人外と友達になる方法

コング“シルバーバック”

第50話 頂点からの依頼 〜古の祠篇〜

突如現れた舞姫の許嫁を名乗る少年に悠火はもちろん、流石の光秀も動揺している。

「それ本当なのか…?」

「ああ! わかったら俺の姫様から手を引きなさい!」

どうしたものか。そういえば先程から舞姫は何故知り合いと言ったのだろうか。

「なぁ、舞姫は…」

「いい加減にしろ!」

舞姫の鉄拳が少年の顎にクリーンヒットし、少年は宙を舞う。そしてそのまま地面に墜落する。どうやら気絶してしまったようだ。

「えっと…どゆこと?」

「こいつの名前は九十九 宗つくも しゅう! 私の幼馴染、決して許嫁なんかじゃないから! わかった!?」

舞姫は何故か悠火を指差す。奏鳴も光秀も竜夜も勘違いしていたのだが…。仕方なく悠火は返事をする。

「あ、ああ…」

「痛ぁ…」

宗が目を覚ました。顎を抑えながら起き上がる。

「あれ? ここはどこだ? くっ! 思い出せない! 俺が姫様の許嫁ということしか…」

「宗…次は骨の1本や2本覚悟してるんでしょうね?」

こいつ懲りないのだろうか。それとも相当なマゾなのか。

「じょ、冗談ですよ。そんなに怒ってはせっかくの可愛い顔が台無しですよ?」

「あんたの所為でしょうが!」

今度は宗の襟を掴んで激しく揺さぶる。

「で? 何の用? 私たち忙しいんだけど」

そういえば宗は舞姫を探していた様子だった。
何か用があったのだろう。

結月ゆづき様がお呼びです」

宗の声は今までのふざけていたのが嘘のような真剣な声で言った。

「結月様が…?」

舞姫も驚いているようだ。悠火たちには何が何なのかわからない。

「結月様? って誰だ?」

悠火は光秀に聞いてみるが、光秀は無言で首を横に振る。奏鳴は言わずもがなだ。

「おいお前! それ本気で言ってんのか?」

宗は悠火に問いただす。

「ああ…」

「お前そんなんでよく妖術師になったな。いいか、よく聞け。一度しか言わないからな」

宗は一呼吸置いて言った。

「結月様は俺たち妖術師の頂点。妖王ようおうの称号を持たれ、全ての妖術師の憧憬と尊敬を一身に集めるお方! 土御門つちみかど家現当主にして、最強の妖術師! 土御門結月様だ!」

宗は後半に行くにつれてどんどん興奮し、ヒートアップしていく。

「で? その最強さんが舞姫に何の用だよ」

妖術師の頂点。つまり、悠火たちの上司でもあるということだ。

「結月様が直接お呼びになるということは、まあ……」

宗の返答は歯切れが悪い。
舞姫はというと顔面蒼白で、よく見ると少し震えている。

「宗! すぐに案内しなさい! 早く! すぐに!」

「は、はいっ!」

宗は慌てて案内する。舞姫はそれを早足で追いかける。

「あんた達も早く来る!」

「「「はいっ!」」」

こういう時の舞姫は当主の威厳というか何と言うか、とにかく男らしい。そんなこと言ったら腹パンからのチョークスリーパーは必然の流れだ。
時間はあるわけだし、悠火達も宗の後を追う。




宗の後について行くと、何とも豪華な装飾の施された扉についた。

「宗です。結月様、舞姫様をお連れしました」

『入りたまえ』

扉の向こうから声がする。扉越しでもわかるほどよく通る、いい声だ。
宗が扉を開けると、舞姫がゆっくりと部屋の中へと歩みを進める。それに続く様に悠火達も部屋へと入る。

「ようこそ、諸君」

正面の机に腰掛ける様にしている男が言う。見た目は20代半ばといったところだ。隣には秘書だろうか、いかにも仕事できるマンが立っている。

「君たちが噂の新人君達だね?」

「噂? まぁ、新人は新人ですけど」

悠火は聞かれたことに素直に答える。
しかし、舞姫はというと口を軽く開けたまま硬直している。男と秘書を交互に見て口をパクパクしている。何だろう、ちょっと面白い。

「それで、日妖連のトップ様が舞姫に何の用ですか?」

「それはねー」

「結月様。お戯れもそれほどになさってください」

宗は何を言っているのだろうか。結月がふざけている様子は無いのだが。

「もう! バラすのが早いよ宗!」

そう言ったのは秘書の男だった。

「申し訳ありません」

「まあ、いいけどさ。さて、改めて。私が日妖連のトップ、土御門結月だ。よろしく」

そう言うと結月は悠火達の手を取って握手を交わす。

「え、あんたが結月様なのか?」

「そう。私が正真正銘の土御門結月だ」

「じゃあ、そっちの人は?」

悠火は結月の後ろにいる男、元結月を指差して言った。

「彼は私の秘書の、九十九 禅つくも ぜん君。仕事は出来るけど愛想がないのが玉に傷」

「僕の仕事に愛想は必要ありません。必要なのは実力です」

禅は髪を整えながら表情一つ変えずそう言う。
身だしなみを整えると禅の方が秘書っぽい。
結月も髪型を崩して、服を着替え椅子に腰掛ける。

「さて、これ以上巫山戯ると宗が怖いから話を進めるとしよう。君たちを呼んだのは、君たちに頼みたい依頼があるからだ」

「依頼?」

「隊の申請中なんだろ? ならこれが君たちの隊の初仕事だ」

仕事をするのはいいのだが、悠火達の1番の目的は鵺の動向を追うことだ。関係のなさそうな仕事はするつもりはない。

「君たちが妖術師になった理由についてはあらかた知っている。その上での依頼だ。頼めるかな?」

何故知っているかは置いておく。知った上でなら何か意味がある依頼のはずだ。断る理由はない。

「わかりました。その依頼引き受けます」

「そう言ってくれると思ったよ。君たちに頼むのは“古の祠”と言うと依頼だ」

こうして伊鳴隊の初仕事が始まった。




読んでいただきありがとうございます。コングです。

お待たせしました! いよいよ本格的にバトルが始まると思います!

少しずつバトルシーンの描写が上手くなることを期待しつつ読んでいってください!

何だかんだで50話まで来ました。これからも応援よろしくお願いします!

それではまた次回!

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