人外と友達になる方法

コング

第19話 400年越しの記憶 〜狐々愛過去篇〜

今から400年前、日本各地で人間と妖怪による戦が勃発していた。

「くそっ! 奴らには何も効かないのか?」

男が握る刀は半分程で折れている。

「人間ごときが無駄なことを。大人しく我ら妖怪の配下となればよいのに」

「侍の誇りにかけて、敵に与するようなことはせん!」

「誇りじゃメシは食えないよ、そんなに誇りが大事なら、そのちっぽけな誇りと共に死ね」

妖怪の展開した術式が男を襲う。

「術式展開・魔風壁まふうへき

が、術式が当たることはなかった。

「大丈夫か?」

「天狐様!」

400年前の天狐、すなわち現在の狐々愛である。

「今ここで妾に祓われるか逃げるか決めよ!」

「裏切り者が…調子に乗るんじゃねぇよ!」

「術式展開・封縛陣ふうばくじん

妖怪の足元に陣が浮かび上がり、光り始める。

「なっ! 貴様本当に裏切ったのだな!」

「先に掟を破ったのはお主らの方じゃぞ? 大人しく祓われよ」

「ちくしょぉぉぉ!」

妖怪は跡形もなく消滅した。
そこにはただ静寂が流れるだけだった。

「立てるか?」

後ろで倒れている男に手を伸ばす。

「はい、ありがとうございます」

男は傷だらけで見ているだけで痛々しい。

「傷が悪化してはいかん。早く診てもらえ」

「はい」

男は足を引きずりながら本陣へと帰っていった。

「さて…行くか」

1人残った狐々愛は何処かへ向かって歩き出した。




「敵陣へ攻めていた軍団が全滅してようです」

「人間ごときに我々妖怪が遅れをとるとは思えん…やはり奴が裏切ったというのは本当らしいな」

「…天狐様ですか?」

「奴に様など付けるな! 我らが奴の部下だったのは昔の話だ」

「申し訳ございません…」

妖怪側の大将は部下たちに命じた。

「いつまでもこんな戦をするわけにもいかぬ! いいかお前たち! 次の進軍で人間共を蹂躙する!」

「「「おお!」」」




妖怪と人間の最初の戦いから1週間。狐々愛は次の襲撃に備えていた。

「よいか! 妖怪の使う妖術に人間が対抗するにはこちらも術式を使うしかない」

「人間にも術式は使えるのですか?」

集まった武士の1人が質問した。

「うむ、いい質問じゃ。習得は容易ではないが、しかし習得さえすれば人間の術式の方が質は上なのじゃ」

「それはどうして?」

「妖怪は自身の体内にある妖力しか使えぬが、人間は周囲に漂う妖力を使うことができるのじゃ、じゃから人間の術式の方が制度が高いというわけじゃ」

「なるほど…して、その習得方法とは?」

「習得するには10年の鍛錬がいる。じゃからお主らが妖怪共と術式で渡り合うためには10年の年月が必要となる」

「それじゃ、儂らはどうしたら」

男が心配そんな顔をする。

「心配は無用じゃ、お主ら入って参れ」

狐々愛が言うと、建物の奥からぞろぞろと同じ格好をした一団が出てくる。

「此奴らは全国で活動をしておる妖術師たちじゃ、この戦を終わらせる為集まってもらった」

「この者たちが術式を使えるのですな?」

「左様じゃ、この者たちに妖怪たちの封印をしてもらう」

「では、我らは何をすれば?」

「お主らには町人たちの避難と後方での支援を頼みたい」

戦うために鍛えてきた武士たちにとってその要求は呑み難いものだった。

「天狐様! それは武士に対する侮辱ですぞ! 武士たる者戦いに死ぬことこそ本望!」

「そうです! 戦わずして何が武士だ!」

「そうだそうだ!」

武士たちは思い思いに不平不満をぶちまける。

「其方らの母上は死ぬために腹を痛めて産んだのではないぞ! 其方らの父上は負けるために刀を教えたのではないぞ!」

狐々愛の言葉に反論をする者はいなかった。

「其方らにしか出来ぬ事もある。其方らにしか救えぬ命があるのじゃ」

しばらくの沈黙の後、1人の男が言った。

「そうだ、死んでたまるか! ここで死んだらもう餅が食えんではないか!」

「そうだ! 儂もまだ酒を飲み足らんぞ!」

「儂も!」

「俺だって!」

武士たちの士気が上がり、いよいよ決戦の時が近づいて来た。

「誰一人として死ぬことは許さん! 全員で勝ってこの戦を終わらせるぞ!」

「「「おお!」」」



この時はまだ誰も知らなかった、この戦がどれだけ凄惨な最期を迎えるのかを………




読んでいただきありがとうございます。コングです。

これが今年最後の投稿になります。今年は本当にお世話になりました。
来年も日々精進して参りますので応援よろしくお願いします。

さて、ここでご報告がございます。
私コングは、ノベルバ作家グループ
“Fictionalizer(フィクショナライザー)”
に所属しております。
そこで共に活動する仲間たちの作品を後書きにて紹介していこうと思います。

まず1人目は我がグループの貴重な女性枠、通称女神、その一角、『にぃずな』先生です。


作品名:『転生10回目なんですが、その度異世界を救う身にもなってください!』

ジャンル:ファンタジー

あらすじ:主人公のミフユ=シャルティアが、10回目の異世界を奮闘する物語。
学校へ行ったり、冒険したりする。

見所:ストーリーの内容と、主人公達の感情豊かなところです。

お知らせ:キャラクター募集します。抽選で2名様のキャラを採用します。コメント欄に書いてください。
詳細はお手数お掛けしますが、『色々なもののお知らせ』をご参照下さい。(モブキャラになってしまいますが、ご了承ください。)


2人目はグループ最年少(自称)3歳の鬼才。
『guju』先生です。



作品名:転生〜最強貴族の冒険譚〜

あらすじ:異世界に転生した狐月 湊
地球では家庭環境、友人関係共に最悪だったものの、転移先では最初は順風満帆、幸せな人生を送っていた。
だが、突如何者かによりその幸せは崩れ去る。
全てを失った彼は、異世界でどう生きるのか!?


どちらの作品も作者の工夫、アイデア、そして作家魂が垣間見える作品となっております!
お2人の他にも我々Fictionalizerには多数の実力派作家が在籍しています。
会員は常に募集しているので、新人熟練問わず大歓迎です。
参加方法はTwitterからFictionalizer(総括府)にメッセージを送るだけ!
皆さんと共に語り合える日を楽しみにしています!


それでは皆さん! 良いお年を!

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コメント

  • 輝黄 煌

    何度も言わしてもらおう…続きが楽しみですしょうがない、以上だ。

    1
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