俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件

ながしょー

第59話 クリスマス【前編】

 なんだかんだのクリスマスイブから翌日。
 今日は世界中の子どもたちが大好きなクリスマスだ。
 朝寒さで目を覚まし、すぐさまにベッドから身を起こすと自室のエアコンを作動させる。
 そのままカーテンを少し開け、窓の外を覗くと一面が真っ白。
 どうやら昨晩は雪が降ったらしい。
 ある程度積もった雪を少し眺めた後はまたベッドに戻り、まだぬくぬくと温かい毛布を口元まで被る。
 枕元に置いていたスマホを手に取り、時間を確認すると……まだ朝の七時か……。
 せっかくのクリスマスだし、今日こそはゆっくりしよ。
 スマホをまた枕元に戻すと、俺はそのままエアコンの温かい空気に眠気を誘われ、いつの間にか眠ってしまった。

◆❖◇◇❖◆

 「……しょーくん!」

 「……んー……」

 二度寝からしばらくして体を揺すられる感覚がした。
 ウザいなぁと思いながらも寝返りとかして揺する手を振りほどこうとする。
 でも、揺する手は振りほどけず、仕方なく目を開けると……目の前に六花の顔があった。

 「……え?」

 驚きのあまり何をしてるんだとか言えず、目と目が合う。
 ……えっとー……ナニコレ?
 テレビ番組のナ〇コレ珍百景か世界の何〇これ?!ミステリーに投稿したいぐらいの奇妙な状況。
 俺は今どういった状況に陥ってこうなったか全く分からない。
 それに六花の様子がおかしい。頬が赤くなっていて目を閉じて顔が………って、おい!なんでどんどん近づいてくるんだ!近い近い!顔が近い!口が当たってしまう!
 
 「ちょっ、何してんだよ!」

 俺はギリギリのところで六花の肩を掴み、押し退けるとそのまま起き上がった。
 六花はまだ俺のベッドで座り込んだまま、何言ってんのみたいな顔で俺を見つめている。

 「分からないんですか?」

 「分かるが……一応言え」

 「キスしようとしてました」

 「……やっぱり分からない」

 俺は呆れと疲れが混じった溜め息を吐いた。
 なぜキスをしようとしてたのかは何となくだが想像はつく。
 今日はクリスマスだ。
 この日は別名『聖夜』とも呼ばれ、男女がベッドの上で夜の激しい運動会をするのが多い。
 なぜこの日が多いのかは気になるが、正直調べようと思ったことは一度もない。
 カップルにとっての聖夜は俺たち非リア充からしてみれば、悪夢の日だ。
 クッソ……なにが聖夜だ!クリスマスはイエス・キリストの誕生日なんだぞ!お前らはそんな日に発情しやがってキリストに失礼だろ!クッソ……リア充どもめ……一人残らず駆逐してやるッ!

 「駆逐したら世界中の子どもの出生率が下がって人類激減するよ?」

 「うるせ!別に激減した方がいいだろ。そうすれば食糧難とかがある国は改善されるだろ」

 「でも、人類滅亡したらもともこうもないよ?」

 「…………」

 はい!!論破!!
 見事の六花から論破された俺は何も言い返すことが出来なかった。
 俺はこの空気が耐えられず、自室から逃げるように飛び出しリビングへと向かった。
 

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