炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
3節 クローバーの鬼(2)
「じゃあ朝になったら出掛けましょうか」
今はまだ、門が開かない時間。それまでの時間、二人はくつろいでいた。このときに図書室に足を運んでいれば、などと公開するなんてこのとき、まだ二人は気づかなかった。
「でも、あの町の門が冬になると開かなくなるんですね……」
町の入り口にある門は、真冬になると閉じきってしまう。というよりは凍ってしまい、暖かくなるまで開くことができなくなってしまう。しかし、開ききることはできない。だから町の外に住む者は冬の始めに買い出しに行くのだ。そしてその時期は良いものも安く仕入れることができるので、お金に悩むことのなく、門がしまっていても自由に出入り出来るリリスですら、毎年町に行っている。
「私はいいんだけど貴女はいまいかないとバレるしね。ライムは人間、または人狼、鬼狼であると言う設定で鬼狼ですら羽の形が違うんだもの。飛べないわね……」
「吸血鬼で悪かったですね」
アルゴライムは嫌味のように言った。鬼狼の羽は藍色をしていた。サイズも小さめで軸も青い。それに対し、吸血鬼の羽は紫の色をしていた。サイズはかなりの大きさで、その軸は黒い。そして何より違うのは、吸血鬼が羽を出すと、力の抑えがきかなくなり、この間森の奥で飛ぼうとしたら木を二、三本灰にした。
「私が飛んで町に行ったら家や店が燃えてしまいます」
「そうよねぇ……。バレてもそうだとわかれば吸血鬼であろうとなかろうと町には近づけなくなるわ」
リリスは悩みながら言った。だがしかし、やはり二人は知らなかった。トキューバ家が吸血鬼を忌み嫌う本当の理由を。そして、図書室の一角にある『トキューバ』と言う本は読まれることなく消えた。
そして二人は、とりあえず、歩いて町まで行くことをきめ、町に向かった。
「あのね……ライム、すごく……嫌な予感がするのよね」
道中、リリスがふと言った。
「ああ、私もです。何かいそうな気がします。それでも今日いかなければもう行けないじゃないですか」
アルゴライムとリリスのなかでは同じ予感が芽生えていた。もし、この予感が当たっていれば、最悪の場合、第二次吸血鬼戦争の火種になることは間違いなかった。
「まあ、私は負けませんし」
「その自信がどこから来るのか気になるわ……」
そんな会話をしているうちに、町の門が見えてきた。そして、案の定。リリスにとっては馴染み深い顔の兵達が町の入り口を塞いでいた。
「町に入れないのですが」
そんな兵にアルゴライムは躊躇うことなく話しかけた。
「名を名乗れ」
「……人に名を訪ねるならばそちらの主人が先に名乗るべきだと思われるのですが…」
「あのお方のお名前とお前の名前が同等の価値だと思ってるのか? 」
「はい。もしくは私の方が上かと」
確かに財力ではそうであることに間違いはなかった。しかし、そのアルゴライムの言葉を聞いた兵達は、持っていた武器をアルゴライムに向け、一部は町にいる主の元へ向かった。
「いま、我らの主がここへ来る。その無礼を詫び、そしてその罪、死で償え」
「やめろ。私がやめろと指示するわ」
兵がアルゴライムに言うと、それまでの数歩下がって様子を見ていたリリスが兵に向けてやけに強い口調で言った。
はい。宣言通り三回以上になります。
今はまだ、門が開かない時間。それまでの時間、二人はくつろいでいた。このときに図書室に足を運んでいれば、などと公開するなんてこのとき、まだ二人は気づかなかった。
「でも、あの町の門が冬になると開かなくなるんですね……」
町の入り口にある門は、真冬になると閉じきってしまう。というよりは凍ってしまい、暖かくなるまで開くことができなくなってしまう。しかし、開ききることはできない。だから町の外に住む者は冬の始めに買い出しに行くのだ。そしてその時期は良いものも安く仕入れることができるので、お金に悩むことのなく、門がしまっていても自由に出入り出来るリリスですら、毎年町に行っている。
「私はいいんだけど貴女はいまいかないとバレるしね。ライムは人間、または人狼、鬼狼であると言う設定で鬼狼ですら羽の形が違うんだもの。飛べないわね……」
「吸血鬼で悪かったですね」
アルゴライムは嫌味のように言った。鬼狼の羽は藍色をしていた。サイズも小さめで軸も青い。それに対し、吸血鬼の羽は紫の色をしていた。サイズはかなりの大きさで、その軸は黒い。そして何より違うのは、吸血鬼が羽を出すと、力の抑えがきかなくなり、この間森の奥で飛ぼうとしたら木を二、三本灰にした。
「私が飛んで町に行ったら家や店が燃えてしまいます」
「そうよねぇ……。バレてもそうだとわかれば吸血鬼であろうとなかろうと町には近づけなくなるわ」
リリスは悩みながら言った。だがしかし、やはり二人は知らなかった。トキューバ家が吸血鬼を忌み嫌う本当の理由を。そして、図書室の一角にある『トキューバ』と言う本は読まれることなく消えた。
そして二人は、とりあえず、歩いて町まで行くことをきめ、町に向かった。
「あのね……ライム、すごく……嫌な予感がするのよね」
道中、リリスがふと言った。
「ああ、私もです。何かいそうな気がします。それでも今日いかなければもう行けないじゃないですか」
アルゴライムとリリスのなかでは同じ予感が芽生えていた。もし、この予感が当たっていれば、最悪の場合、第二次吸血鬼戦争の火種になることは間違いなかった。
「まあ、私は負けませんし」
「その自信がどこから来るのか気になるわ……」
そんな会話をしているうちに、町の門が見えてきた。そして、案の定。リリスにとっては馴染み深い顔の兵達が町の入り口を塞いでいた。
「町に入れないのですが」
そんな兵にアルゴライムは躊躇うことなく話しかけた。
「名を名乗れ」
「……人に名を訪ねるならばそちらの主人が先に名乗るべきだと思われるのですが…」
「あのお方のお名前とお前の名前が同等の価値だと思ってるのか? 」
「はい。もしくは私の方が上かと」
確かに財力ではそうであることに間違いはなかった。しかし、そのアルゴライムの言葉を聞いた兵達は、持っていた武器をアルゴライムに向け、一部は町にいる主の元へ向かった。
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