炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
17節 アノニム……?
「待ってください。その前にひとつ、あなたに聞きたいことがあるんですけど……」
アルゴライムは、アノニムが何かを言い出そうとしているのを遮ってそう言った。そして、アノニムを睨み付けて言った。
「あなた、ズィミアですよね? どうしてアノニムの振りをしてここにいるんですか? 」
アルゴライムのその目は、アノニムの姿をしているズィミアに敵意を向けていた。その視線をズィミアはニコリと受け取り、その輪郭はぼやけ始めた。そのぼやけたものが再び鮮明になったときには、アノニムの面影は微塵もなく、さっき会ったばかりのズィミアがそこにはいた。
「よくお気づきですね、アルゴさん。気づかれない自信があったのですが……。アッハッハハ……」
「この部屋の外まではアノニムでしたよね、ずっとここにいたんですか? 」
ズィミアが笑っているのを無視してアルゴライムは話を続けた。すると、さっきまで腹を抱えて大声で笑っていたその声がピタリとやみ、ズィミアはスゥッとアルゴライムの方を見た。
「勘が鋭いんですね。せっかく貴女が混乱しないようにアノニムには僕の演技をするように頼んでいたというのに……。アノニムの演技、良いクオリティーでしたよね、僕の自信作です」
「性格変わってませんか? 」
言葉遣いは相変わらず、互いに敬語を使っている。しかし、前に見た表情に乏しい顔はなくなり、笑みを浮かべているズィミアがいた。それを見たアルゴライムは、リリスのこともあり、もう驚かなくはなっていたが、少し不気味さを覚え、問いた。
「素です。取り繕う必要なんてもうないじゃないですか。貴女に僕の目的をお話ししたことがありましたっけ? 」
「アノニムじゃないの? 誰か知らないけど、急がなきゃいけないんじゃなかったの? そんな目的とかどうでも良いからはやくし……」
「リリスは黙っててくださいね。無理なら少し痛いんですけど、黙らせますよ」
リリスの言葉を遮り、そう言ったズィミアの目は、とても管理者の目には見えなかった。表現するのであれば、薄汚れた欲望か歪みきった愛情だろうか。全ての者に多少の恐怖を与え、主張を無理にでも通そうとするどちらかといえば生命体の目だ。いや、そう言ってしまえば生命体に失礼だろう。
その瞳に光は宿っていない。
「僕、ビズィミアーンヌイーの目的は一つなんですよ。僕とアノニムは利害の一致で行動を共にしているだけです。条件は僕の計画の邪魔をしないこと。それだけですよ。簡単でしょ? で、僕がアノニムに手を貸してこんなことをしている理由です。僕の計画を完遂するために必要だった。これも、それだけのことです」
ズィミアは、さっきアルゴライムが話した管理者とは対照的に聞いていないことまでペラペラと話した。
リリスは、ズィミアに脅されていて黙り込んでしまった。アルゴライムもどうしたものかと、匙を投げようとした。しかし、とあることを思いだし、その投げようとした匙をしっかりと掴んだ。
アルゴライムは、アノニムが何かを言い出そうとしているのを遮ってそう言った。そして、アノニムを睨み付けて言った。
「あなた、ズィミアですよね? どうしてアノニムの振りをしてここにいるんですか? 」
アルゴライムのその目は、アノニムの姿をしているズィミアに敵意を向けていた。その視線をズィミアはニコリと受け取り、その輪郭はぼやけ始めた。そのぼやけたものが再び鮮明になったときには、アノニムの面影は微塵もなく、さっき会ったばかりのズィミアがそこにはいた。
「よくお気づきですね、アルゴさん。気づかれない自信があったのですが……。アッハッハハ……」
「この部屋の外まではアノニムでしたよね、ずっとここにいたんですか? 」
ズィミアが笑っているのを無視してアルゴライムは話を続けた。すると、さっきまで腹を抱えて大声で笑っていたその声がピタリとやみ、ズィミアはスゥッとアルゴライムの方を見た。
「勘が鋭いんですね。せっかく貴女が混乱しないようにアノニムには僕の演技をするように頼んでいたというのに……。アノニムの演技、良いクオリティーでしたよね、僕の自信作です」
「性格変わってませんか? 」
言葉遣いは相変わらず、互いに敬語を使っている。しかし、前に見た表情に乏しい顔はなくなり、笑みを浮かべているズィミアがいた。それを見たアルゴライムは、リリスのこともあり、もう驚かなくはなっていたが、少し不気味さを覚え、問いた。
「素です。取り繕う必要なんてもうないじゃないですか。貴女に僕の目的をお話ししたことがありましたっけ? 」
「アノニムじゃないの? 誰か知らないけど、急がなきゃいけないんじゃなかったの? そんな目的とかどうでも良いからはやくし……」
「リリスは黙っててくださいね。無理なら少し痛いんですけど、黙らせますよ」
リリスの言葉を遮り、そう言ったズィミアの目は、とても管理者の目には見えなかった。表現するのであれば、薄汚れた欲望か歪みきった愛情だろうか。全ての者に多少の恐怖を与え、主張を無理にでも通そうとするどちらかといえば生命体の目だ。いや、そう言ってしまえば生命体に失礼だろう。
その瞳に光は宿っていない。
「僕、ビズィミアーンヌイーの目的は一つなんですよ。僕とアノニムは利害の一致で行動を共にしているだけです。条件は僕の計画の邪魔をしないこと。それだけですよ。簡単でしょ? で、僕がアノニムに手を貸してこんなことをしている理由です。僕の計画を完遂するために必要だった。これも、それだけのことです」
ズィミアは、さっきアルゴライムが話した管理者とは対照的に聞いていないことまでペラペラと話した。
リリスは、ズィミアに脅されていて黙り込んでしまった。アルゴライムもどうしたものかと、匙を投げようとした。しかし、とあることを思いだし、その投げようとした匙をしっかりと掴んだ。
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