What should I do?

藍月夜

ep.3

「小泉、ちょっと来てくれ」

大友先生に呼ばれ悠人は手を合わせた。

「ちょっと待っててくれ。
絶対に寮まで案内するから!」 

そう言って颯爽と先生の元へ行った。
春は御手洗いに行き、俺は教室を出た所で待ち時間をどうしようかと辺りを見渡すと、ふっと目に入った風景に丁度良い場所を見付けた。
教室に居れば嫌な視線の的になり不快でしかなく、その場所から教室が見える為悠人や春が戻って来ても直ぐ分かるだろうと、俺はその場合に向かった。
そこは綺麗に整えられた中庭、緑地に囲まれ中心に花壇があり、綺麗な花々が咲き誇っていた。
正直花に関しては全く知識はないけれど、誰が見てもこれは綺麗だと思える景色だ。
涼しい風が吹き、とても落ち着く…

「ここは俺には似合わない」

俯き無意識にぼそっと口から出たその言葉に

「なぜた?」

誰もいないと思っていたこの場所で返事が返ってきた。
驚き振り返ると、緑地で隠れて見えなかったベンチに横たわっていた一人の男がいた。
俺と同じ制服だがネクタイの色が青で二年生だ。
目が合いベンチから立ち上がったその男の容姿に俺は見入ってしまった。
こんな美形がいるとかもうこれ以上は拝めないだろうその容姿は、男ならば誰もが憧れるものだ。

黒曜石の如く潤んだその深い瞳、きりっとして細すぎなく、首元まで伸びた癖のない黒髪は風が吹くと一本一本が絡まる事なく靡いていた。
出来物一つない肌は健康的な色合いできめ細かく、バランスの良い唇。
男の顔をずっと見ていた為か首か痛くなってきた。
俺より顔一つ分あるその身長は悠人よりも高い。
眉間に皺が寄ろうとも美形は崩れない。

「おい」

「あっ、えっと…
ほらお前程の容姿なら似合うけどさ、こんな容姿だし白い画用紙に黒い染みみたいなんがある感じてだな…」

正直苦しい言い訳ではあったが、顎に手を当て頷く男。
いやいや、自分の容姿ぐらい少しは否定しろよ。
普通なら分かってても否定するもんだ。
肯定してるもんだろ?
お前ナルシだな、絶対!
つうか、俺自分の容姿ぐらい分かってるし自分か汚れ的発言したけど、正直言って童顔で不細工では決してない!
男ならイケメンがいいがどっちかと言われればかわ……と言われる方だ。
そう思うと男の顔を見て恨めしく唇を噛み締めた。

「ここは誰だろうと休息出来る場所だ。
自分の容姿なんか気にせず落ち着けるこの場所で休みたい時に休め」

少し驚き恨めしく思った事に内心謝る。

「そうですか?
ありがとうございます」

一応お礼を言ったが、よく考えてみれば貶されているのか?
俺の容姿に返事がないという事は、汚れ的に見えてるわけか?
美形からすると俺の容姿はその位置付けと…。
今俺の笑顔が引きつってるだろう。

休みに来たわけじゃなく、ただの暇潰しで来ただけ。
休息に来たこいつとは違うし、もうそろそろ悠人も春も戻って来るだろ。

「先輩の休み中にお邪魔してすみませんでした。
俺時間潰しの為に来たようなもんなんで、もう戻るのでゆっくり休んで下さい。
美形なのに隈とかあったら勿体ないですからね」

そうして教室に戻ろうかと思ったものの、やっぱり少し言ってやろうか

「後あんたに貶されても、俺自身そんな顔立ち悪くないと思ってるんで」

そう先輩に言い放ち俺は教室の方へ見ると、悠人と春が戻って来た事に気付き走って教室に向かった。

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