人外と友達になる方法
第9話 そうだ、学校行こう 〜学校篇〜
悠火が帰宅して約一時間、一階から静香の声が聞こえる。
「悠火〜、天狐ちゃ〜んご飯よ〜」
「「はーい」」
二人はご飯を食べに一階のリビングへと向かう。
天狐の足取りはとても軽やかだ。
本当に静香の作るご飯が好きなのだろう。
そして食卓には悠火の予想通りカレーが並んでいる。
「「「いただきます」」」
三人で手を合わせて挨拶をし、ご飯を食べる。
静香の作るご飯は相変わらず美味しい。
「ん〜、美味い! 静香殿、これは何と言う料理じゃ?」
そう尋ねる天狐の口の周りはカレーでだいぶ汚れている。
見た目以上に中身の年齢が若いのかもしれない。
「これはカレーって言うのよ、おかわりもあるからいっぱい食べてね」
静香はとても嬉しそうだ。
静香は料理を作るのが好きだが、悠火がそんなに大食いではないためあまりたくさん作ると余ってしまっていた。
しかし、天狐は物凄く、それこそ悠火の五倍程のご飯を平らげるため、静香も作り甲斐があるのだろう。
「ご馳走さま」
悠火はカレーを一皿だけ食べると食器を流しに運ぶ。
自分で使った食器は自分で運ぶのが伊鳴家のルールだ。
「あら、もういいの?」
静香にそう尋ねられるが普通の男子高校生が食べるくらいは食べている。
あの幼女が異常なのだ。
「うん。美味しかった」
「妾もお腹いっぱいじゃ」
「そりゃカレーを六皿も食ったらな…」
結局悠火はカレーを一皿、天狐は六皿も食べた。
悠火と天狐は部屋に戻る。
「そういえばお前って憑代に入ってなくても、俺から妖力もらえるのか?」
「近くにいればな」
「近くってどんくらい?」
天狐は少し考えるような仕草を見せる。
「そうじゃのぉ……悠火が学校に行っておる間に何度か離れすぎたことがあったのう」
「てことは、大体1キロか…」
「まぁ、妾が憑代に入っておれば、何も問題はない」
「それもそうか」
悠火は机と向き合い、学校の課題に取り掛かる。
奏鳴を弄るためにも宿題はやっておかないといけない。
「ん? 悠火、それは何をしておるのじゃ?」
天狐が悠火の背後からノートを覗き込む。
一緒に暮らしてきてわかったが、天狐は見た事ないもの、聞いた事ないものに興味津々なのだ。
「これは課題だよ。凄いめんどくさいやつ」
「大変じゃのう。妾には読めん異国の字ばかりじゃ」
「そりゃあ、英語の課題だからな」
そこでふと、悠火の脳裏にアイデアが浮かんだ。
「天狐も学校に行けないかな……」
独り言のように呟いた悠火だったが、天狐の耳にはしっかりと聞こえてしまっていたらしい。
「学校とな! 妾も行ってみたいぞ!」
天狐は目をキラキラと輝かせている。
「いや、そうは言ってもどうするんだよ。仮に行くとなっても、その姿じゃ小学校だぞ?」
くどいようだが天狐の見た目は完全に幼女、ロリだ。
いくら低身長、発育が悪い設定にしてもとても高校生には見えない。
「見くびるでないぞ。妾は大妖怪天狐、変化の術くらい朝飯前じゃ!」
天狐は得意げに無い胸を張る。
「そうなのか? 凄いな天狐」
「では、見ておれ! 変化!」
天狐の体が煙に包まれる。
煙が晴れるとそこには、美女が立っていた。
「どうじゃ?」
着ている服は変わらず和装だが、大きな耳も尻尾も無く、姿は人間の女の子だ。
それもかなりの美少女。
見た目は17、8歳といったところか。
和装のせいかクラスメイトの女子たちより少し大人びて見える。
「可愛い」
「………」
悠火のまじまじとした視線に気づき、天狐は顔を真っ赤にしている。
それもまた、可愛いのだが。
「と、とにかく! これで妾も学校とやらに行けるの!」
「ちょ、ちょっと待て! 本気か!?」
「本気じゃ! こうなったら静香殿にも相談じゃ!」
天狐はそう言うと、大急ぎで静香の部屋へと走って行った。
余談だが、走ると何がとは言わないが揺れていた。
「と、言うわけなんじゃ」
一部始終を静香に話し、天狐は静香に頼み込んでいる。
「婆ちゃん、止めてくれよ」
さて、静香は悠火と天狐、どちらの味方をするのか。
まあ、ここは当然俺の味方をーーー
「いいじゃない学校。楽しそう!」
しなかった。
「おお! 静香殿は流石じゃ!」
「ふふふ」
忘れていたがなんだかんだ静香はお茶目というか、悪ノリする癖があった。
悠火は幼い頃からよくその被害に遭っていたのにどうして忘れていたのか。
「ふふふ、じゃねぇよ婆ちゃん! 学校だぞ! 妖怪だってバレたらどうするんだよ!」
「安心せい! その時は関係者全員の記憶を改ざんするだけじゃ」
天狐が出会ってから一番ゲスい顔をする。
「それに、名前とかどうするんだよ! 転校するにしても、怪しすぎだろ!」
悠火の顔を天狐がキョトンとした顔で見つめる。
「名前は悠火がつけてくれるのであろう?」
そうだった、そういう約束をしていたのだった。
こんなことになるならあんな約束しなければよかったと後悔したが、あの時の天狐の笑顔を思い出すと今更名前は付けないなど口が裂けても言えない。
「学校には悠火の従姉妹ってことにしとくわ。大丈夫よ、そこの校長にはちょっと貸しがあってね」
なぜ静香が校長に貸しがあるのかは置いておいて、静香は本気で天狐を学校へ行かせる気のようだ。
天狐と静香の視線が悠火に向けられる。
「ああ! もう! わかったよ! 名前考えてやるよ!」
「おお! ありがとのう、悠火」
こうして、天狐の高校転入が決まったのであった。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
いよいよ、天狐の名前を決めなくてはいけなくなってしまった……
こうやって自分を追い詰めないと書けないんですよ……
頑張ろ……
それではまた次回!
2020/4/13一部改稿
「悠火〜、天狐ちゃ〜んご飯よ〜」
「「はーい」」
二人はご飯を食べに一階のリビングへと向かう。
天狐の足取りはとても軽やかだ。
本当に静香の作るご飯が好きなのだろう。
そして食卓には悠火の予想通りカレーが並んでいる。
「「「いただきます」」」
三人で手を合わせて挨拶をし、ご飯を食べる。
静香の作るご飯は相変わらず美味しい。
「ん〜、美味い! 静香殿、これは何と言う料理じゃ?」
そう尋ねる天狐の口の周りはカレーでだいぶ汚れている。
見た目以上に中身の年齢が若いのかもしれない。
「これはカレーって言うのよ、おかわりもあるからいっぱい食べてね」
静香はとても嬉しそうだ。
静香は料理を作るのが好きだが、悠火がそんなに大食いではないためあまりたくさん作ると余ってしまっていた。
しかし、天狐は物凄く、それこそ悠火の五倍程のご飯を平らげるため、静香も作り甲斐があるのだろう。
「ご馳走さま」
悠火はカレーを一皿だけ食べると食器を流しに運ぶ。
自分で使った食器は自分で運ぶのが伊鳴家のルールだ。
「あら、もういいの?」
静香にそう尋ねられるが普通の男子高校生が食べるくらいは食べている。
あの幼女が異常なのだ。
「うん。美味しかった」
「妾もお腹いっぱいじゃ」
「そりゃカレーを六皿も食ったらな…」
結局悠火はカレーを一皿、天狐は六皿も食べた。
悠火と天狐は部屋に戻る。
「そういえばお前って憑代に入ってなくても、俺から妖力もらえるのか?」
「近くにいればな」
「近くってどんくらい?」
天狐は少し考えるような仕草を見せる。
「そうじゃのぉ……悠火が学校に行っておる間に何度か離れすぎたことがあったのう」
「てことは、大体1キロか…」
「まぁ、妾が憑代に入っておれば、何も問題はない」
「それもそうか」
悠火は机と向き合い、学校の課題に取り掛かる。
奏鳴を弄るためにも宿題はやっておかないといけない。
「ん? 悠火、それは何をしておるのじゃ?」
天狐が悠火の背後からノートを覗き込む。
一緒に暮らしてきてわかったが、天狐は見た事ないもの、聞いた事ないものに興味津々なのだ。
「これは課題だよ。凄いめんどくさいやつ」
「大変じゃのう。妾には読めん異国の字ばかりじゃ」
「そりゃあ、英語の課題だからな」
そこでふと、悠火の脳裏にアイデアが浮かんだ。
「天狐も学校に行けないかな……」
独り言のように呟いた悠火だったが、天狐の耳にはしっかりと聞こえてしまっていたらしい。
「学校とな! 妾も行ってみたいぞ!」
天狐は目をキラキラと輝かせている。
「いや、そうは言ってもどうするんだよ。仮に行くとなっても、その姿じゃ小学校だぞ?」
くどいようだが天狐の見た目は完全に幼女、ロリだ。
いくら低身長、発育が悪い設定にしてもとても高校生には見えない。
「見くびるでないぞ。妾は大妖怪天狐、変化の術くらい朝飯前じゃ!」
天狐は得意げに無い胸を張る。
「そうなのか? 凄いな天狐」
「では、見ておれ! 変化!」
天狐の体が煙に包まれる。
煙が晴れるとそこには、美女が立っていた。
「どうじゃ?」
着ている服は変わらず和装だが、大きな耳も尻尾も無く、姿は人間の女の子だ。
それもかなりの美少女。
見た目は17、8歳といったところか。
和装のせいかクラスメイトの女子たちより少し大人びて見える。
「可愛い」
「………」
悠火のまじまじとした視線に気づき、天狐は顔を真っ赤にしている。
それもまた、可愛いのだが。
「と、とにかく! これで妾も学校とやらに行けるの!」
「ちょ、ちょっと待て! 本気か!?」
「本気じゃ! こうなったら静香殿にも相談じゃ!」
天狐はそう言うと、大急ぎで静香の部屋へと走って行った。
余談だが、走ると何がとは言わないが揺れていた。
「と、言うわけなんじゃ」
一部始終を静香に話し、天狐は静香に頼み込んでいる。
「婆ちゃん、止めてくれよ」
さて、静香は悠火と天狐、どちらの味方をするのか。
まあ、ここは当然俺の味方をーーー
「いいじゃない学校。楽しそう!」
しなかった。
「おお! 静香殿は流石じゃ!」
「ふふふ」
忘れていたがなんだかんだ静香はお茶目というか、悪ノリする癖があった。
悠火は幼い頃からよくその被害に遭っていたのにどうして忘れていたのか。
「ふふふ、じゃねぇよ婆ちゃん! 学校だぞ! 妖怪だってバレたらどうするんだよ!」
「安心せい! その時は関係者全員の記憶を改ざんするだけじゃ」
天狐が出会ってから一番ゲスい顔をする。
「それに、名前とかどうするんだよ! 転校するにしても、怪しすぎだろ!」
悠火の顔を天狐がキョトンとした顔で見つめる。
「名前は悠火がつけてくれるのであろう?」
そうだった、そういう約束をしていたのだった。
こんなことになるならあんな約束しなければよかったと後悔したが、あの時の天狐の笑顔を思い出すと今更名前は付けないなど口が裂けても言えない。
「学校には悠火の従姉妹ってことにしとくわ。大丈夫よ、そこの校長にはちょっと貸しがあってね」
なぜ静香が校長に貸しがあるのかは置いておいて、静香は本気で天狐を学校へ行かせる気のようだ。
天狐と静香の視線が悠火に向けられる。
「ああ! もう! わかったよ! 名前考えてやるよ!」
「おお! ありがとのう、悠火」
こうして、天狐の高校転入が決まったのであった。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
いよいよ、天狐の名前を決めなくてはいけなくなってしまった……
こうやって自分を追い詰めないと書けないんですよ……
頑張ろ……
それではまた次回!
2020/4/13一部改稿
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にぃずな
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