炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
34節 悪魔と大天使の気絶
一通り変化があった資料に目は通してみたが、特にわかることはなかった。シアラが何でこんなことをしたのか少しでもわかればと思ったが、イロクが見た民以外の民は殺された者はいても寿命を変えられた者はいないくらいしかわからなかった。
「うわっ」
「おかえりラウカ。どうだった? 」
先に目が覚めたのは大悪魔の方だった。
「臨死体験を何回か繰り返した気分」
顔色が悪い大悪魔が言葉を返した。
「ハハハ、だろうな」
イロクは小刻みに震える大悪魔を無表情で笑いながら答えた。
「だろうなって……。わかってるならやめてくれよ兄ちゃん」
「文句ならヒサに言ってくれ。やれって言ったのはそいつなんだから」
イロクはまだ目が覚めないヒサを見て言った。流石に長すぎる気がしてきて少し近づく。悪夢を見ているわりには顔色がよすぎる。
「強制的に起こしてくれ」
「僕が? 兄ちゃんがやってよ。今気分悪いし」
どこから出したのか、大悪魔は水を一杯グッと飲み干してからイロクの頼みを断った。顔は当然青白い。
「そんなこと言っても私にできるのは殺めることと眠らせることだけだ。起こすのはできない」
眠っている大天使に違和感を覚えたイロクは少し焦りながら大悪魔に頼む。頼むと言うよりはほとんど命令だが。
「えー、わかったよ……。やればいいんだろ」
大悪魔は、渋々指をパチンと鳴らして大天使を起こそうとした。それでも全く起きる気配のない大天使を見て、あれ? と何回か指を鳴らした。
「兄ちゃん、起きない」
「やっぱりか、こいつ気を失ってるぞ」
パチパチパチパチと連続で大天使を起こそうとしながら大悪魔はイロクに言った。イロクはその手をやめろと言う風に指を指してから確信したことを言った。
「え」
「死にかけたことがないやつには刺激が強すぎるらしい」
「え、僕死にかけたことなんて無いけど」
ため息をつきながら言ったイロクの言葉に大悪魔が疑問を持ちながら返すと、イロクは声を低くして怒りを露にした。
「お、ま、え、なぁ~。よぉーくおもいだしてからもういちどいってみろぉ? なぁ? 」
ゆっくりと大悪魔に近づきながらゆっくりとため息を吐くように言った。よく見ると無理に笑顔は保っているが、表情筋だけ不自然に震えている。
思い出すことを建前にその恐ろしいイロクの顔を見ないように目を瞑った大悪魔は、一応考えることにした。死にかけたことなんてあった覚えがない。
「思い出せないならよく聞けよ、普通は何日も目を覚まさないなんてないんだよ」
大悪魔が眉間にシワが寄るほど過去を遡っていると、イロクが仕方なさそうに教えてくれた。
「あ、そういえば昔僕が目を覚ましたとき兄ちゃん泣いてた」
子供の頃の話になるが、一ヶ月ほど大悪魔が寝込んだまま目を覚まさずにいたときがあり、イロクが泣いて看病していた。大悪魔はそのときのことを思い出したのだ。
「それで感覚が麻痺してるがいつもお前死にかけてるからな」
「あ、そうなんだ。心配かけてごめんな、兄ちゃん」
このまま少し和む兄弟の会話に入りそうになったとき、イロクは忘れそうになっていたことを思い出した。
「ヒサ、どうしよう」
「うわっ」
「おかえりラウカ。どうだった? 」
先に目が覚めたのは大悪魔の方だった。
「臨死体験を何回か繰り返した気分」
顔色が悪い大悪魔が言葉を返した。
「ハハハ、だろうな」
イロクは小刻みに震える大悪魔を無表情で笑いながら答えた。
「だろうなって……。わかってるならやめてくれよ兄ちゃん」
「文句ならヒサに言ってくれ。やれって言ったのはそいつなんだから」
イロクはまだ目が覚めないヒサを見て言った。流石に長すぎる気がしてきて少し近づく。悪夢を見ているわりには顔色がよすぎる。
「強制的に起こしてくれ」
「僕が? 兄ちゃんがやってよ。今気分悪いし」
どこから出したのか、大悪魔は水を一杯グッと飲み干してからイロクの頼みを断った。顔は当然青白い。
「そんなこと言っても私にできるのは殺めることと眠らせることだけだ。起こすのはできない」
眠っている大天使に違和感を覚えたイロクは少し焦りながら大悪魔に頼む。頼むと言うよりはほとんど命令だが。
「えー、わかったよ……。やればいいんだろ」
大悪魔は、渋々指をパチンと鳴らして大天使を起こそうとした。それでも全く起きる気配のない大天使を見て、あれ? と何回か指を鳴らした。
「兄ちゃん、起きない」
「やっぱりか、こいつ気を失ってるぞ」
パチパチパチパチと連続で大天使を起こそうとしながら大悪魔はイロクに言った。イロクはその手をやめろと言う風に指を指してから確信したことを言った。
「え」
「死にかけたことがないやつには刺激が強すぎるらしい」
「え、僕死にかけたことなんて無いけど」
ため息をつきながら言ったイロクの言葉に大悪魔が疑問を持ちながら返すと、イロクは声を低くして怒りを露にした。
「お、ま、え、なぁ~。よぉーくおもいだしてからもういちどいってみろぉ? なぁ? 」
ゆっくりと大悪魔に近づきながらゆっくりとため息を吐くように言った。よく見ると無理に笑顔は保っているが、表情筋だけ不自然に震えている。
思い出すことを建前にその恐ろしいイロクの顔を見ないように目を瞑った大悪魔は、一応考えることにした。死にかけたことなんてあった覚えがない。
「思い出せないならよく聞けよ、普通は何日も目を覚まさないなんてないんだよ」
大悪魔が眉間にシワが寄るほど過去を遡っていると、イロクが仕方なさそうに教えてくれた。
「あ、そういえば昔僕が目を覚ましたとき兄ちゃん泣いてた」
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「それで感覚が麻痺してるがいつもお前死にかけてるからな」
「あ、そうなんだ。心配かけてごめんな、兄ちゃん」
このまま少し和む兄弟の会話に入りそうになったとき、イロクは忘れそうになっていたことを思い出した。
「ヒサ、どうしよう」
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