炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
45節 何故出来る
"それ"は、またしばらく孤独だった。あの赤子のようなものから得られたものは多かったが、失ったものもまた、多かった。
孤独がこれほど締め付けられるものだと、捨てたものがこれほど愛しく思うなど、"それ"は想像も出来ていなかった。
─冷たい
自分の体を触り、"それ"は思った。捨てたあれからは温もりを感じることが出来たのに、同じものならば暖かいはずなのに。
そして、”それ”は、理解した。
あれは自分と同じではなかった。あれは、失敗作だ。また創ればいい。自分には創ることができる。ならば、成功するまで創ればいい。失敗すれば、捨てればいい。
"それ"は、何度も作り続けた。一つずつ創っていたものを二つずつにしてみたり、さらに増やしてみたり。変化を見た。変わらなかった。
そして、いつしか飽きた。"それ"は、飽きを学んだ。
なんとなく、これまでに創ったものを数えたくなった。願望だろうか。とにかく、数えたくなった。
捨てただけだ。見たくはないが、はじめの空間を覗けば、数えることはできる。"それ"は、何もない空間に無意識で恐れを感じていた。
色もない。光もない。黒のような、赤のような、赤のような、青のような、緑のような、白のような。もしかしたら、見えるのいう概念は無いのかもしれない。数えられないかもしれない。けれど、"それ"は見れるとわかっていた。自分ならば可能だと信じた。
"それ"は、自分のある空間に寝転がって視覚を遮断した。そして、想像した。微かに残るはじめの空間にあった頃の感覚を。そして、また想像した。そこにある自分を。
─おかしい
そこには、ほとんど何もなかった。数えきれないほどのものを、様々な形に変えて創り、捨てていたのにあると思えるものは三つほどだった。
二つの無を彷徨い、漂っているものがあり、明らかに意思をもってその二つのものに近づいているものが一つ。"それ"は、見ていることにした。
意思を持つ一つは、少しずつ、本当に、少しずつ二つに近づいていた。まだ遠く離れている。しばらく接触することはないはずだ。
それでも、興味というものが"それ"に沸いた。他にすることがなかったからか、何故かあまり変化しないものを見ていても飽きなかった。
"それ"は、遠くから眺めていたその光景を近くで見ることにした。そして、意思を持つものの形をハッキリと捉えた。
"それ"が今までに創ってきたものは全て赤子のように小さな時に捨てていたはずだ。あんなに自分と同じくらい大きなものなど知らない。そして、そのもののほとんどが"それ"と似ていた。
ただ一つ、違うとするならば、その目から流れる液体だけだ。
しばらくすると、意思を持つものは他二つのもののうち一つに触れられるほど接近していた。そして、小さなそれを抱きしめた。気がつけば、小さなものは消えていた。意思を持つものが消した。
そして、"それ"は思った。
─何故出来る
自分ですら消せなかったものを自分の知らないものが簡単に消してしまうのだ。不思議でならない。
そして、意思を持つものは、また目から液体を流した。
その光景を"それ"は、よくわからないが美しい光景として見入っていた。
孤独がこれほど締め付けられるものだと、捨てたものがこれほど愛しく思うなど、"それ"は想像も出来ていなかった。
─冷たい
自分の体を触り、"それ"は思った。捨てたあれからは温もりを感じることが出来たのに、同じものならば暖かいはずなのに。
そして、”それ”は、理解した。
あれは自分と同じではなかった。あれは、失敗作だ。また創ればいい。自分には創ることができる。ならば、成功するまで創ればいい。失敗すれば、捨てればいい。
"それ"は、何度も作り続けた。一つずつ創っていたものを二つずつにしてみたり、さらに増やしてみたり。変化を見た。変わらなかった。
そして、いつしか飽きた。"それ"は、飽きを学んだ。
なんとなく、これまでに創ったものを数えたくなった。願望だろうか。とにかく、数えたくなった。
捨てただけだ。見たくはないが、はじめの空間を覗けば、数えることはできる。"それ"は、何もない空間に無意識で恐れを感じていた。
色もない。光もない。黒のような、赤のような、赤のような、青のような、緑のような、白のような。もしかしたら、見えるのいう概念は無いのかもしれない。数えられないかもしれない。けれど、"それ"は見れるとわかっていた。自分ならば可能だと信じた。
"それ"は、自分のある空間に寝転がって視覚を遮断した。そして、想像した。微かに残るはじめの空間にあった頃の感覚を。そして、また想像した。そこにある自分を。
─おかしい
そこには、ほとんど何もなかった。数えきれないほどのものを、様々な形に変えて創り、捨てていたのにあると思えるものは三つほどだった。
二つの無を彷徨い、漂っているものがあり、明らかに意思をもってその二つのものに近づいているものが一つ。"それ"は、見ていることにした。
意思を持つ一つは、少しずつ、本当に、少しずつ二つに近づいていた。まだ遠く離れている。しばらく接触することはないはずだ。
それでも、興味というものが"それ"に沸いた。他にすることがなかったからか、何故かあまり変化しないものを見ていても飽きなかった。
"それ"は、遠くから眺めていたその光景を近くで見ることにした。そして、意思を持つものの形をハッキリと捉えた。
"それ"が今までに創ってきたものは全て赤子のように小さな時に捨てていたはずだ。あんなに自分と同じくらい大きなものなど知らない。そして、そのもののほとんどが"それ"と似ていた。
ただ一つ、違うとするならば、その目から流れる液体だけだ。
しばらくすると、意思を持つものは他二つのもののうち一つに触れられるほど接近していた。そして、小さなそれを抱きしめた。気がつけば、小さなものは消えていた。意思を持つものが消した。
そして、"それ"は思った。
─何故出来る
自分ですら消せなかったものを自分の知らないものが簡単に消してしまうのだ。不思議でならない。
そして、意思を持つものは、また目から液体を流した。
その光景を"それ"は、よくわからないが美しい光景として見入っていた。
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