炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
10節 イロク役、シアラ役
▼▼
「……っ……つぅ~。あぁあ? 」
少女は、激しい頭痛と共に目を覚ました。暗い森の中、風が木々の隙間を通り、恐ろしい音で少女に襲い掛かる。こんな森は嫌いだ。
「……目、覚めた? おはよう、悪魔さん」
真後ろからそんな優しく刺さるような声が聞こえてきた。少女は振り返る。その姿は知っている姿だった。
「……貴女、シアラという名前ですか? 」
「あー、理解したわ。来て、私たちの寝床に案内してあげるわ」
少女が尋ねるどシアラ゙が少女の手を引いて森の中を進む。
「あ、そうだ。貴女の名前は? 」
「…………アルゴライム、またはワカナとお呼びください」
ワカナは名乗った。いつも通りの赤く鋭い瞳で睨みながら。
「私はシアラか、あゆみって呼んで。まあ、詳しい話は着いてからにしましょうか」
゙シアラ゙は少し早足でワカナを誰かから隠すように寝床まで案内した。
その寝床は、山小屋のようなログハウスだった。その扉を静かに明け、ワカナを連れて中に入る。夜のせいか少し肌寒い外とは違い、太陽のようなポカポカとした優しい暖かさがあった。
「……おかえり、早かったな」
扉に背を向けて座る誰かが顔を向けずに言う。
「ただいま。ようやく最後の一人が来たわよ。吸血鬼ちゃん」
゙シアラ゙がそう言うと、誰かは振り返る。
驚いたように目を見開き、開いた口から乾いた声を漏らした。
「わ……若…………菜か…………? 都………………若菜…………」
「そうですけど、イロクですよね? 幽霊を見るような目はやめてくれますか? 」
゙イログは怯えるように若菜を見た。若菜に言われて二、三度大きく瞬きをして若菜に近づいてから落ち着いたように言った。
「……俺だ。榊 五日。ほら、六日の兄で昔よくゲームしただろ? 」
゙イログの言葉にワカナは首をかしげる。榊 五日を忘れるわけはない。けれど、ゲームをした覚えなんてない。それどころかワカナはゲームには疎く、何時からか諦めて出来るだけ遠ざけていた程だった。
「イロク役が五日でシアラ役が私、あゆみよ。ミコトからどこまで聞いたかわからないけど、私たちは貴女が来るのをずっと待っていたわ」
゙シアラ゙……あゆみは、゙イログ……五日とワカナの間を五日の方に手を置いて少し広げてから言った。わかりやすく指を指しながら少し眠そうに。
「ミコトを怒らせたので何も知りませんよ」
何も聞いていないのに知っている前提で話を進められそうだったのでワカナは伝えた。
「……あのカミサマって怒るんだな」
「あの髪が長い方の神様でしょ? そもそも感情あったんだ」
あゆみと五日は驚いたが、それを悟られないようにするためか、何度も瞬きをしながら言った。それでも信じられないわけではないようで、それもあるかと頷いていた。
「そんな訳なので位置から説明してもらえます? 」
「いや、若菜だし、面白いからこのままで良いだろ。説明は必要最低限だな」
「賛成~」
ワカナが五日とあゆみを順に見ながら説明を今度こそと求めたが、五日がそれを要らないと言うと、あゆみもそれに賛同した。
五日がこんな人だったのかと思い出すようにしながらも軽く衝撃を受けながらワカナは二人を見た。そして、外の空気を吸いたくなり今度は外出の許可を何となく求めてみた。
「ちょっと散歩してきて良いですか? 」
「ダメ、って言いたいけど」
「若菜だし平気だろ」
あっさりと許可された。理由には文句を言いたいところだが、許されたのでワカナは後ろの扉に手をかける。
外に出て扉を閉める直前、後ろから最後の忠告が聞こえた気がした。
「殺さないようにだけ気を付けてね」
優しく物騒にあゆみが言った。
「……っ……つぅ~。あぁあ? 」
少女は、激しい頭痛と共に目を覚ました。暗い森の中、風が木々の隙間を通り、恐ろしい音で少女に襲い掛かる。こんな森は嫌いだ。
「……目、覚めた? おはよう、悪魔さん」
真後ろからそんな優しく刺さるような声が聞こえてきた。少女は振り返る。その姿は知っている姿だった。
「……貴女、シアラという名前ですか? 」
「あー、理解したわ。来て、私たちの寝床に案内してあげるわ」
少女が尋ねるどシアラ゙が少女の手を引いて森の中を進む。
「あ、そうだ。貴女の名前は? 」
「…………アルゴライム、またはワカナとお呼びください」
ワカナは名乗った。いつも通りの赤く鋭い瞳で睨みながら。
「私はシアラか、あゆみって呼んで。まあ、詳しい話は着いてからにしましょうか」
゙シアラ゙は少し早足でワカナを誰かから隠すように寝床まで案内した。
その寝床は、山小屋のようなログハウスだった。その扉を静かに明け、ワカナを連れて中に入る。夜のせいか少し肌寒い外とは違い、太陽のようなポカポカとした優しい暖かさがあった。
「……おかえり、早かったな」
扉に背を向けて座る誰かが顔を向けずに言う。
「ただいま。ようやく最後の一人が来たわよ。吸血鬼ちゃん」
゙シアラ゙がそう言うと、誰かは振り返る。
驚いたように目を見開き、開いた口から乾いた声を漏らした。
「わ……若…………菜か…………? 都………………若菜…………」
「そうですけど、イロクですよね? 幽霊を見るような目はやめてくれますか? 」
゙イログは怯えるように若菜を見た。若菜に言われて二、三度大きく瞬きをして若菜に近づいてから落ち着いたように言った。
「……俺だ。榊 五日。ほら、六日の兄で昔よくゲームしただろ? 」
゙イログの言葉にワカナは首をかしげる。榊 五日を忘れるわけはない。けれど、ゲームをした覚えなんてない。それどころかワカナはゲームには疎く、何時からか諦めて出来るだけ遠ざけていた程だった。
「イロク役が五日でシアラ役が私、あゆみよ。ミコトからどこまで聞いたかわからないけど、私たちは貴女が来るのをずっと待っていたわ」
゙シアラ゙……あゆみは、゙イログ……五日とワカナの間を五日の方に手を置いて少し広げてから言った。わかりやすく指を指しながら少し眠そうに。
「ミコトを怒らせたので何も知りませんよ」
何も聞いていないのに知っている前提で話を進められそうだったのでワカナは伝えた。
「……あのカミサマって怒るんだな」
「あの髪が長い方の神様でしょ? そもそも感情あったんだ」
あゆみと五日は驚いたが、それを悟られないようにするためか、何度も瞬きをしながら言った。それでも信じられないわけではないようで、それもあるかと頷いていた。
「そんな訳なので位置から説明してもらえます? 」
「いや、若菜だし、面白いからこのままで良いだろ。説明は必要最低限だな」
「賛成~」
ワカナが五日とあゆみを順に見ながら説明を今度こそと求めたが、五日がそれを要らないと言うと、あゆみもそれに賛同した。
五日がこんな人だったのかと思い出すようにしながらも軽く衝撃を受けながらワカナは二人を見た。そして、外の空気を吸いたくなり今度は外出の許可を何となく求めてみた。
「ちょっと散歩してきて良いですか? 」
「ダメ、って言いたいけど」
「若菜だし平気だろ」
あっさりと許可された。理由には文句を言いたいところだが、許されたのでワカナは後ろの扉に手をかける。
外に出て扉を閉める直前、後ろから最後の忠告が聞こえた気がした。
「殺さないようにだけ気を付けてね」
優しく物騒にあゆみが言った。
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