炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
4節 招きたくない客
「……ん~ん……」
アルゴライムは、洞窟の中で目を覚ました。リリスを殺すために探して約一日。リリスがいないから昼間は活動できず、近くの洞窟で休んでいる間に寝てしまっていた。
「……思い出したくない過去もあるものですね。それにしても、なぜ死んだはずなのに、あの転生ルームで片耳だけは六日さんの声をとらえていたのでしょうか」
転生ルームで微かに聞こえていた声は、確かに六日のものだったということを、アルゴライムは理解したのだ。
「△*さん! 嘘でしょ……。四日兄さんと麗菜先輩が事故じゃなかったってわかったのに……。悲しいことだけど、殺されたってわかったのに……」
六日の話によると、駅のホームで徹夜が原因でバランスを崩してしまった麗菜を助けた四日が、バランスを崩してしまい、転落。そこに運悪く電車が来て轢かれてしまった事故だった。しかし、目撃していた人々による証言で四日のことを突き飛ばした人がいたそうだ。
そのせいで大好きな姉を、アルゴライムは亡くしてしまった。そのせいで今、アルゴライムはここにいる。名前は聞いた。『小山 薫』四日に勝てるはずのないライバル心を燃やし、衝動的にやってしまったそうだ。
許さない。絶対に殺す。
アルゴライムの心を復讐の色に染め、この名をつけさせた張本人だった。
「それはいいんです。今、私にとって大切なことはリースを殺すということをだけなのですから」
冷静になって考えると、この世界でリリスを殺しても、このままでリリスの魂が消滅してもアルゴライムにとっては全く損にもならず、得にもならないのだ。そんなことは、アルゴライムには理解できる。それでも、一度決めてこのように行動を起こしてしまったのだ。もう、戻れるわけがない。
正直に言えば、リリスの居場所なんて探さなくてもわかるのだ。血の契約の能力を使えば、その配下にいる者の居場所など手に取るようにわかる。だが、それだと意味はない。アルゴライムは、上の者としてリリスを見つけるのではなく、対等な友達としてリリスを見つけて殺したいのだ。
「友と……そして、元姉を殺すことになるとは、この世の中、何があるかわかりませんね」
アルゴライムは察していた。自分がこの世界に来た本当の目的が、麗菜を殺すことだということを理解していた。消滅しないのだから、仕方がない。アノニムならそう言うだろう。しかし、アルゴライムに躊躇いはない。全てを悟ってしまったのだ。今の麗菜にアルゴライムの記憶はないということ、もう麗菜の面影を残していないことを。だから、アノニムは実際にアルゴライムと会ったのだということ。
麗菜お姉ちゃんでなければ、殺せる。お姉ちゃんでなければ、躊躇う必要すらない。仕方がない。
アルゴライムはそう言い聞かせた。
近くの木々がざわめいた。風が、危険を運んできた。実力者ではない。しかし、普通の者が近づいては行けない存在。少しずつだが、アルゴライムの方に近づいてきていた。
(……来ますね)
アルゴライムは変に落ち着いていた。まるで、旧友に会うように、血縁に会うようにしてアルゴライムは近づいてくる客を待っていた。
そして、足音が止まり、フードを被った一人の少年がアルゴライムの前に現れた。
「お久しぶりですね、アルゴライム・クローバーさん」
アルゴライムは、洞窟の中で目を覚ました。リリスを殺すために探して約一日。リリスがいないから昼間は活動できず、近くの洞窟で休んでいる間に寝てしまっていた。
「……思い出したくない過去もあるものですね。それにしても、なぜ死んだはずなのに、あの転生ルームで片耳だけは六日さんの声をとらえていたのでしょうか」
転生ルームで微かに聞こえていた声は、確かに六日のものだったということを、アルゴライムは理解したのだ。
「△*さん! 嘘でしょ……。四日兄さんと麗菜先輩が事故じゃなかったってわかったのに……。悲しいことだけど、殺されたってわかったのに……」
六日の話によると、駅のホームで徹夜が原因でバランスを崩してしまった麗菜を助けた四日が、バランスを崩してしまい、転落。そこに運悪く電車が来て轢かれてしまった事故だった。しかし、目撃していた人々による証言で四日のことを突き飛ばした人がいたそうだ。
そのせいで大好きな姉を、アルゴライムは亡くしてしまった。そのせいで今、アルゴライムはここにいる。名前は聞いた。『小山 薫』四日に勝てるはずのないライバル心を燃やし、衝動的にやってしまったそうだ。
許さない。絶対に殺す。
アルゴライムの心を復讐の色に染め、この名をつけさせた張本人だった。
「それはいいんです。今、私にとって大切なことはリースを殺すということをだけなのですから」
冷静になって考えると、この世界でリリスを殺しても、このままでリリスの魂が消滅してもアルゴライムにとっては全く損にもならず、得にもならないのだ。そんなことは、アルゴライムには理解できる。それでも、一度決めてこのように行動を起こしてしまったのだ。もう、戻れるわけがない。
正直に言えば、リリスの居場所なんて探さなくてもわかるのだ。血の契約の能力を使えば、その配下にいる者の居場所など手に取るようにわかる。だが、それだと意味はない。アルゴライムは、上の者としてリリスを見つけるのではなく、対等な友達としてリリスを見つけて殺したいのだ。
「友と……そして、元姉を殺すことになるとは、この世の中、何があるかわかりませんね」
アルゴライムは察していた。自分がこの世界に来た本当の目的が、麗菜を殺すことだということを理解していた。消滅しないのだから、仕方がない。アノニムならそう言うだろう。しかし、アルゴライムに躊躇いはない。全てを悟ってしまったのだ。今の麗菜にアルゴライムの記憶はないということ、もう麗菜の面影を残していないことを。だから、アノニムは実際にアルゴライムと会ったのだということ。
麗菜お姉ちゃんでなければ、殺せる。お姉ちゃんでなければ、躊躇う必要すらない。仕方がない。
アルゴライムはそう言い聞かせた。
近くの木々がざわめいた。風が、危険を運んできた。実力者ではない。しかし、普通の者が近づいては行けない存在。少しずつだが、アルゴライムの方に近づいてきていた。
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