転生したけど記憶がないようです
19話
「やれやれ、魔族を倒すために知恵を絞った結果がこれとは悲しいものですねぇ。それともなめられているだけでしょうか?」
ランドールが不敵に笑う。
「ひるむな! 後ろの化け物と同時に出てこられては厳しいかもしれんがそいつだけなら倒せない道理はない! 訓練の通りにするのだ!」
「そういうところですよ」
その一言と共にランドールが隊の中央付近に現れる。
《転移》だな。
誰でも使えるが、使えるものは少ない。
つまり、かなりの修練が必要となるのだ。
腕を薙ぐだけで周りにいた魔法使いたちを消し去る。
「よく訓練されている兵たちだとは思いますよ、えぇ」
他の場所に《転移》したランドールがまた腕を振るうだけで一帯の兵が消える。
「しかし、裏を返せば訓練通りにしか動けません」
ランドールのしゃべりながらの攻撃すら誰にも止めることができない。
「恐らく、しっかりと魔族の対策はしてきていたのでしょう。しかし、下級魔族を念頭に置いておられるようで」
また、十数人単位で兵が消えていく。
「彼らは《転移》が使えませんからねぇ。精々素早く動く程度ですから槍と盾でその動きを阻めるというのは間違ってはいませんよ」
ぱちぱちと手を叩く。
「しかし、本日ここに集まっているのは皆上級魔族です。《転移》を使えない者などおりませんよ」
確かに。上級魔族にもなって《転移》を使えないなんてあり得ない。
「そもそも、今回は他ならぬユウト様のお達しですよ。生半可な者を連れてくることなどあり得ません。ユウト様の格を示さなければならないのですから当然のことでしょう」
あ、そういう理由だったのか。
「ぐっ……」
そこまでランドールがいい終えた頃には近衛兵はその数を既に半分にまで減らしていた。
「更に言えば、あなた方の相手をしているのはこの私ですよ? あなた方のやり方は兵としてはかなり優秀なものでしょう。しかし、圧倒的な個人に対処する術がありません。ユウト様ならいざ知らず、私に手も足も出ないようではどうにもならないでしょう」
「近衛兵! どうやら本当にこの檻から攻撃が外へと出ることはないようだ! わかっているな!」
「「「は!!」」」
一斉に魔法の詠唱を始める近衛兵たち。
自爆覚悟でランドールを消すつもりか。
「ほう、少しは頭が回るようで」
この状況下でも余裕を崩さないランドール。
「ね、ねぇユウト。あれは大丈夫なの? 助けてあげた方がいいんじゃない?」
キィラは心配なようだが、俺は心配していない。
そういえばランドールが相手の死体をそのままにせず、消すようにしていたのはキィラに配慮していたのもあったかもだな。
「大丈夫だって。あいつがあの程度でやられるはずないだろ」
そうなら俺の前に立つようなこともなかっただろう。
下級魔族は自由に動くことが出来ないからな。
ランドールが不敵に笑う。
「ひるむな! 後ろの化け物と同時に出てこられては厳しいかもしれんがそいつだけなら倒せない道理はない! 訓練の通りにするのだ!」
「そういうところですよ」
その一言と共にランドールが隊の中央付近に現れる。
《転移》だな。
誰でも使えるが、使えるものは少ない。
つまり、かなりの修練が必要となるのだ。
腕を薙ぐだけで周りにいた魔法使いたちを消し去る。
「よく訓練されている兵たちだとは思いますよ、えぇ」
他の場所に《転移》したランドールがまた腕を振るうだけで一帯の兵が消える。
「しかし、裏を返せば訓練通りにしか動けません」
ランドールのしゃべりながらの攻撃すら誰にも止めることができない。
「恐らく、しっかりと魔族の対策はしてきていたのでしょう。しかし、下級魔族を念頭に置いておられるようで」
また、十数人単位で兵が消えていく。
「彼らは《転移》が使えませんからねぇ。精々素早く動く程度ですから槍と盾でその動きを阻めるというのは間違ってはいませんよ」
ぱちぱちと手を叩く。
「しかし、本日ここに集まっているのは皆上級魔族です。《転移》を使えない者などおりませんよ」
確かに。上級魔族にもなって《転移》を使えないなんてあり得ない。
「そもそも、今回は他ならぬユウト様のお達しですよ。生半可な者を連れてくることなどあり得ません。ユウト様の格を示さなければならないのですから当然のことでしょう」
あ、そういう理由だったのか。
「ぐっ……」
そこまでランドールがいい終えた頃には近衛兵はその数を既に半分にまで減らしていた。
「更に言えば、あなた方の相手をしているのはこの私ですよ? あなた方のやり方は兵としてはかなり優秀なものでしょう。しかし、圧倒的な個人に対処する術がありません。ユウト様ならいざ知らず、私に手も足も出ないようではどうにもならないでしょう」
「近衛兵! どうやら本当にこの檻から攻撃が外へと出ることはないようだ! わかっているな!」
「「「は!!」」」
一斉に魔法の詠唱を始める近衛兵たち。
自爆覚悟でランドールを消すつもりか。
「ほう、少しは頭が回るようで」
この状況下でも余裕を崩さないランドール。
「ね、ねぇユウト。あれは大丈夫なの? 助けてあげた方がいいんじゃない?」
キィラは心配なようだが、俺は心配していない。
そういえばランドールが相手の死体をそのままにせず、消すようにしていたのはキィラに配慮していたのもあったかもだな。
「大丈夫だって。あいつがあの程度でやられるはずないだろ」
そうなら俺の前に立つようなこともなかっただろう。
下級魔族は自由に動くことが出来ないからな。
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