炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
6節 トキューバ様!
森を抜けると、小さな街が広がっていた。そして、アルゴライムはふと思った。
(吸血鬼の私がこんな街に来ていいのでしょうか? 街には鬼狼の一族のように私を敵視するものが多いのでは? )
街の入口の目の前でアルゴライムは立ち止まった。メアリーは音が消えたことに気づいて振り返った。
「ライム? どうしたのよ。もう目の前だけど疲れたの? 」
「リース……。私、ここにいていいんでしょうか? 人間達は、私を敵視しないでしょうか? 」
アルゴライムはメアリーに尋ねた。うっかり自分が吸血鬼だとバレてしまったらこの森にもいられないかもしれない。そんな不安があったからだ。
「ライム。私がいれば平気よ。私はこの街で一番の権力を持つトキューバ家の跡取りよ。この街の人が私の友達にそんな目を向けたらこんな街、消してしまうわ」 
メアリーは笑顔でそう言った。そうだ。トキューバ家はこの街で知らない人はいないほどの財閥だ。いや、この街なんて規模じゃなく、この国で、だ。
「それもそうですね。時間を無駄にしてすみません。さあ、行きましょうか」
アルゴライムはメアリーの笑顔に答えるように笑顔で答えた。そして、わずか数歩先にいるメアリーのところまで走った。
「案内してあげるわ」
メアリーはアルゴライムの右手を握って街と 森を仕切る門の中に入っていった。実際に街の中に入ると、トキューバ家のお嬢様が来たとザワついていた。
「ここに私のお気に入りの服が売っているの。ライムにも似合うわ、買ってあげる」
メアリーが指を指す方には高級感漂う服屋があった。
「いえ、お金なら持っているので」
屋敷を探検しているうちに、金庫らしき部屋を見つけた。その部屋にはこの世界のお金がたくさん収納されていて、単位は$という親しみやすいものだった。この世界の物価はよくわからないけれど、約千五百億$は入っていて、その部屋にあった財布らしきものに三百$入れて持ち歩いていた。
「え、今いくら持っているのよ」
「三百$ですよ、足りないですかね?」
アルゴライムがそういうと、まわりもメアリーも驚いた表情をした。しかし、アルゴライムはこの世界の物価がよくわかっていないので、なぜ驚くのか疑問だった。
「…ライム、よく聞きなさい。三百$というのはね、人間が五十年は裕福に遊んで暮らせる程よ。貴女ですら、六千$あれば死ぬまで苦労なんてしないわ……。全財産は? 」
アルゴライムは自分の発言の意味を理解した。自分も大富豪であった。そう理解した。
「千五百億$です」
メアリーはその場に座り込んでしまった。恐らくトキューバ家の全財産と同じくらいか、それより多い値段だったんだろう。
「まあいいわ。そのくらいあるのなら、自分で買ってちょうだい。入るわよ」
メアリーは店の扉を開いた。
「トキューバ様! リリス様ですよね? ご当主様が先日、お見えになり、姿が見えないと仰っておりましたが、どうなさりましたか? 」
店の主人がメアリーを見ると、ペラペラと話した。
「ああ、私はあの家を出る。私はクローバー家の者となったと伝えなさい。……いいわよね、ライム」
(吸血鬼の私がこんな街に来ていいのでしょうか? 街には鬼狼の一族のように私を敵視するものが多いのでは? )
街の入口の目の前でアルゴライムは立ち止まった。メアリーは音が消えたことに気づいて振り返った。
「ライム? どうしたのよ。もう目の前だけど疲れたの? 」
「リース……。私、ここにいていいんでしょうか? 人間達は、私を敵視しないでしょうか? 」
アルゴライムはメアリーに尋ねた。うっかり自分が吸血鬼だとバレてしまったらこの森にもいられないかもしれない。そんな不安があったからだ。
「ライム。私がいれば平気よ。私はこの街で一番の権力を持つトキューバ家の跡取りよ。この街の人が私の友達にそんな目を向けたらこんな街、消してしまうわ」 
メアリーは笑顔でそう言った。そうだ。トキューバ家はこの街で知らない人はいないほどの財閥だ。いや、この街なんて規模じゃなく、この国で、だ。
「それもそうですね。時間を無駄にしてすみません。さあ、行きましょうか」
アルゴライムはメアリーの笑顔に答えるように笑顔で答えた。そして、わずか数歩先にいるメアリーのところまで走った。
「案内してあげるわ」
メアリーはアルゴライムの右手を握って街と 森を仕切る門の中に入っていった。実際に街の中に入ると、トキューバ家のお嬢様が来たとザワついていた。
「ここに私のお気に入りの服が売っているの。ライムにも似合うわ、買ってあげる」
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「いえ、お金なら持っているので」
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「え、今いくら持っているのよ」
「三百$ですよ、足りないですかね?」
アルゴライムがそういうと、まわりもメアリーも驚いた表情をした。しかし、アルゴライムはこの世界の物価がよくわかっていないので、なぜ驚くのか疑問だった。
「…ライム、よく聞きなさい。三百$というのはね、人間が五十年は裕福に遊んで暮らせる程よ。貴女ですら、六千$あれば死ぬまで苦労なんてしないわ……。全財産は? 」
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