俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件

ながしょー

第74話

 六花を引き連れて来た神社の奥は木々が生い茂り、とても静かだった。
 地面には木から枯れ落ちた葉が一面を覆い、歩みを進めるごとにザクッといった枯葉特有の音が鳴り響く。

 「なんか強引でごめんな」

 「ううん、僕は別に…」

 ある程度奥に進んだところで途中にあった大きな岩に腰掛け、強引に引っ張って来たことを謝った。
 きっと怒ってるだろうなと思い、罵声を浴びせられることも覚悟していたが美月の反応は予想外だった。
 美月は怒るどころか、ちょっと嬉しそうな表情をみせ、頬がほんのり赤くなっている。

 「ちょっと…なんでニヤニヤしてるの?」

 「す、すまん!つい…」

 美月の可愛さについ口角が緩んでしまった。
 まだ頬がほんのり赤い美月はどこか恥ずかしそうに目線をあっちこっちと泳がせている。
 
 「もう…最近なんかおかしいよ?」

 美月は昔と態度が変わったと言いたいのだろう。
 まぁ、それは変わるよ。
 だって女の子って知ったら態度豹変するでしょ?
 こんな可愛い女の子に好かれたいって思うし、嫌われたくないって思う。
 だが、俺はそんなことを正直に言える度胸もないので、

 「そ、そうかな?」

 適当な返事で受け流した。
 そんな返事に少し不満そうな表情をする美月。
 やっぱり可愛い。
 てか、最近美月のいろいろな表情を見る度に可愛いって思ってしまう。
 これはなんだ?
 恋か?
 それとも…他に別な感情がそう思わせているのか?

 「もぉ……」

 不満そうな声を出した後、横に座っていた美月がぱっと立ち上がり、目の前に来る。

 「どうした?」

 美月は俺を見下ろしたまま、何か言いたそうな目で見つめてきた。
 俺は見つめてくる美月の目に吸い寄せられるような錯覚を覚えながら、時間を忘れるほど見惚れていた。
 ――このまま時間が止まればいいのに…。
 そう思ってしまうほどに美月は美しく見えた。

 「……翔太くん?」

 「あ、ああ…すまん。そろそろ戻るか」

 美月に名前を呼ばれてやっと我に返ることができた。
 ずっと俺に見つめられていたせいもあってか、美月は少し恥ずかしそうな態度を見せる。

 「今日は……ありがとう」

 「おう。そういえば、まだ出店で何も買ってなかったよな?」

 「うん」

 「じゃあ、買いに行くか!」

 「うん!」

 時間的には差ほどこの場には居座っていないが、体感的には一時間以上。
 俺は座っていた岩から立ち上がると、再び美月と共に出店が並ぶ参道へ戻った。
 参道へ戻る途中、美月はとても幸せそうな無邪気な笑顔だった。
 そんな美月を横目でチラチラ盗み見ながら俺も幸せな気持ちでいっぱいだった。

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