人外と友達になる方法

コング“シルバーバック”

第2話 秘密基地は男のロマン 〜洞窟篇〜

噂の洞窟はなかなかの雰囲気だった。

「ほほ〜ここが噂の洞窟か〜。いい雰囲気じゃんか!」

「悠火、あんまりはしゃぐなよ」

「そう言う奏は僕の後ろに隠れるのやめなよ」

「べ、別に隠れてたわけじゃねぇよ!」

奏鳴が慌てて光秀から離れる。

「で? 肝試しって何すんだ?」

「とりあえず、中に入る?」

「よし! そうと決まれば善は急げだ!」

「善ではないと思うけど…」

悠火に秀才らしいツッコミを入れつつ、光秀も洞窟へと足を踏み入れる。
洞窟の中は6月とは思えないほど涼しかった。

「寒いな…」

「確かに。洞窟と言ってもこれは異常だ」

「奥に何かあるかもしれねぇ。行くぞ」

悠火と光秀はどんどんと奥へと進んでいく。その後を半泣きになりながら奏鳴が追いかける。
奥へと進むこと3分、周囲に変化が起き始めた。

「ん? これ…水か?」

洞窟の奥には大きな水溜りがあった。

「おかしい…こんな巨大な水溜りがあるなんて」

最後尾にいた奏鳴が呟いた。

「おかしいって、何で?」

「2人には言ってなかったけど、俺、噂が広がる前、ここに秘密基地作ってたんだ。その時はこんな水溜りなんてなかった」

「それはいつ頃の話だ?」

「今年の4月末ぐらいだったと思う」

「たった2カ月では普通こんなことにはならない…。これは異常だ、一度帰った方が良さそうだ」

「じゃあ、帰ろぜ。な?」

「そうだな。光秀が言うんだ。よし、帰ろう」

「帰さねぇよ…」

「ん? 奏何か言ったか?」

「は? 今のは悠火だろ?」

「俺は何も言ってねぇよ?」

「俺もだ…じゃあ、誰が?」

「もちろん僕でもないよ」

3人は3人の誰でもない声を確かに聞いた。

「と、とりあえずここ出ようぜ。えっと灯りはっと」

奏鳴がスマホのライトを使おうと電源を入れる。スマホの画面の明かりで薄暗い洞窟の中が少しだけ明るくなる。

その時、悠火は信じられないものを見た。

「奏! 後ろ!」

「え?」

悠火の声に驚いた奏鳴はスマホの画面から目を離し悠火の方を見る。と、同時に奏鳴の体が洞窟の壁に吹き飛んだ。
鈍い音を立てて奏鳴が壁に衝突する。

「がはっ!」

奏鳴は地面に倒れ込む。

しかし、悠火と光秀は地面に倒れる奏鳴ではなく、先程まで奏鳴が立っていた場所に立っている、異形の生物を見ていた。

緑色で、湿っている肌。手足の指と指の間に見える薄い膜。背中に乗っている巨大な甲羅。鳥類のような嘴。そして、頭の上に乗った皿。
2人の目の前に立っているのは、正に河童そのものだった。
 


読んでいただきありがとうございます。コングです。

今回登場した河童ですが。河童って地方で色々と姿が違ったりしますよね。
ですが作者はそんなこといちいち気にせず書いてるので、もしかすると「は?何これ全然知ってるのと違うんだけど」的なことになるかもしれません。
もしそうなったら、新種の妖怪だと思ってください。

それではまた次回!

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