人外と友達になる方法
第6話 君の名は 〜学校篇〜
家に帰ると祖母が出迎えてくれた。
「お帰り。遅かったわね」
「うん、ちょっと裏や…友達と遊んでて」
「そう、もう少しでご飯できるから待っててね」
「うん。ありがと」
静香は台所へと帰って行った。
「なあ、天狐。お前って飯とかいらないのか?」
悠火は手首に付けてある数珠のブレスレットに向けて聞く。
『妖力は主人から分けて貰えば良いからのう。じゃが食事からも妖力は取れる。食事をするに越したことはない』
「ふーん。まあ、後で婆ちゃんにバレないように何か食わせてやるよ」
『おお! 助かるのう!』
台所から静香の声がする。
「悠火〜、ご飯よ〜」
「はーい。今行く」
悠火は夕食を食べにテーブルへと向かった。
そしてその日の夜。
「なあ、お前のこと俺以外にバレちゃだめなのか?」
『そうじゃのう…あまり沢山の人間に知られるのは良くないが、お主の身内くらいなら良いぞ』
「そっか…」
『それとな、妾もお主に聞きたいことがあるんじゃが』
「ん? 何だ?」
天狐は唐突に質問してきた。
『お主の名を教えてくれんか?』
天狐の質問に悠火はため息を吐く以外ことができなかった。
「お前さ、名前も知らない奴と契約したのかよ。知らない人と契約しちゃいけないってお母さんに言われなかったのか? お父さん心配よ?」
『勝手に妾の父親づらをするでない! まあ、名前も知らずに契約したことは反省しておる……』
素直に謝る天狐に父性を擽られる。
「俺の名前は伊鳴悠火。気軽に悠火って呼んでくれ」
『…伊鳴?』
「そう。あ、狐と伊鳴で俺たち相性いいのかもな」
『そ、そうじゃな…妾の名は天狐じゃ』
「妖狐で天狐って何か他の名前無かったのか?」
『天狐とは本来、妖狐族の長に与えられる名じゃらかのう』
せっかくの名前が襲名した“天狐”では味気ない。
「じゃあさ、俺が名前付けてやる」
悠火の提案に天狐は嬉しそうな声を上げる。
『良いのか?』
「ああ。ん〜どうしようかなぁ」
『別に、すぐじゃなくてよいぞ』
「じゃあ、少し時間もらおうかな」
悠火はお言葉に甘えて少しだけ考える時間をもらうことにした。
名前を考える上で、天狐の容姿をもう一度見ておきたいと思い、悠火は天狐を呼び出そうとする。
「なあ、どうやったらお前を呼びせるんだ?」
『簡単じゃ、名前を呼べばよい。とりあえず今は天狐でよいぞ』
悠火は言われた通り名前を呼んでみる。
「天狐!」
ポンっと心地よい音と共に、目の前に和装の少女が現れる。
「おお!」
和装の少女、天狐はこうして明るいところで見ると、より一層可愛らしく見える。
「な、なんじゃ? あまりじろじろ見るでない!」
「いや、お前って結構可愛いのな」
「………」
天狐は顔を赤らめて俯く。
それにしても、綺麗な栗色の髪の毛にふわふわの毛並みの耳と尻尾、キラキラと輝く大きな瞳は、そういった属性が特に好きなわけではない悠火をも魅了する。 つまりは、可愛い…。
「そう何度も可愛いと言うでない!」
「ごめんごめんって。あんま大きい声出すなよ、婆ちゃんに聞こえるだろ?」
直後、悠火の心配は現実のものとなった。
「悠火〜? 誰かいるの?」
静香の足音が近づいて来る。
「やばっ! 今お前が見つかったら言い訳できねぇぞ!」
「ううう、狼狽えるでない!」
悠火と天狐の2人が慌てふためく部屋の扉がゆっくりと開く。
「ちょっ! 婆ちゃん、待っ!」
悠火の制止も虚しく、完全に開いた扉の向こうでは、静香が天狐を見て言葉を失っている。
「いや、違うんだ! 婆ちゃん、これには深い訳が…」
「まぁ! 可愛らしい!」
「「………へ?」」
「ちょっと悠火、お友達が来たなら言いなさいよ」
「いや、こいつは友達じゃ…」
「ねぇ、あなた。ご飯は食べたの?」
静香は天狐に問いかける。
「え? いや、まだじゃが…」
「じゃあ、ご飯食べなさい。今日のは自信作だったの!」
静香は天狐の手を引いてリビングへと連れて行く。
「……一件落着?」
部屋に一人取り残された悠火がポツリと呟いた。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
本編で天狐の名前は出ませんでしたが、実際まだ決まってません。なので、本来ならばここで出すつもりだったんですが、後回しになりました。
どんな名前がいいのやら…
それではまた次回!
「お帰り。遅かったわね」
「うん、ちょっと裏や…友達と遊んでて」
「そう、もう少しでご飯できるから待っててね」
「うん。ありがと」
静香は台所へと帰って行った。
「なあ、天狐。お前って飯とかいらないのか?」
悠火は手首に付けてある数珠のブレスレットに向けて聞く。
『妖力は主人から分けて貰えば良いからのう。じゃが食事からも妖力は取れる。食事をするに越したことはない』
「ふーん。まあ、後で婆ちゃんにバレないように何か食わせてやるよ」
『おお! 助かるのう!』
台所から静香の声がする。
「悠火〜、ご飯よ〜」
「はーい。今行く」
悠火は夕食を食べにテーブルへと向かった。
そしてその日の夜。
「なあ、お前のこと俺以外にバレちゃだめなのか?」
『そうじゃのう…あまり沢山の人間に知られるのは良くないが、お主の身内くらいなら良いぞ』
「そっか…」
『それとな、妾もお主に聞きたいことがあるんじゃが』
「ん? 何だ?」
天狐は唐突に質問してきた。
『お主の名を教えてくれんか?』
天狐の質問に悠火はため息を吐く以外ことができなかった。
「お前さ、名前も知らない奴と契約したのかよ。知らない人と契約しちゃいけないってお母さんに言われなかったのか? お父さん心配よ?」
『勝手に妾の父親づらをするでない! まあ、名前も知らずに契約したことは反省しておる……』
素直に謝る天狐に父性を擽られる。
「俺の名前は伊鳴悠火。気軽に悠火って呼んでくれ」
『…伊鳴?』
「そう。あ、狐と伊鳴で俺たち相性いいのかもな」
『そ、そうじゃな…妾の名は天狐じゃ』
「妖狐で天狐って何か他の名前無かったのか?」
『天狐とは本来、妖狐族の長に与えられる名じゃらかのう』
せっかくの名前が襲名した“天狐”では味気ない。
「じゃあさ、俺が名前付けてやる」
悠火の提案に天狐は嬉しそうな声を上げる。
『良いのか?』
「ああ。ん〜どうしようかなぁ」
『別に、すぐじゃなくてよいぞ』
「じゃあ、少し時間もらおうかな」
悠火はお言葉に甘えて少しだけ考える時間をもらうことにした。
名前を考える上で、天狐の容姿をもう一度見ておきたいと思い、悠火は天狐を呼び出そうとする。
「なあ、どうやったらお前を呼びせるんだ?」
『簡単じゃ、名前を呼べばよい。とりあえず今は天狐でよいぞ』
悠火は言われた通り名前を呼んでみる。
「天狐!」
ポンっと心地よい音と共に、目の前に和装の少女が現れる。
「おお!」
和装の少女、天狐はこうして明るいところで見ると、より一層可愛らしく見える。
「な、なんじゃ? あまりじろじろ見るでない!」
「いや、お前って結構可愛いのな」
「………」
天狐は顔を赤らめて俯く。
それにしても、綺麗な栗色の髪の毛にふわふわの毛並みの耳と尻尾、キラキラと輝く大きな瞳は、そういった属性が特に好きなわけではない悠火をも魅了する。 つまりは、可愛い…。
「そう何度も可愛いと言うでない!」
「ごめんごめんって。あんま大きい声出すなよ、婆ちゃんに聞こえるだろ?」
直後、悠火の心配は現実のものとなった。
「悠火〜? 誰かいるの?」
静香の足音が近づいて来る。
「やばっ! 今お前が見つかったら言い訳できねぇぞ!」
「ううう、狼狽えるでない!」
悠火と天狐の2人が慌てふためく部屋の扉がゆっくりと開く。
「ちょっ! 婆ちゃん、待っ!」
悠火の制止も虚しく、完全に開いた扉の向こうでは、静香が天狐を見て言葉を失っている。
「いや、違うんだ! 婆ちゃん、これには深い訳が…」
「まぁ! 可愛らしい!」
「「………へ?」」
「ちょっと悠火、お友達が来たなら言いなさいよ」
「いや、こいつは友達じゃ…」
「ねぇ、あなた。ご飯は食べたの?」
静香は天狐に問いかける。
「え? いや、まだじゃが…」
「じゃあ、ご飯食べなさい。今日のは自信作だったの!」
静香は天狐の手を引いてリビングへと連れて行く。
「……一件落着?」
部屋に一人取り残された悠火がポツリと呟いた。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
本編で天狐の名前は出ませんでしたが、実際まだ決まってません。なので、本来ならばここで出すつもりだったんですが、後回しになりました。
どんな名前がいいのやら…
それではまた次回!
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コメント
サラダアブラ
勝手に妾の父親〜〜ってセリフのカギカッコが「」になってるぞー。この時はまだ『』←これなんじゃないか?