炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
18節 小娘
「申し訳ありません。七日が気にかけてくれた余計なことのせいで少し時間がかかってしまいました」
ワカナが七日のことを妬むように見ながら言うと、アノニムが眉を顰めて低く七日に尋ねる。
「……どういうことだ」
「迷子にならないようにこの空間をうまく使うための力を少しワカナに渡したらそれが少し影響しちゃったみたい」
七日がお茶目に説明する。ウィンクまでして半分はふざけながらのお茶目具合だ。まともに見ていたら顔を容赦なく殴っておきたいくらいには腹が立つ。
「うん、わからん」
幸い七日の方を見ていなかったアノニムが短く答え、今度は目でワカナに説明を求めた。
「私ここに来たときボーッとしてたんですよ。それで、ここに来る瞬間くらいにここの情報が流れてきたんですね、頭に。で、そのお節介のせいで目の前にいた五日のことが心のそこから憎く思って、何かあのクソ野郎にも見えてきてとりあえず天井まで連れてって叩き落とそうと思ったわけですね。それから……」
思い出しながらワカナは説明する。にこりとも笑わずに厳しい目でアノニムのことを見ることもない。真剣に言っているので、アノニムも止めるのを一度躊躇った。
「もういい、ワカナは黙ってくれ。……で、私は聞いてないぞ」
「だって言ってないもん」
少し聞きずらそうにワカナの説明を耳に入れていたアノニムがワカナを止め、七日に短く強く尋ねた。半減させたお茶目さで七日は答え、耐えきれずに口がニヤッと笑った。
「報連相って聞いたことないのか?」
「私子供だったからわかんなーい」
キレ気味のアノニムが片眉をピクリと動かしながら何とか怒りを抑えて七日に尋ねた。こんな状況にも関わらずふざけながら七日は答えた。
プツっと頭の線がキレたアノニムが言わなきゃ良いものを言う。
「私より長生きだろうが婆」
「……あ?」
静かに聞き流して無視しようとしていたが、耳に入ってきたアノニムの言葉を疑って純粋な怒りを帯びた目で七日は短く聞き返した。
「私の三倍以上は生きてきたと聞いているが」
嘲るように笑ったアノニムが言う。
「ガキが……。今ここで絞め殺してやろうかな」
引き攣らせた笑顔で七日がアノニムの胸ぐらをつかんで言う。
「私は回復を続けるぞ? 何せ未練の塊だからな」
アノニムもアノニムで七日の腕をつかんで言い返す。
「ここでそんな理が通じると思うなよ小娘」
七日もアノニムも周りが見えなくなったかのように今にも殴り会いそうな気迫でお互いを見つめる。ワカナのことも麗菜のことも五日のことも頭から抜けきっているだろう。
「隠していたお婆様が出てきてますよー、婆」
「うっせぇな。そこの小僧とまとめて炭にしてくれようか」
そこで七日がハッとした顔で顔をあげた。
「……忘れてたー! 悪い悪い。ワカナに貸してた力が帰ってきた話だったよね。私は今この空間を支配する管理人なのでね、ハルカのところまで全員なんと今なら代償なしで送ってあげよう」
恥ずかしいところを見られたと言うように頬を赤く染めて七日は少し早口で言った。それをニマニマと見つめるのが二人。もう一人はアノニムに顔を地面に押し付けられたせいでその様子が見られないでいる。
「いいから行くよ! ワカナ、覚悟は良い?」
赤い顔を俯いて隠しながら七日がワカナに尋ねた。
「……もちろんです」
自然に上がってしまう口端をそのままにワカナが答えた。
ワカナが七日のことを妬むように見ながら言うと、アノニムが眉を顰めて低く七日に尋ねる。
「……どういうことだ」
「迷子にならないようにこの空間をうまく使うための力を少しワカナに渡したらそれが少し影響しちゃったみたい」
七日がお茶目に説明する。ウィンクまでして半分はふざけながらのお茶目具合だ。まともに見ていたら顔を容赦なく殴っておきたいくらいには腹が立つ。
「うん、わからん」
幸い七日の方を見ていなかったアノニムが短く答え、今度は目でワカナに説明を求めた。
「私ここに来たときボーッとしてたんですよ。それで、ここに来る瞬間くらいにここの情報が流れてきたんですね、頭に。で、そのお節介のせいで目の前にいた五日のことが心のそこから憎く思って、何かあのクソ野郎にも見えてきてとりあえず天井まで連れてって叩き落とそうと思ったわけですね。それから……」
思い出しながらワカナは説明する。にこりとも笑わずに厳しい目でアノニムのことを見ることもない。真剣に言っているので、アノニムも止めるのを一度躊躇った。
「もういい、ワカナは黙ってくれ。……で、私は聞いてないぞ」
「だって言ってないもん」
少し聞きずらそうにワカナの説明を耳に入れていたアノニムがワカナを止め、七日に短く強く尋ねた。半減させたお茶目さで七日は答え、耐えきれずに口がニヤッと笑った。
「報連相って聞いたことないのか?」
「私子供だったからわかんなーい」
キレ気味のアノニムが片眉をピクリと動かしながら何とか怒りを抑えて七日に尋ねた。こんな状況にも関わらずふざけながら七日は答えた。
プツっと頭の線がキレたアノニムが言わなきゃ良いものを言う。
「私より長生きだろうが婆」
「……あ?」
静かに聞き流して無視しようとしていたが、耳に入ってきたアノニムの言葉を疑って純粋な怒りを帯びた目で七日は短く聞き返した。
「私の三倍以上は生きてきたと聞いているが」
嘲るように笑ったアノニムが言う。
「ガキが……。今ここで絞め殺してやろうかな」
引き攣らせた笑顔で七日がアノニムの胸ぐらをつかんで言う。
「私は回復を続けるぞ? 何せ未練の塊だからな」
アノニムもアノニムで七日の腕をつかんで言い返す。
「ここでそんな理が通じると思うなよ小娘」
七日もアノニムも周りが見えなくなったかのように今にも殴り会いそうな気迫でお互いを見つめる。ワカナのことも麗菜のことも五日のことも頭から抜けきっているだろう。
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