよ。もうこの状況は受け入れたから」
「……は?」
センリのその言葉に、ソーマとクロードが驚いたように目を見開き、顔を見合わせて同時に言った。
「……凄いな……」
「……本当かよ……」
「…………」
二人のこの反応を見る限り、やはりコレはこの世界の常識というわけではないらしい。
少しだけ安心した。
やはり、おかしいのは俺ではなく学院側なのだ。
そんな事を考えて、センリが二人に問う。
「……で?寮長とやらは何処にいる? そいつに言って手続きすりゃ良いんだろ?」
「……ッ……!!」
「……ッ……!!」
「……むぐ――ッ!?」
しかし、センリの言葉に、いきなり驚いたような表情になるソーマとクロード。
二人が慌てて、センリの口を塞いでくる。
「……なん、だよ……いきなり……ッ!!?」
センリは二人の手を振り払おうとするが、その前にソーマが声を潜めて言ってくる。
「……いいかい?センリ……言い忘れてたけど、学生寮ではいくつかの暗黙の掟があるんだ」
「……はぁ!?暗黙の掟!?なんだそれ……!? って、んな事より手ェ放せっつの!!」
いい加減、頭にきたセンリが、今度こそ力ずくで二人を振り払った。
「…………」
「…………」
「……はぁ……はぁ……、……それで?暗黙の掟がどうしたって?」
ようやく自由の身となったセンリが、呼吸を整えて二人に問いかける。
その問いに、声を潜めたままの二人が答えた。
「……順を追って説明すると、この馬鹿みたいに広い学生寮を管理しているのは、たった一人の寮長だけなんだ」
「……その寮長と、食堂の調理師や売店の店員以外は学院の生徒しかいない。この意味がわかる?」
「……学院の生徒は何千人もいるんだろ?普通に考えて、一人で全てを管理するなんて不可能だろうが」
「うん。そういう事」
「……だが、この寮では決して問題なんて起きねぇんだ。何千人もいるのに、俺らが知る限り、今まで一人だって門限を破った生徒はいない。この意味はわかるか?」
「知らねぇよ、そんなの……。ただ単に、人数が人数だから、運良くバレてないだけなんじゃないのか?」
いくら名門校の "優秀" な生徒たちでも、今まで一度も寮のルールを破った生徒がいない、などというのは流石におかしいだろう。
たまたま今までバレていないというだけで、一人くらいはいるはずだ。
そう思って言ったセンリの答えが、ソーマによって否定された。
「それは無いよ」
「…………」
「この寮のセキュリティはとてつもなく強力でね……。学院の関係者登録された<ステータスプレート>を所持していないと出入り出来ないんだよ」
「……なるほどな。なら今、寮にいる生徒の名前と人数は、寮長様は把握済みという訳か」
「そういうこと。だから、門限破りはすぐにバレる」
「……なら何故、何も問題が起きていないんだ……?」
その問いに、ソーマとクロードが同時に答えた。
「「 寮生全員が、寮長の事を恐れているからだよ 」」
「…………」
「……ちょっと、センリ!!」
「…………んだよ、うるっせぇな……」
心の中だけでの力説を止め、センリは声を掛けてきたソーマを睨み付けてそう応じた。
「……うるさいじゃないよ。僕たちがわざわざ説明してあげてるのに、君はずっと上の空だし……」
「……別に説明なんかいらねぇよ。もうこの状況は受け入れたから」
「……は?」
センリのその言葉に、ソーマとクロードが驚いたように目を見開き、顔を見合わせて同時に言った。
「……凄いな……」
「……本当かよ……」
「…………」
二人のこの反応を見る限り、やはりコレはこの世界の常識というわけではないらしい。
少しだけ安心した。
やはり、おかしいのは俺ではなく学院側なのだ。
そんな事を考えて、センリが二人に問う。
「……で?寮長とやらは何処にいる? そいつに言って手続きすりゃ良いんだろ?」
「……ッ……!!」
「……ッ……!!」
「……むぐ――ッ!?」
しかし、センリの言葉に、いきなり驚いたような表情になるソーマとクロード。
二人が慌てて、センリの口を塞いでくる。
「……なん、だよ……いきなり……ッ!!?」
センリは二人の手を振り払おうとするが、その前にソーマが声を潜めて言ってくる。
「……いいかい?センリ……言い忘れてたけど、学生寮ではいくつかの暗黙の掟があるんだ」
「……はぁ!?暗黙の掟!?なんだそれ……!? って、んな事より手ェ放せっつの!!」
いい加減、頭にきたセンリが、今度こそ力ずくで二人を振り払った。
「…………」
「…………」
「……はぁ……はぁ……、……それで?暗黙の掟がどうしたって?」
ようやく自由の身となったセンリが、呼吸を整えて二人に問いかける。
その問いに、声を潜めたままの二人が答えた。
「……順を追って説明すると、この馬鹿みたいに広い学生寮を管理しているのは、たった一人の寮長だけなんだ」
「……その寮長と、食堂の調理師や売店の店員以外は学院の生徒しかいない。この意味がわかる?」
「……学院の生徒は何千人もいるんだろ?普通に考えて、一人で全てを管理するなんて不可能だろうが」
「うん。そういう事」
「……だが、この寮では決して問題なんて起きねぇんだ。何千人もいるのに、俺らが知る限り、今まで一人だって門限を破った生徒はいない。この意味はわかるか?」
「知らねぇよ、そんなの……。ただ単に、人数が人数だから、運良くバレてないだけなんじゃないのか?」
いくら名門校の "優秀" な生徒たちでも、今まで一度も寮のルールを破った生徒がいない、などというのは流石におかしいだろう。
たまたま今までバレていないというだけで、一人くらいはいるはずだ。
そう思って言ったセンリの答えが、ソーマによって否定された。
「それは無いよ」
「…………」
「この寮のセキュリティはとてつもなく強力でね……。学院の関係者登録された<ステータスプレート>を所持していないと出入り出来ないんだよ」
「……なるほどな。なら今、寮にいる生徒の名前と人数は、寮長様は把握済みという訳か」
「そういうこと。だから、門限破りはすぐにバレる」
「……なら何故、何も問題が起きていないんだ……?」
その問いに、ソーマとクロードが同時に答えた。
「「 寮生全員が、寮長の事を恐れているからだよ 」」
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