炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
8節 悪魔と天使の仕事見学
「あ、ごめんシアラ。ちょっと仕事してくる」
シアラと同時にイロクも遠くに少女を見つけていた。そして、その少女の寿命を見てすぐにそう言うと、走って少女の方へ向かった。あり得ないほどのスピードで。
「ちょっと! イロク、待って! 」
シアラの止める声はイロクに届くことなく、イロクは少女のすぐ近くに着いてしまった。少女は不思議そうにイロクを見つめ、周りにいる人もイロクを警戒しているように見ていた。
「こんばんは、お嬢様。貴女はこの辺の貴族の方ですか? 」
イロクはにこりと微笑んでから少女に話しかけた。周りにいる人の多さ、着ている服の派手さで貴族と判断したようだ。
「そうよ。お前は誰? この私に許可なく挨拶するなんて、場合によっては殺すわよ。でもまあ、お前可愛いからメイドくらいにならしてやるわ」
イロクが着ている服から中級身分の女だと思ったのか少女は偉そうに振る舞った。まだ幼く、嫌味というよりはただのわがままにしか聞こえないが、貴族の子供がよくとる態度だった。シアラはあれが嫌いだ。
「私は通りすがりの占い師です。お嬢様に不吉な相が出ているので忠告に参りました」
イロクは少女の態度に笑顔を曇らせることなく、声色を変えることなくそう言った。
「忠告? 」
「はい、忠告です。お聞きになりますか? お嬢様」
「お前バカなのかしら? この私が身分の低いやつの話を聞くと思って? 時間の無駄だったわ、帰りましょ」
少女はイロクの話を聞かずにその場からいなくなってしまった。少し離れた場所から見ていたシアラをイロクは睨み、笑顔で歩いて帰ってきた。
「ごめんな、シアラ。忠告できなかったよ」
「何やってんのイロク。あの民今日死ぬ人でしょ? 」
今日死ねなければならない民に誰も担当が憑いていないのは珍しい。それを見てイロクは自分の担当にしたのだ。
「今夜あの子の寝室に遊びに行こうと思ってな。他の民に先を越されないようにと思ったんだが、あれじゃどうかな」
イロクは少女が誰かに殺されると考えているようだ。少女が去っていった方を見ながら笑ってそう言った。
「今夜のことなら、夜考えればいいじゃない。俺の仕事だってあるの、無駄なことしないで」
「はいはい」
そう言ってシアラは貧困層の民が多くいる場所に向かった。
そこでシアラは寿命を迎えずに死んでしまいそうな子供に果物を与えた。家の中に入って果物を食べさせ、寿命が近い民の家には近寄らなかった。
イロクは手伝いとして寿命で朽ちるように進行性の病を与えていった。そんなこと子供も大人も知るよしもない。
日が沈み、少ししてみんな寝静まる頃。倉庫にシアラとイロクが戻った。一度中に入って少し話をした後すぐに二人は出ていった。
天使が悪魔の仕事を見学するために。
シアラと同時にイロクも遠くに少女を見つけていた。そして、その少女の寿命を見てすぐにそう言うと、走って少女の方へ向かった。あり得ないほどのスピードで。
「ちょっと! イロク、待って! 」
シアラの止める声はイロクに届くことなく、イロクは少女のすぐ近くに着いてしまった。少女は不思議そうにイロクを見つめ、周りにいる人もイロクを警戒しているように見ていた。
「こんばんは、お嬢様。貴女はこの辺の貴族の方ですか? 」
イロクはにこりと微笑んでから少女に話しかけた。周りにいる人の多さ、着ている服の派手さで貴族と判断したようだ。
「そうよ。お前は誰? この私に許可なく挨拶するなんて、場合によっては殺すわよ。でもまあ、お前可愛いからメイドくらいにならしてやるわ」
イロクが着ている服から中級身分の女だと思ったのか少女は偉そうに振る舞った。まだ幼く、嫌味というよりはただのわがままにしか聞こえないが、貴族の子供がよくとる態度だった。シアラはあれが嫌いだ。
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「忠告? 」
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少女はイロクの話を聞かずにその場からいなくなってしまった。少し離れた場所から見ていたシアラをイロクは睨み、笑顔で歩いて帰ってきた。
「ごめんな、シアラ。忠告できなかったよ」
「何やってんのイロク。あの民今日死ぬ人でしょ? 」
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「今夜あの子の寝室に遊びに行こうと思ってな。他の民に先を越されないようにと思ったんだが、あれじゃどうかな」
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天使が悪魔の仕事を見学するために。
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