炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~

黄崎うい

35節 やっぱり、話さないとダメ?

 アルゴライムは、ヒトミが座ったことを確認すると、カップの中のお茶を飲んだ。かなり洋風の器なのにもかかわらず、風味は緑茶にかなり近いものだった。どうせなら湯飲みがよかったと思いながらもアルゴライムはお茶を飲みほした。

「さて、どこから説明してもらいましょうか? 」

「私の好きなところからでもいいかしら? どうせ全部話させるんだから」

「……もういいですよ、どこからでも。どうぞ」

 アルゴライムは、多少は仕方無さげに頷きながら、背もたれに寄りかかった。話が長くなることを察してか、詳しく長く話させるつもりなのかは自分でもよくわかっていなかった。

「わかったわ。何でもいいのね」

 そう言ってヒトミは黙って考え始めた。しっかりと考えていることが確認できると、アルゴライムは余裕をもって揺ったりと座って急に襲ってきた睡魔に全てを委ねていた。

──────

────────────

──────────────────

「ちょっと? 説明しようと思ってるのに何で寝てるのよ。時間がないっていう説明はしたあとのはずよ? それに、ここ神界じゃないから時間操作はできないのよ? 」

 脳が激しく揺れる程の勢いで肩を揺すられたアルゴライムは、多少の吐き気を伴いながら目を覚ました。眉を寄せ、不機嫌なことをヒトミに示すと、立ち上がって少し背伸びをした。

「生き物は、睡眠をとらずにはいられないんです。ここが下界なら眠くもなりますよ。何であなたが平気なのかが疑問です」

 目を擦り、欠伸をしながらヒトミを鋭い目で見、んー、と唸っていた。朝が弱いのは、何年生きても、生まれ変わっても一切変わらないようだ。

 アルゴライムは、一度目を固く瞑り、パッと勢いよく開いた。そして、大きく息を吸い、それを吐ききり、再び息を軽く吸うと姿勢をただし、ヒトミの方をしっかりと見てストンと座った。

「話してください」

「その切り替えの早さだけは見習いたいものよね」

 ヒトミは首を回し、ため息をつきながら、明らかに話したくなさそうな顔をしてアルゴライムを見たが、それに気がつかない振りをされて仕方なく話始めた。

 と、思ったが、結局ヒトミの口から出てきたものはただの愚痴ともとれる言葉だった。

「やっぱり、話さないとダメ? 」

「その切り替えの悪さだけは、神であろうと何であろうと見習ってはいけませんね。早く話せと言っているんです。優しく言っている間に早くしましょうか」


次回予告!!!

ヒトミがほとんど話している!結果、セリフ率高め!てか、九割越え!

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品