マグ拳ファイター!!
139
 それはまるでアーサー王伝説の最後の戦い、カムランの戦いのようだった。
 片や攻守の要たる烈牙さんが太刀を奪われ、片や防衛の要たるマヤの大盾を壊された。
 ともに決め手を欠く戦いは、血で血を洗う凄惨な者となり、幾多の戦友たちが地に伏していく。
 戦いは7日間続き、動ける者はオレと烈牙さん二人だけになっていた。
「いやはや、まさかお互いここまで生き残るとは思っていなかったのう」
 その両手にはマーチから奪った小太刀が一本ずつ握られている。
「全くですよ。オレなんて初日に死ぬと思ってました」
 銅貨を使い果たしたオレは、片手にグラデイオマギアを握り上段に構える。鍔先から発生しているのは、斥力ブレードではなく光子剣だ。烈牙さんの持つ武器がマーチの小太刀だから壊したくない訳ではなく、オレの魔力量がもう斥力ブレードを発生させられるだけ残っていないのだ。
 片手を上に、もう片手を下に構えた烈牙さんが、ジリジリとにじり寄ってくる。
 剣と剣の間合いに入ったところで、先に動くのはオレだ。上段より袈裟懸けに光子剣を振り下ろすが、それは烈牙さんが上に構えた小太刀で弾かれ、下からもう一つの小太刀が逆袈裟に斬り上げてくる。
 オレはそれをバックステップでかわし、突きを入れようとしたところで止まる。半身になった烈牙さんが小太刀を振り下ろしてきたからだ。止まってなかったら手首を斬り落とされていた。
 二歩三歩と後退して間合いを取り、またジリジリと間合いを詰める。
 剣の間合いに入り、先に動いたのは烈牙さんだ。上下右左袈裟逆袈裟と変幻自在に小太刀を操り、オレを翻弄していく。その猛攻に防戦一方のオレは、一瞬でも気を抜けば首を持っていかれるヒリヒリとした感覚から、逃げ出したい衝動を抑えながら、努めて冷静な振りをして烈牙さんの小太刀を捌いていく。
「中々やるではないか」
 と猛攻の速度を加速させていく烈牙さん。
(ひいいいいい!!)
 と心の中で悲鳴を上げていると、いきなりガクンと足にきてしゃがんでしまう。
 ハッとしたのは両者同じだったようだ。オレが見上げると烈牙さんと目が合った。
 ザスッ
 一瞬早く攻撃を当てたのはオレだった。烈牙さんの脛に一撃当てたことで相手がその場から引いてくれた。オレもなんとか立ち上がり烈牙さんと間合いを取る。
 脛に当てた一撃は浅かったのだろう。烈牙さんはいまだ両足で立ち二刀を構えている。が、息が荒い。あまり持ちそうにはなさそうだ。ここを好機と捉えて攻め込むのが良手なのだろうが、足にきているのが不安で、一歩踏み出すのが遅れた。
 逆にオレが逡巡したほんの少しの間を好機と捉えた烈牙さんが、一気に距離を詰めて上の小太刀を真一文字に振り下ろしてくる。それを光子剣で止めようとして、だができなかった。魔力量が少なくなり過ぎて光子剣は消えてしまったのだ。
 が、それは烈牙さんにとっても誤算だった。ピタリとオレの頭上で止まる小太刀。上はフェイクだったのだ。
 ハッとしたオレは素早くポーチから剣を取り出し、脇腹を狙った下の小太刀を受け止めると、勢いのまま下の小太刀を弾き飛ばす。
「はあ、はあ、はあ」
「はあ、はあ、はあ」
 互いに正眼に武器を構え、オレは剣を、投げ飛ばす。そして烈牙さんが剣を叩き落としている隙に、ポーチからさらに一本剣を取り出し、烈牙さんの腹に突き刺した。
「ようやった」
 烈牙さんはオレの頭を抱えて耳元でそう呟くと、仰向けに倒れ込んだのだった。
「はあ、はあ、はあ」
 剣を支えに周りを見れば、倒れ伏した天使たちの血と夕陽で、世界は真っ赤にに染まっていた。
 片や攻守の要たる烈牙さんが太刀を奪われ、片や防衛の要たるマヤの大盾を壊された。
 ともに決め手を欠く戦いは、血で血を洗う凄惨な者となり、幾多の戦友たちが地に伏していく。
 戦いは7日間続き、動ける者はオレと烈牙さん二人だけになっていた。
「いやはや、まさかお互いここまで生き残るとは思っていなかったのう」
 その両手にはマーチから奪った小太刀が一本ずつ握られている。
「全くですよ。オレなんて初日に死ぬと思ってました」
 銅貨を使い果たしたオレは、片手にグラデイオマギアを握り上段に構える。鍔先から発生しているのは、斥力ブレードではなく光子剣だ。烈牙さんの持つ武器がマーチの小太刀だから壊したくない訳ではなく、オレの魔力量がもう斥力ブレードを発生させられるだけ残っていないのだ。
 片手を上に、もう片手を下に構えた烈牙さんが、ジリジリとにじり寄ってくる。
 剣と剣の間合いに入ったところで、先に動くのはオレだ。上段より袈裟懸けに光子剣を振り下ろすが、それは烈牙さんが上に構えた小太刀で弾かれ、下からもう一つの小太刀が逆袈裟に斬り上げてくる。
 オレはそれをバックステップでかわし、突きを入れようとしたところで止まる。半身になった烈牙さんが小太刀を振り下ろしてきたからだ。止まってなかったら手首を斬り落とされていた。
 二歩三歩と後退して間合いを取り、またジリジリと間合いを詰める。
 剣の間合いに入り、先に動いたのは烈牙さんだ。上下右左袈裟逆袈裟と変幻自在に小太刀を操り、オレを翻弄していく。その猛攻に防戦一方のオレは、一瞬でも気を抜けば首を持っていかれるヒリヒリとした感覚から、逃げ出したい衝動を抑えながら、努めて冷静な振りをして烈牙さんの小太刀を捌いていく。
「中々やるではないか」
 と猛攻の速度を加速させていく烈牙さん。
(ひいいいいい!!)
 と心の中で悲鳴を上げていると、いきなりガクンと足にきてしゃがんでしまう。
 ハッとしたのは両者同じだったようだ。オレが見上げると烈牙さんと目が合った。
 ザスッ
 一瞬早く攻撃を当てたのはオレだった。烈牙さんの脛に一撃当てたことで相手がその場から引いてくれた。オレもなんとか立ち上がり烈牙さんと間合いを取る。
 脛に当てた一撃は浅かったのだろう。烈牙さんはいまだ両足で立ち二刀を構えている。が、息が荒い。あまり持ちそうにはなさそうだ。ここを好機と捉えて攻め込むのが良手なのだろうが、足にきているのが不安で、一歩踏み出すのが遅れた。
 逆にオレが逡巡したほんの少しの間を好機と捉えた烈牙さんが、一気に距離を詰めて上の小太刀を真一文字に振り下ろしてくる。それを光子剣で止めようとして、だができなかった。魔力量が少なくなり過ぎて光子剣は消えてしまったのだ。
 が、それは烈牙さんにとっても誤算だった。ピタリとオレの頭上で止まる小太刀。上はフェイクだったのだ。
 ハッとしたオレは素早くポーチから剣を取り出し、脇腹を狙った下の小太刀を受け止めると、勢いのまま下の小太刀を弾き飛ばす。
「はあ、はあ、はあ」
「はあ、はあ、はあ」
 互いに正眼に武器を構え、オレは剣を、投げ飛ばす。そして烈牙さんが剣を叩き落としている隙に、ポーチからさらに一本剣を取り出し、烈牙さんの腹に突き刺した。
「ようやった」
 烈牙さんはオレの頭を抱えて耳元でそう呟くと、仰向けに倒れ込んだのだった。
「はあ、はあ、はあ」
 剣を支えに周りを見れば、倒れ伏した天使たちの血と夕陽で、世界は真っ赤にに染まっていた。
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