炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
5節 嘘とプレゼント(アルゴライムside)
「っ! 」
読み終えると、リリスは顔を真っ青にして屋敷から逃げるように走って出ていった。リリスは、ルータスに嘘をつかれていた。確かにトキューバは長年続いてきた。しかし、代々は続いていなかった。恐らく、リリスは、十代以上続いていると教えられてきたのであろう。そして、元は鬼狼など存在せず、吸血鬼の亜種である一人の吸血鬼の少女による復讐劇がうみ出した鬼狼と吸血鬼の歴史だったのだ。
アルゴライムはすぐに追いかけようとした。でも、今は一人にしてあげたい。そう思ってしまった。名前を捨てても、トキューバを嫌いになったと口でどんなに言っても、やはり生まれて三百年以上その家で育ち、教えられてきた。だからなのか、今、森の奥で、たった一人でリリスが泣いているのがアルゴライムにはわかった。
いや、それがわかった理由は血の契約で交わされた主従の契りがあるからなのだが…。
「……まあ、あちらの家に近づきそうになったら止めに行きますか」
信じていた母が母親殺しだった、ずっと嘘をつかれていた、ショックだろう。アルゴライムはずっとリリスの居場所に全神経を集中させつつ、自室へと戻り、新しい趣味となったもの作りを始めた。
この屋敷の一室であるあの金庫、もしかしたらあそこにはこの世界の金や宝物が集まるのだろうか、この間、アルゴライムが見たとき、また金が増えていた。そして、宝石の原石があった。今はそれを加工している。うまくできるかはわからないが、プレゼントしたいと、ただそう思った。
アルゴライムは気づいているのだ。リリスが強くはないが、頭の片隅に吸血鬼について疑問を持っていたこと、トキューバを守るために自分のみを犠牲にしてまで吸血鬼を調べようとしたこと、あの時、本当は能力を使用せず、調べるためについてきたこと、そして…その後、アルゴライムが話す様子などを見て、信用できると確信できたことを。
「……ガーネット……ですかね、私の世界で言う、ですけど」
真っ赤な宝石が顔を出すと、アルゴライムは思い出した。前に紅い宝石をプレゼントしたことがあった。それはどこに行ったのか。
あのプレゼントした日以来、一度もリリスがつけている姿を見ていない。あの宝石が気に入らなかったのだろうか。だとしたら、これは迷惑だろうか。そうアルゴライムは思った。しかし、加工を続けた。
「プレゼントは、心が大切だとも言いますし、私はプレゼントしたいと言う気持ちをあげたいです」
思い返してみると、アルゴライムもあのときもらった服を着たことがない。大切に飾っているのだが、リリスはこの部屋に入ることはないから気づいていないはずだ。それならば、リリスは疑問に思うはず。
そんな事を思ったアルゴライムは、ある一つのことを心に決めた。
読み終えると、リリスは顔を真っ青にして屋敷から逃げるように走って出ていった。リリスは、ルータスに嘘をつかれていた。確かにトキューバは長年続いてきた。しかし、代々は続いていなかった。恐らく、リリスは、十代以上続いていると教えられてきたのであろう。そして、元は鬼狼など存在せず、吸血鬼の亜種である一人の吸血鬼の少女による復讐劇がうみ出した鬼狼と吸血鬼の歴史だったのだ。
アルゴライムはすぐに追いかけようとした。でも、今は一人にしてあげたい。そう思ってしまった。名前を捨てても、トキューバを嫌いになったと口でどんなに言っても、やはり生まれて三百年以上その家で育ち、教えられてきた。だからなのか、今、森の奥で、たった一人でリリスが泣いているのがアルゴライムにはわかった。
いや、それがわかった理由は血の契約で交わされた主従の契りがあるからなのだが…。
「……まあ、あちらの家に近づきそうになったら止めに行きますか」
信じていた母が母親殺しだった、ずっと嘘をつかれていた、ショックだろう。アルゴライムはずっとリリスの居場所に全神経を集中させつつ、自室へと戻り、新しい趣味となったもの作りを始めた。
この屋敷の一室であるあの金庫、もしかしたらあそこにはこの世界の金や宝物が集まるのだろうか、この間、アルゴライムが見たとき、また金が増えていた。そして、宝石の原石があった。今はそれを加工している。うまくできるかはわからないが、プレゼントしたいと、ただそう思った。
アルゴライムは気づいているのだ。リリスが強くはないが、頭の片隅に吸血鬼について疑問を持っていたこと、トキューバを守るために自分のみを犠牲にしてまで吸血鬼を調べようとしたこと、あの時、本当は能力を使用せず、調べるためについてきたこと、そして…その後、アルゴライムが話す様子などを見て、信用できると確信できたことを。
「……ガーネット……ですかね、私の世界で言う、ですけど」
真っ赤な宝石が顔を出すと、アルゴライムは思い出した。前に紅い宝石をプレゼントしたことがあった。それはどこに行ったのか。
あのプレゼントした日以来、一度もリリスがつけている姿を見ていない。あの宝石が気に入らなかったのだろうか。だとしたら、これは迷惑だろうか。そうアルゴライムは思った。しかし、加工を続けた。
「プレゼントは、心が大切だとも言いますし、私はプレゼントしたいと言う気持ちをあげたいです」
思い返してみると、アルゴライムもあのときもらった服を着たことがない。大切に飾っているのだが、リリスはこの部屋に入ることはないから気づいていないはずだ。それならば、リリスは疑問に思うはず。
そんな事を思ったアルゴライムは、ある一つのことを心に決めた。
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