炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
8節 情報不足です
「っはぁ~……けぇ~っきょく我なのだ」
ワカナ以外の四人が顔を見合わせたかと思うと、後ろを向いてワカナから隠れて何かこそこそとしていた。ワカナが頭の上にいくつかのはてなを浮かべながらその様子を見ていると、ミコトがガッカリした様子で突然振り返り、不満げに言った。
「負けは負け。諦めなさいよ」
「ヒトミの言う通りです。これは公平な勝負なのですから」
ヒトミとズィミアが得意気な笑みを浮かべる横でアノニムが呆れるように腰に手を当てて首を振った。
「……ん~、仕方ない! 我が話してやるから有り難く思うのだ、ワカナ! 」
吹っ切れた様子でワカナに向けて言う。
「状況がわかっていないんですけど何がどうしたらこんなことになるんですか」
ミコトがらしくもなく目を光らせながらワカナの肩に手を置いた。さっきまではヒトミが座っていたはずの椅子にアノニムが座り、ヒトミとズィミアが芝生に座るように涼しげに床に直接座っていた。
ワカナが浮かべていたはてなを全て纏めてぶつけるような強い目でミコトに尋ねた。
「ジャンケンみたいなものだ。今のでミコトが五十八連敗ってことだけ、そんな妬ましげに見てもこれ以上何もないぞ」
「……そう、ですか。頼むことがあるなら早く頼んでくれませんか? 待ちくたびれてきました」
アノニムの言葉に納得してない様子でワカナは答えた。そして、二、三歩下がって気を取り直すようにして言った。
「つまりだ、我の作った失敗作を完全に破壊してほしいのだ。言い換えれば消し去ってほしいのだ」
笑っていない笑顔でミコトはワカナに頼んだ。暖かく、そして冷たい冷たい声でミコトはワカナを眺めながら言った。
「わかりました。日が射す場所でも生きていけるような対策をしてくれるのなら、ですがね」
ミコトの様子を気味悪く思いながらワカナは頼み事を快く……渋々受け入れた。断ることができないとしか言えないが、今の自分が吸血鬼だということを思い出して日光の対策と一緒に言った。
「問題ないのだ。我ならそんなことどうとでも出来るのだ」
「忘れたのか? 私らは管理者でこいつは神だぞ? お前一人くらいの弱点なんてどうにでもなるさ」
今度はちゃんと笑ってミコトが偉そうに言う。それに補足するようにアノニムがミコトの肩を軽く叩いて言う。
「そんなどうにでもできる神様が相手だと聞いたんですが」
「あいつに書き換えなんてできないのだ。それに神にもなれる奴の情報なんて我にしか変えられないのだ」
「……情報不足です。アノニム、説明してください」
神にもなれるヤツ。話の流れではワカナの事なのであろうが、それを理解することはできなかった。仕方がないからこの中で一番まともな状態に見えるアノニムに尋ねた。
「なんで私に。まあ、お前がエラーで神になれるヒトミのような存在だってだけだ。サポートくらいしかできないヒトミとは規模が違うけどな。ワカナは管理者に生まれてくれば今頃神として活動してただろうよ」
残念だ、と言うようにアノニムは眉を下げながら言った。とてもつまらなそうに満足そうにため息混じりの声で。
ワカナはわからない、とも、理解できない、とも、信じられない、とも、意味不明だ、とも、現実離れしている、とも思ったが言わなかった。いや、言えなかった。既にこの状況が信じかれずに現実離れし、意味不明だからだ。今さら何を言われても驚かず、言葉を返す。
「で、そのコトを消したら私が神様になれと? 」
「話が早くて助かるのだ。……そんな顔しないでどうにか頼むのだ」
不機嫌に染まっていくワカナを見て嫌な予感がしたのかミコトは両手を合わせて必死に頼んでいるように見えた。
手遅れだが。
「断る」
ワカナ以外の四人が顔を見合わせたかと思うと、後ろを向いてワカナから隠れて何かこそこそとしていた。ワカナが頭の上にいくつかのはてなを浮かべながらその様子を見ていると、ミコトがガッカリした様子で突然振り返り、不満げに言った。
「負けは負け。諦めなさいよ」
「ヒトミの言う通りです。これは公平な勝負なのですから」
ヒトミとズィミアが得意気な笑みを浮かべる横でアノニムが呆れるように腰に手を当てて首を振った。
「……ん~、仕方ない! 我が話してやるから有り難く思うのだ、ワカナ! 」
吹っ切れた様子でワカナに向けて言う。
「状況がわかっていないんですけど何がどうしたらこんなことになるんですか」
ミコトがらしくもなく目を光らせながらワカナの肩に手を置いた。さっきまではヒトミが座っていたはずの椅子にアノニムが座り、ヒトミとズィミアが芝生に座るように涼しげに床に直接座っていた。
ワカナが浮かべていたはてなを全て纏めてぶつけるような強い目でミコトに尋ねた。
「ジャンケンみたいなものだ。今のでミコトが五十八連敗ってことだけ、そんな妬ましげに見てもこれ以上何もないぞ」
「……そう、ですか。頼むことがあるなら早く頼んでくれませんか? 待ちくたびれてきました」
アノニムの言葉に納得してない様子でワカナは答えた。そして、二、三歩下がって気を取り直すようにして言った。
「つまりだ、我の作った失敗作を完全に破壊してほしいのだ。言い換えれば消し去ってほしいのだ」
笑っていない笑顔でミコトはワカナに頼んだ。暖かく、そして冷たい冷たい声でミコトはワカナを眺めながら言った。
「わかりました。日が射す場所でも生きていけるような対策をしてくれるのなら、ですがね」
ミコトの様子を気味悪く思いながらワカナは頼み事を快く……渋々受け入れた。断ることができないとしか言えないが、今の自分が吸血鬼だということを思い出して日光の対策と一緒に言った。
「問題ないのだ。我ならそんなことどうとでも出来るのだ」
「忘れたのか? 私らは管理者でこいつは神だぞ? お前一人くらいの弱点なんてどうにでもなるさ」
今度はちゃんと笑ってミコトが偉そうに言う。それに補足するようにアノニムがミコトの肩を軽く叩いて言う。
「そんなどうにでもできる神様が相手だと聞いたんですが」
「あいつに書き換えなんてできないのだ。それに神にもなれる奴の情報なんて我にしか変えられないのだ」
「……情報不足です。アノニム、説明してください」
神にもなれるヤツ。話の流れではワカナの事なのであろうが、それを理解することはできなかった。仕方がないからこの中で一番まともな状態に見えるアノニムに尋ねた。
「なんで私に。まあ、お前がエラーで神になれるヒトミのような存在だってだけだ。サポートくらいしかできないヒトミとは規模が違うけどな。ワカナは管理者に生まれてくれば今頃神として活動してただろうよ」
残念だ、と言うようにアノニムは眉を下げながら言った。とてもつまらなそうに満足そうにため息混じりの声で。
ワカナはわからない、とも、理解できない、とも、信じられない、とも、意味不明だ、とも、現実離れしている、とも思ったが言わなかった。いや、言えなかった。既にこの状況が信じかれずに現実離れし、意味不明だからだ。今さら何を言われても驚かず、言葉を返す。
「で、そのコトを消したら私が神様になれと? 」
「話が早くて助かるのだ。……そんな顔しないでどうにか頼むのだ」
不機嫌に染まっていくワカナを見て嫌な予感がしたのかミコトは両手を合わせて必死に頼んでいるように見えた。
手遅れだが。
「断る」
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