炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
9節 警戒してる
冷たく半開きの目でワカナは言った。
「って言っても意味ないんだろうと思うので良いですよ」
無表情でどうにか持ちこたえようとしていたワカナの口が笑いを少し漏らした。口の端が微妙に上がり、意地の悪い笑みを浮かべている。
「……そう言ってくれる分には助かるが、今物凄く機能停止させたくなったな」
アノニムが不機嫌そうに言う。性格の悪い陰口を言うようにワカナが笑うのを見ているからだろう。見ていて無性に腹が立つ。
「すみません。仕返しだと思って許してくださいよ、仲間はずれの」
これまで何もわからない状態で話を聞き続けていたことがかなり頭にきていたらしい。皮肉を込めた笑顔でワカナが言うと、ミコトの眉がピクりと動いた。
「我は何も伝えずに落としたいんだが、賛成の者いるのだ? 」
ミコトも怒っていたらしい。そう言うと、アノニムはスッと手を挙げ、その後ろで仕方なさそうに笑いながらヒトミが、それを見てズィミアが手を挙げた。ヒトミはただ単に面白そうだったからだろうが。
「じゃあワカナ。困ったらシアラとイロクを頼るのだ。外見はわかるはずだから問題ないのだ」
全員が手を挙げたことを確認すると、ミコトはワカナを突き飛ばした。馬鹿力かワカナが軽すぎるのかかなり先まで飛ばされ足を崩すようにして倒れた。
倒れたその瞬間、光の輪がワカナを包んだ。そして、ほんの少しのアドバイスをミコトが捨てるように言うと、ワカナはその場から消えた。文字通り居たかどうかもわからないほど静かに全てが。
「……そんなに怒ることかしら? 」
ヒトミが静かに口を開き、ミコトに尋ねた。
「わからないのだ。我と同じ力を持つ者に会ったことがないのだ。……我は警戒してるのだ? 」
ミコトはワカナがいなくなった場所を見下すように見つめながら答えた。
「それはアノニムならわかるんじゃないかしら。あと、私ズィミアとお話ししたいから出ていってくれる? 」
スクッと立ち上がり、ヒトミは言った。アノニムとミコトを手で押しながら部屋の出口まで連れていき、追い出しながら。
「……で、アノニム。何なのだ? 」
追い出された場所でミコトはアノニムに訊く。
「お前の部屋に連れていけ。そしたら教えてやるよ」
アノニムが答えた。
ミコトは少し悩むようにジェスチャーをしてからアノニムの手を引いて自室の方へと歩き始めた。
「そんな引っ張られなくても私子供じゃないんだが」
「それもそうだが逃げられたら困るのだ」
アノニムが手を離してほしそうに言ってもミコトは離さない。振り返らない。作業的、事務的にただ物を運ぶように手を引き続ける。
「はぁ……まあ私からも聞きたいことあるし構わないか……」
独り言をぼやくようにアノニムがミコトのすぐ後ろで言った。
部屋にたどり着くまでこの二人に会話はない。足音と周りでウロウロしているように見える管理者の音しかそこにはない。
「って言っても意味ないんだろうと思うので良いですよ」
無表情でどうにか持ちこたえようとしていたワカナの口が笑いを少し漏らした。口の端が微妙に上がり、意地の悪い笑みを浮かべている。
「……そう言ってくれる分には助かるが、今物凄く機能停止させたくなったな」
アノニムが不機嫌そうに言う。性格の悪い陰口を言うようにワカナが笑うのを見ているからだろう。見ていて無性に腹が立つ。
「すみません。仕返しだと思って許してくださいよ、仲間はずれの」
これまで何もわからない状態で話を聞き続けていたことがかなり頭にきていたらしい。皮肉を込めた笑顔でワカナが言うと、ミコトの眉がピクりと動いた。
「我は何も伝えずに落としたいんだが、賛成の者いるのだ? 」
ミコトも怒っていたらしい。そう言うと、アノニムはスッと手を挙げ、その後ろで仕方なさそうに笑いながらヒトミが、それを見てズィミアが手を挙げた。ヒトミはただ単に面白そうだったからだろうが。
「じゃあワカナ。困ったらシアラとイロクを頼るのだ。外見はわかるはずだから問題ないのだ」
全員が手を挙げたことを確認すると、ミコトはワカナを突き飛ばした。馬鹿力かワカナが軽すぎるのかかなり先まで飛ばされ足を崩すようにして倒れた。
倒れたその瞬間、光の輪がワカナを包んだ。そして、ほんの少しのアドバイスをミコトが捨てるように言うと、ワカナはその場から消えた。文字通り居たかどうかもわからないほど静かに全てが。
「……そんなに怒ることかしら? 」
ヒトミが静かに口を開き、ミコトに尋ねた。
「わからないのだ。我と同じ力を持つ者に会ったことがないのだ。……我は警戒してるのだ? 」
ミコトはワカナがいなくなった場所を見下すように見つめながら答えた。
「それはアノニムならわかるんじゃないかしら。あと、私ズィミアとお話ししたいから出ていってくれる? 」
スクッと立ち上がり、ヒトミは言った。アノニムとミコトを手で押しながら部屋の出口まで連れていき、追い出しながら。
「……で、アノニム。何なのだ? 」
追い出された場所でミコトはアノニムに訊く。
「お前の部屋に連れていけ。そしたら教えてやるよ」
アノニムが答えた。
ミコトは少し悩むようにジェスチャーをしてからアノニムの手を引いて自室の方へと歩き始めた。
「そんな引っ張られなくても私子供じゃないんだが」
「それもそうだが逃げられたら困るのだ」
アノニムが手を離してほしそうに言ってもミコトは離さない。振り返らない。作業的、事務的にただ物を運ぶように手を引き続ける。
「はぁ……まあ私からも聞きたいことあるし構わないか……」
独り言をぼやくようにアノニムがミコトのすぐ後ろで言った。
部屋にたどり着くまでこの二人に会話はない。足音と周りでウロウロしているように見える管理者の音しかそこにはない。
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