炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
7節 暇潰し
「ズィミアですよね、そんなところに立っていないでお話ししませんか? 」
「よく私だとお気付きで……。構いませんよ。暇だったので世間話でもしに来たところです」
ズィミアはもう慣れたのか、特に何の反応眼示さずにさっきまでヒトミが座っていた椅子に座った。新しいティーカップを出すことができないのか、目の前にあったヒトミが使っていたティーカップを手にとって紅茶を飲みはじめた。
「そういえば、アルゴライムさん」
「長いので、省略して良いですよ。……後でアノニムにも言っておきますか」
アルゴライムは長い名前を嫌った。人間だったときも、基本的に苗字で人を呼んでいたが、苗字が五文字以上の人は下の名前で呼んでいた。だからか、何故自分でこんな名前を付けたのか未だに謎だ。恐らく、感情に任せていたらいつの間にかこの名前になっていたのだろう。しかし、こんな名前名乗りたくないほどだった。
「ではアルゴさんで良いですね? 」
「構いませんよ、何でも」
そんなに紅茶が気に入ったのか、やることが無さすぎて暇なのか。そう思うほどに紅茶を飲んでいた。既に三リットルは飲み干しているだろう。相当な量だ。それでも、アルゴライムは飲み続けていた。
「アルゴさん。貴女は何故、吸血鬼という希少種族に転生したかったのですか? 」
はじめ、転生ルームでアルゴライムはメジャーではない種族に生まれ変わりたいと言っていた。それが何故か、ズィミアはずっと疑問に思っていたのだ。
「同種族間の争いなんて見たくなかっただけですよ。それだけです」
「簡単な解答ですね。あともう一つ、さっきから気になっていたことが……」
ズィミアは、空になったティーカップを机におき、足を組んでアルゴライムに聞いた。
「何ですか? 」
「何でそんなに飲んでいるのでしょうか。確かに美味しいことは認めますが、そんなに飲むほどでしょうか」
ズィミアがそう聞き終えると、アルゴライムはニヤリと笑いながらティーカップをようやく机に置いて答えた。
「暇だからですよ。飲んでいれば余計なことを考えないですみますし、満腹感もないので永遠に飲み続けることができます。最高の暇潰しじゃないですか」
アルゴライムが答え終えると、何処から取り出したのか、ズィミアは三冊の本をアルゴライムの前に出した。
「持ってきてあげましたよ、貴女の大好きなシリーズ」
その手に持っているものにはカバーが掛けられていて見た目ではどういう物かわからない。しかし、ズィミアの一言でアルゴライムには何だかすぐにわかった。
「もしかして、『ゆーちゃん』シリーズですか! あの、隠れた名作と呼ばれ、愛読するものこそ少ないけれど、している者はその泥沼に落ちていき、二度と上がってこれないと言われている私の愛読書の! 」
アルゴライムの目は子供がずっと欲しかったオモチャをサンタにもらった時のようにキラキラと輝いていた。その変わりように、ズィミアは次の言葉に悩んでいた。
「よく私だとお気付きで……。構いませんよ。暇だったので世間話でもしに来たところです」
ズィミアはもう慣れたのか、特に何の反応眼示さずにさっきまでヒトミが座っていた椅子に座った。新しいティーカップを出すことができないのか、目の前にあったヒトミが使っていたティーカップを手にとって紅茶を飲みはじめた。
「そういえば、アルゴライムさん」
「長いので、省略して良いですよ。……後でアノニムにも言っておきますか」
アルゴライムは長い名前を嫌った。人間だったときも、基本的に苗字で人を呼んでいたが、苗字が五文字以上の人は下の名前で呼んでいた。だからか、何故自分でこんな名前を付けたのか未だに謎だ。恐らく、感情に任せていたらいつの間にかこの名前になっていたのだろう。しかし、こんな名前名乗りたくないほどだった。
「ではアルゴさんで良いですね? 」
「構いませんよ、何でも」
そんなに紅茶が気に入ったのか、やることが無さすぎて暇なのか。そう思うほどに紅茶を飲んでいた。既に三リットルは飲み干しているだろう。相当な量だ。それでも、アルゴライムは飲み続けていた。
「アルゴさん。貴女は何故、吸血鬼という希少種族に転生したかったのですか? 」
はじめ、転生ルームでアルゴライムはメジャーではない種族に生まれ変わりたいと言っていた。それが何故か、ズィミアはずっと疑問に思っていたのだ。
「同種族間の争いなんて見たくなかっただけですよ。それだけです」
「簡単な解答ですね。あともう一つ、さっきから気になっていたことが……」
ズィミアは、空になったティーカップを机におき、足を組んでアルゴライムに聞いた。
「何ですか? 」
「何でそんなに飲んでいるのでしょうか。確かに美味しいことは認めますが、そんなに飲むほどでしょうか」
ズィミアがそう聞き終えると、アルゴライムはニヤリと笑いながらティーカップをようやく机に置いて答えた。
「暇だからですよ。飲んでいれば余計なことを考えないですみますし、満腹感もないので永遠に飲み続けることができます。最高の暇潰しじゃないですか」
アルゴライムが答え終えると、何処から取り出したのか、ズィミアは三冊の本をアルゴライムの前に出した。
「持ってきてあげましたよ、貴女の大好きなシリーズ」
その手に持っているものにはカバーが掛けられていて見た目ではどういう物かわからない。しかし、ズィミアの一言でアルゴライムには何だかすぐにわかった。
「もしかして、『ゆーちゃん』シリーズですか! あの、隠れた名作と呼ばれ、愛読するものこそ少ないけれど、している者はその泥沼に落ちていき、二度と上がってこれないと言われている私の愛読書の! 」
アルゴライムの目は子供がずっと欲しかったオモチャをサンタにもらった時のようにキラキラと輝いていた。その変わりように、ズィミアは次の言葉に悩んでいた。
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