異世界でスローライフを目標にしましたが、モテ期到来で先の話になりそうです。

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第3章 一話

ギルド迄の道は駐馬場からそれほど難しく無い道のりだが、途中に鍛冶工房や商店が軒を連ねていた。


「あとでこの鍛冶工房に寄って、鍛冶師と顔合わせをするからな。
多分、この町の中では一番の技術だと思うぞ。」
バトラは顔見知りらしく、中の職人と手で挨拶を交しながら歩いた。


食べ物屋や、食材屋なども連れて行くが中には質の悪い輩もいるから十分気を付けろよ。


「此方の通貨は理解してるか?
普通に使われる通貨は4種、銅貨・銀貨・大銀貨・金貨だ。
考え方は日本の十円玉が銅貨・百円玉が銀貨・千円札が大銀貨・一万円札が金貨だと思えばいい。
レートは此方の方が少し安い位だが、丼勘定の所が多い。」
バトラは歩きながら、侑に通貨の説明をした。


「道は迷う事無いと思うが、これから頻繁に来る事になるからしっかり覚えておけよ。」
バトラは侑に街の中を案内しながら、ギルドに向かった。


ギルドの建物は他の建物よりも大きく、白い石作りだった。


「入る前に注意しておくが、中では敬語や丁寧語は使うな。
使うと下に見られ、それだけで上下関係が出来てしまう。
少し横柄な位でいい。」
バトラは侑の言葉遣いの良さが仇になりかねないと注意した。


「分かったよ、父さん。」
侑は大きく息を吐いて、気持ちを落ち着かせた。


ドアを開くと、中は木造の内装だが雰囲気は病院や市役所の様な作りで窓口がいくつか並んでいた。
時間的なものか人は疎らで一様に壁に貼ってある紙を見ていたが、バトラと侑が入ると品定めする様な視線が纏わりついた。
バトラは一番左の窓口に向かって進むと、侑は後を離れないように歩いた。


「いらっしゃいませ、本日はどの様なご用件でしょうか?」
バトラと面識のある受付嬢は初対面の侑が気になりチラチラ見ながら対応する。


「ギルマスは居るかな?」
バトラは挨拶もなく用件だけ伝える。


「今呼んで参ります、暫くお待ち下さい。」
受付嬢は窓口の後ろに並んでいる部屋の一番奥に姿を消した。


他の冒険者の視線が痛い。
今にも難癖つけて来そうなのがいる。


「侑、よく覚えておけ。
冒険者同士で揉め事があった場合、先には手を出すな。
後から手を出す分には、自分に非が無い場合は殺しても罪にはならないからな。
お前はまだ未熟だから、手加減しても大怪我か殺してしまうだろう。
だから、絶対に先に手を出すなよ。」
バトラは聞き耳を立てている連中に聴こえる程度の声量で注意喚起をした。


「分かったよ。」
侑もこの雰囲気を察して、敢えて父さんと呼ばなかった。


『…周りがざわついてるな。
でも、さっき迄の視線は少し減ったかな。』


「お待たせしました、一番奥の部屋へどうぞ。」
わざわざ、ギルマスが迎えに来た。
真っ赤なロングヘアーを靡かせながら歩くギルマスはその地位を疑いたくなる位に華奢な女性だった。


『周囲の視線を釘付けにして歩くその姿は、一番奥の部屋までのランウェイみたいだな。』
侑はギルマスの歩く姿を周りから食い入るように見ている冒険者を見て思った。


「こちらへどうぞ。」
ギルマスは部屋のドアを開け、バトラと侑を部屋の中へと促した。


「話はティーターン様から伺っております。
挨拶が遅れましたが、ギルマスのロゼと申します。
私も侑様と同じ転生人で、転生前は朱里(しゅり)という名前でした。」
ロゼは自分も転生者だと明かし、侑の信用に足る証を立てた。


「侑と申します。
この度は、お手数をかけます。」
侑は目の前に座るモデルのようなギルマスに畏まって挨拶をした。


「それではちょっと失礼して、鍛冶師の所に話を通しておきます。
侑、鍛冶工房で待っているから後から来なさい。」
バトラは侑を残して退室した。

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