競奏のリアニメイト~異世界の果てに何を得るのか~
章完結記念話 孤独カラ始マルリアニメイト
 
誰かを愛し、交わりたいと思う心。
生きるために他者を喰らいたいと思う心。
己に足りないものを補うために、何かを欲する心。
この世の全てを憂い、未来を哀しむ心。
変わらない現状を変えようと思い、正そうとする心。
手が届かない物を羨み、手を伸ばす心。
誰よりも優れた者でありという優越を望む心。
……この七つ心の何がいけないのか?
人であるなら……否、生物であるなら少なからず持ちうるであろう心を否定し、絶対悪と決めつける。
人は愛情を受けないで生きていけるほど強くはない。
人は他者を喰らわなければ飢えて死んでしまう。
人は何かを求めずには生活できない。
人は時として停滞によって前に進むことができる。
人は他人の怒気に触れることによって変わることが出来る。
人は誰か羨む事で、自己防衛が出来る。
人はこの世に生を得てから何かを見下して心の均等を保つ。
必要なものを穢らわしいという理由だけで切り捨てるその感情こそが……。
必要なものというのを認めず迫害するその心が……。
『真の罪ではないか?』耳元で囁かれるような気がした。
_____________________________
嗚呼、私の心にどす黒い何かが私を犯してくる。
その感触は死ぬよりも辛い苦痛を精神に与える。だが、それと同時にどんな性交より素晴らしい甘い疼きを引き起こす快楽を脳にもたらした。
これは誰の記憶。
屍の上に更に骸を積み重ね。その山はいつしか死臭と共にそこらの丘と競い合う程にまで積み上げられていた。
これらは全て、世界が実行させた事。その感情を抱く毎に私の炎は血を帯びた様にどす黒い赤色へと変貌を遂げた。
その感情を隠すように「全ては世界の言う通りに」と、疑いもせずにそう考え続けた。
なんと怠惰であっただろうか。
なんと傲慢であっただろうか。
なんと強欲であっただろうか。
なんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんと……。
だが、いつからか気がついた。
私はこの世界に絶望していると。そうと分かってしまえば失望するまでにそう時間はかからなかった。
全てを見捨てた時、同じく私も全てから見放された。
だから焼いた。
そして裂いた。
これまで信じてきたこの世界全てを。
暗き炎で。
漆黒の刀身で。
七日間燃やし、殺し続けたからだろうか。
あれほど美しかった白髪は煤と返り血の変色で闇色に姿を変え、血が流れ出るまで泣き、炎を見続けたからだろうか?藍色の瞳は血と炎を連想させる真紅の双眸に変わっていた。
変わり果てた世界で一人立っていた魔女は乾いた笑いをあげながら息絶えた。
彼女が歩いた後には何も残らない。ただの真っ黒い燃え滓だけが彼女の足跡。
彼女は怒りによって世界を滅ぼしたのだ。
…………なんと憤怒だろうか……。
_____________________________
「なんで思い出してしまったのだろう」
自分自身の未来を。
これから先歩むはずだった未来を。
この世界の未来を。
自分の寿命を知ったかのような絶望感と共に少女の心は醜く歪んだ。
何かが砕け散りそうになる。いや、もう既に音をたてずして砕け散った。
腰には漆黒の短剣。
乱れた闇色の髪をかきあげながら真紅の双眸はただ月夜に照らされた天を見つめていた。
少女は全てが憎かった。
自分自身が、この国が、この世界が。何もかもが憎すぎる。
少女の苛立ちに感応して、暗い炎が燃え盛る。
「燃えろ」
その一言で全てを焼き払う。
世界をたった七日間で焼き去った黒き炎。世界を燃やしつくした憤怒の炎。
それにかかればこの森など数分で焼き去る事など可能だ。
近くに転がっていた死体も。何処か懐かしいログハウスも。全てを焼き払い続ける。
灼熱の中、感じる感情がある。
ただ醜い自分もこのまま焼かれないかという願望だけ。
その心は熱気とは逆。冷気で出来ている。
それ故に少女は燃えない。
死を望む程に死から遠ざかる呪い。
あいつも私と同じ気持ちだったのだろうか?と考える。
それはかつての友。
世界を救うために一緒に戦った仲間。
否、友と言うには少し語弊があるかもしれない。
少女はその男に恋焦がれていた。その姿勢に……その後ろ姿に……。相手はどう思っていたかは知らない。だが、少女が抱いていたその感情は人間基準で考えて恋愛感情と言っても差し支えないだろう。
だが、彼と私には絶対的な障害があった。
……絶対に結ばれない程の障害だ。
決して悟られてはいけない感情。だが、耐えきれない日がとうとうやって来た。私は彼に自分の心をさらけ出した。彼は笑顔で喜んでくれた。その日から私と彼は歪ながらも恋人同士になれたのだ。
あの時間は私にとって最良の時間だった。
しかし、そんな時間は長くは続かなかった。ある日を境に彼は急に私の前から姿を消したからだ。
その日から私は変わった。
涙で目を濡らしながら漆黒の短剣を持ち。そして、世界を救った。
彼が曲がりなりにも愛したこの世界を護るために……。
自分の腰にぶら下がる漆黒の短剣を撫でる。
そこで私は懐かしい歌を思い出した。
「嗚呼。その剣、呪詛を受けし魔剣。闇夜に劣らぬ暗さを持つ刀身、魔力を強める。漆黒の刃、生者を切り裂く。呪詛の魔剣。今は亡き呪竜の骨粉。世界を救った勇ましき竜の欠片」
燃え盛る炎の中で小さく呟く。
誰が謳っていたかなど、とうの昔に忘れてしまった。所詮は道端の蟻と同じ存在だったのだろう。
だが、いつも思い出す歌。
何処か哀愁が漂う……。
「そこにいるのは誰だ?」
燃え果てた木々達。その倒木に身を隠すようにいた人物を物思いにふけっていても少女は見逃さなかった。
その声を聞いて潜伏していた人物はこれ以上隠れているのは無駄だと判断したのだろう。ゆっくりと物陰から出てくる。
それはローブを着込んだ一人の男だった。
まだ年若い風貌が時折、断片的ではあるが垣間見れる。だが、何か異常な気配を感じさせる。
やる気のない歩き方と物腰。だが、明確な狂気をその男は持っていた。それを世界を焼くほどの力を持つ少女が見逃すなど有り得なかった。
「今の私は少々機嫌が悪い。失せねば殺すぞ」
真紅の双眸に殺意を込めて睨みつける。この世の全ての憎悪を込めた様な目。そんな目に見つめられたら常人であれば怖気で何も喋れなくなるだろう。
だが、男は肩を竦めて言葉を発する。
「まぁ、そう言わずに。私はあなたは所謂、同種の人間ですよ」
男の言葉は最後まで続かなかった。
少女が指を小さく動かすと辺りに燻っていた黒い炎が男へ向かって飛んでいき、目の前で爆ぜたのだ。
「全く……人の話は最後まで聞いて欲しいものです……ね!!」
爆煙に紛れ、背後から殺気を宿した声と共に風を切るような音が聞こえる。
多分、蹴りの類だろう。
だが、そんなのは少女には効かない。
彼女を傷つける事は彼女の炎が許さない。
蹴りが当たる瞬間、少女と男の足の間をピンポイントで黒炎が発生と同時に爆ぜ小さな爆発の爆風を起こし、男の蹴りを阻害する。
前述した通り、彼女自身に黒炎の影響はない。彼女の呪いが自身の魔術の影響を無かった事にする。
だが、男には影響を及ぼす。あんな至近距離で爆風を受けるとどうなるかは明白。
男の足に大火傷を負わせたのだ。
「おやおや……」
驚きの声をあげつつ、そこで男の動きは停止した。
勝負は一瞬で決した。
二人とも本気では無かったにしろ実力差がありすぎるのは分かりきっている。
「私がお前と同じだと?笑わせるな。お前に私の憎しみの何が分かる」
全ての怒りを込めて男を睨みつける。その怒りを感じ取り炎が反応する。再び炎が飛んで来そうな勢い。
その光景を常人が見たら恐怖で何も言えなくなるだろうが、男は面白おかしく笑う。
「アハハ、流石は憤怒の権現。憎しみに満ちた魔力マナだ」
「そういうお前はなんだ?その感じだと……怠惰か?」
「ご明察。第四位の権現、怠惰ですよ」
その言葉を聞くと少女は睨みつけるのをやめ、月明かりが雲に隠れた夜空を見上げる。
いつの間にか厚い雲が空を覆っていた。
一雨降りそうだ。
「そうなると、私は選ばれたという事か……。ふふ、この世界も堕ちたものだよ。世界を救うために尽力した魔女を死してもなお、使役するとはね」
少女は自虐的な笑みを浮かべながら手に黒炎の輪っかを作る。
ゆっくりと髪をかきあげて、闇色の長髪を一本にまとめあげる。そして炎の輪っかで髪を留める。
次は黒炎をその身に纏い、黒いローブを形取る。
それでも少女の身は燃えない。少女の心の方が遥かに冷たく、その身は憎しみに焼かれている。
この程度の炎など熱さの内に入らない。
「それでは、これからしなければならないことは分かりますね?」
気のせいだろうか?男の口調が一瞬凄まじいほどの哀愁をのせていた気がした。
気持ちは分からなくはない。再びあの惨劇を引き起こさなければならないというのは酷く心を蝕む。しかし、既に私の心は死んでいる。今更どうということは無い。
心を痛める者がいたとしても、手を止める者など少女と同じ人種ならあるはずがない。でなければ全員が世界の災厄と言われるに至ることは無かっただろう。
「ああ、望むなら私はまた世界を燃やそう。どうせ下らない世界だ。ここで消え去っても問題などない」
「同感ですよ。この世界はつまらなすぎる」
「それで?移動はどうする。まさか女を歩かせるなどという愚行をする訳ではないだろうな?」
少女の疑問に男は答えなかった。ただ指を鳴らすと少女と男の地面が浮き始めた。
まるで反発し合う磁石のように。
この魔術は……なるほどそういう事か……。
そしてこいつの正体も分かった。
「怠惰の権現に似合う能力だなネル。天下の大罪人よ」
「お褒め頂き光栄ですよ」
男は満足そうに不敵な笑みを浮かべる。
「そう言えば、あなたはなんというお名前何ですか?少なくても私がいた時代ではあなたの様な魔法を使う人物は存在しなかったものですから」
「あぁ、私の呼び名は色々ある。黒炎の魔女、黒蓮、反逆の罪女好きに呼ぶといい」
「聞きたいのは本名何ですがね」
少女が自分のあだ名を伝えると男は拗ねたように呟く。
遥か昔に捨てた名前だが別に構わないだろう。
「私の名前は……ルナ。世界を滅ぼした罪人だよ」
その名を口にした瞬間。少女の闇色の髪が一瞬、美しい白髪に変化したのは男の見間違えだろう。
その日、何年もの予定を早めて、第三位憤怒の権現。世界を七日間で灼き滅ぼした魔女・ルナが復活した。
この世の全ての怒りと憎しみを背負っているはずのその姿はまるで十代の幼い少女だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あれ?お帰りなさい」
未開拓の荒地の中にひっそりと佇む巨大な遺跡。その中に入ると松明が立てられており、生活感がややあった。そんな中から一人の女が入ってきた二人を出迎えた。
雰囲気や服装はは素朴な町娘という感じだが、素朴ながらもその色香は凄まじいものだった。どちらかと言えば東洋人に近い特徴を顔に宿しながらも黄金比率で顔のパーツが揃えられている。桃色の唇、黄緑のセミロングな髪。綺麗な切れ長の二重に碧色の双眸を宿し、その双眸で見つめられてしまえば岩ですら蕩けてしまうだろう。
歳は……十代をもうすぐ卒業しそうぐらいだろうか?
「おやおや、ナルミアさん。ただ今戻りました」
ネルは礼儀正しくナルミアと呼んだ女に礼をする。
「ネルさん。私は一番の末席なんですからそんなに礼儀正しくしなくても……?」
ナルミアは慌てふためいた様子で華奢な腕を前へ突き出している。その仕草を世の男性達が見たら思わず心に何か響きそうである。
「いやいや、貴方も私も同じ境遇の同志ではないですか……そんな人物に差などありませんよ」
だが、ネルは全く動じない様子で会話を続ける。これだけ見ればこの二人はなんの変哲もない人間に見えるだろう。一種の宗教団体にすら見える。
だが、それでもこの二人は……否、ここに集う者は全員が何かしらの人格破綻者としか言えない。でなければ世界を滅ぼした際に精神が罪悪感に負け、正気ではいられなくなる。もしそうでなければその者はもはや人ではない……本当の意味での怪物だ。
否、もしかしたらその逆。元々正気では無かったから世界を滅ぼせたのかもしれない。
「そのお気持ち大変嬉しいです!!」
ナルミアは上目遣いでネルの手を握りながらブンブンとネルの手が千切れそうになる勢いで手を上下に動かす。
その様子にネルは苦笑しながら、なすがままになっている。
「おや、そちら方は……もしかして憤怒様ですか?」
ネルの手を蹂躙していたナルミアだが、ふとルナの様子に気がつき手を止める。
ルナはその視線を冷ややかな表情で受け止めると口を開く。
「ああ、私が憤怒の権現だ」
「あの……お名前を伺っても……?」
「怠惰から聞け」
ナルミアの質問をルナは一蹴した。
彼女には元より馴れ合うつもりなど無かった。今ここに集う者達は自分を然り、狂人……人格破綻者の集まりだ。そんな者達と馴れ合うなどとんでもない。
一種の同族嫌悪というやつだ。
「ネルさーーん……」
「彼女の名前はルナですよ」
泣きそうなナルミアをネルが宥めながらルナの名前を伝える。
その姿は本当に常人にしか見えなかった。案外、狂人と常人の境目など曖昧なのかもしれない。
「ルナ様ですか!!よろしくお願いします!」
ネルから名を聞くと態度を急変させて羨望の眼差しでこちらに歩み寄ってくる。そしてゆっくりと手を掴もうとして……止める。
……流石は世界を滅ぼした災厄。ふざけていても勘は鈍っていないらしい。
「このローブになんの対策もしないで触れようとするとその男の足みたいになるぞ」
その目線にはネルの右脚大腿。そこには先の戦いでルナが与えた火傷があった。今、着込んでいる炎のローブはネルに火傷を与えた炎を纏っている状態に近い。つまりそのような炎に触れようしたらどうなるか……考えるまでもない事だ。
と言うより、今までネルはその傷がある素振りすら見せなかった。痛みに鈍いと言うにも限度がある。
「ネルさん……その足どうしたんですか?」
今更だがナルミアがネルの大腿にある火傷にルナの視線によって気がつく。見るも無残な火傷。
「あはは、彼女と親睦を深めようとした際にうっかり手傷を負ってしまいましてね」
「言い方に異議を唱えたいが概ねその通りだ」
ルナはため息混じりにネルの話を肯定すると炎のローブを解除する。うっかり触れられても面倒と感じたからだ。
それに……いくら馴れ合うつもりなど無いとは言え、礼儀を欠けるのは本意では無かったからだ。
「よろしく。ルナだ、そこの奴みたいに呼び捨てで構わん」
「ルナさんよろしくお願いします」
「……」
ナルミアはルナの言葉を無視して呼んでくる。いちいち訂正するのも面倒と感じたので良しとしよう。
それよりも問題なのは。
「私の前では演技は不要だぞ。ナルミア・V・ヴィトレイア。私はお前がどういう人間でどんな末路を辿ったかを知っている」
「……」
あれほど饒舌だったナルミアがルナの一言を聞いた途端黙りこんでしまった。
顔を俯かせ、肩を震わす。その姿はうっすらと怒気すら感じる。怒らせるつもりはなかったのだが……。
彼女から身を守る事を考えた方がいいだろうか?
だが、ルナの知っている通りの情報ならば彼女の魔術を完全に防ぐ事は不可能だ。
殺し合いに発展すればルナ自身も無事では済まない。
なるべく権現同士で殺し合うのはやめておきたいのだが
「まぁまぁ、過去の事は水に流そうではないですか」
ネルのその一言でナルミアの怒気が霧散する。
どうやら最悪の事態は回避出来たみたいだ。
「今、私達はかの十界を倒さねばならないのです。ここでお互いがいがみ合っても仕方ないですよ」
ネルの言う通りだ。私達の目的を完遂する為にはこのメンツで力を合わせた方がいいだろう。
正直、私以下の権化が居なくてもどうにかなりそうな気もするが。
「まだ、その時ではないか……」
そう、まだその時ではない。それだけでは駄目なのだ。
権化は少しずつ増えるだろう、この世界を滅ぼすであろう可能性を秘めている者がいる限り。
全部の権化が現れた時行動が出来るのだ。
それはお前かもしれないぞ?
_________________________
嗚呼、世界が燃える。
とある建物の屋上で焼けた世界を見つめながら二人の人物がその景色を眺めながら立っていた。
闇色の長髪を風で揺らしながら佇む少女、ルナと白髪の青年の後ろ姿。
ルナは少々大人びていた。
二人はただ燃え尽きる世界だけを見ていた。
「おい、✕✕✕。ひとついいか?」
ルナが不意に青年に視線を合わずに言葉を発した。
その問いかけに青年は答えることは無かった。だが、沈黙は了解とみなし、ルナは話を続ける。
「私は、今でもお前を愛している」
嘘偽りの無いルナの本心。
長い時間をかけてようやくまた再会することが出来たルナにこの言葉を待つことは出来なかった。
「……俺もだ」
ルナが今まで「愛している」と言ったことは何回かあった。だが、いつも青年ははぐらかした。
でも、今回だけは同じようにルナに愛の囁きを返してくれた。
その言葉を聞いた瞬間、ルナの黒炎が少し明るくなった。
ルナはゆっくりと青年の方を向き、歩き出す。
そして、青年に抱きついた。
強く、渾身の力を込めて。
もう二度と離さないつもりで。
絶対に離れないつもりで。
そして顔を青年の耳元へ近づけ、囁く。
「なら、私を抱け」
例え、完全な本人で無いとしてもルナには我慢の限界だった。
ルナはそのまま青年を床へ押し倒した。
その日は月は出ていなかったが、燃えている世界が二人を照らしていた。
前とは違い、ルナは一人では無かった。
愛する者と結ばれながら世界を滅ぼしたのだ。
もう孤独に苛まれることは無い。
……彼女は己の罪で世界を滅ぼしたのだ。
※このお話はおじいさんが主人公を庇って亡くなったプラス、月が雲に隠れてなかった場合に派生するイフルートです。
内容の意味は今後の展開をご期待ください。
誰かを愛し、交わりたいと思う心。
生きるために他者を喰らいたいと思う心。
己に足りないものを補うために、何かを欲する心。
この世の全てを憂い、未来を哀しむ心。
変わらない現状を変えようと思い、正そうとする心。
手が届かない物を羨み、手を伸ばす心。
誰よりも優れた者でありという優越を望む心。
……この七つ心の何がいけないのか?
人であるなら……否、生物であるなら少なからず持ちうるであろう心を否定し、絶対悪と決めつける。
人は愛情を受けないで生きていけるほど強くはない。
人は他者を喰らわなければ飢えて死んでしまう。
人は何かを求めずには生活できない。
人は時として停滞によって前に進むことができる。
人は他人の怒気に触れることによって変わることが出来る。
人は誰か羨む事で、自己防衛が出来る。
人はこの世に生を得てから何かを見下して心の均等を保つ。
必要なものを穢らわしいという理由だけで切り捨てるその感情こそが……。
必要なものというのを認めず迫害するその心が……。
『真の罪ではないか?』耳元で囁かれるような気がした。
_____________________________
嗚呼、私の心にどす黒い何かが私を犯してくる。
その感触は死ぬよりも辛い苦痛を精神に与える。だが、それと同時にどんな性交より素晴らしい甘い疼きを引き起こす快楽を脳にもたらした。
これは誰の記憶。
屍の上に更に骸を積み重ね。その山はいつしか死臭と共にそこらの丘と競い合う程にまで積み上げられていた。
これらは全て、世界が実行させた事。その感情を抱く毎に私の炎は血を帯びた様にどす黒い赤色へと変貌を遂げた。
その感情を隠すように「全ては世界の言う通りに」と、疑いもせずにそう考え続けた。
なんと怠惰であっただろうか。
なんと傲慢であっただろうか。
なんと強欲であっただろうか。
なんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんとなんと……。
だが、いつからか気がついた。
私はこの世界に絶望していると。そうと分かってしまえば失望するまでにそう時間はかからなかった。
全てを見捨てた時、同じく私も全てから見放された。
だから焼いた。
そして裂いた。
これまで信じてきたこの世界全てを。
暗き炎で。
漆黒の刀身で。
七日間燃やし、殺し続けたからだろうか。
あれほど美しかった白髪は煤と返り血の変色で闇色に姿を変え、血が流れ出るまで泣き、炎を見続けたからだろうか?藍色の瞳は血と炎を連想させる真紅の双眸に変わっていた。
変わり果てた世界で一人立っていた魔女は乾いた笑いをあげながら息絶えた。
彼女が歩いた後には何も残らない。ただの真っ黒い燃え滓だけが彼女の足跡。
彼女は怒りによって世界を滅ぼしたのだ。
…………なんと憤怒だろうか……。
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「なんで思い出してしまったのだろう」
自分自身の未来を。
これから先歩むはずだった未来を。
この世界の未来を。
自分の寿命を知ったかのような絶望感と共に少女の心は醜く歪んだ。
何かが砕け散りそうになる。いや、もう既に音をたてずして砕け散った。
腰には漆黒の短剣。
乱れた闇色の髪をかきあげながら真紅の双眸はただ月夜に照らされた天を見つめていた。
少女は全てが憎かった。
自分自身が、この国が、この世界が。何もかもが憎すぎる。
少女の苛立ちに感応して、暗い炎が燃え盛る。
「燃えろ」
その一言で全てを焼き払う。
世界をたった七日間で焼き去った黒き炎。世界を燃やしつくした憤怒の炎。
それにかかればこの森など数分で焼き去る事など可能だ。
近くに転がっていた死体も。何処か懐かしいログハウスも。全てを焼き払い続ける。
灼熱の中、感じる感情がある。
ただ醜い自分もこのまま焼かれないかという願望だけ。
その心は熱気とは逆。冷気で出来ている。
それ故に少女は燃えない。
死を望む程に死から遠ざかる呪い。
あいつも私と同じ気持ちだったのだろうか?と考える。
それはかつての友。
世界を救うために一緒に戦った仲間。
否、友と言うには少し語弊があるかもしれない。
少女はその男に恋焦がれていた。その姿勢に……その後ろ姿に……。相手はどう思っていたかは知らない。だが、少女が抱いていたその感情は人間基準で考えて恋愛感情と言っても差し支えないだろう。
だが、彼と私には絶対的な障害があった。
……絶対に結ばれない程の障害だ。
決して悟られてはいけない感情。だが、耐えきれない日がとうとうやって来た。私は彼に自分の心をさらけ出した。彼は笑顔で喜んでくれた。その日から私と彼は歪ながらも恋人同士になれたのだ。
あの時間は私にとって最良の時間だった。
しかし、そんな時間は長くは続かなかった。ある日を境に彼は急に私の前から姿を消したからだ。
その日から私は変わった。
涙で目を濡らしながら漆黒の短剣を持ち。そして、世界を救った。
彼が曲がりなりにも愛したこの世界を護るために……。
自分の腰にぶら下がる漆黒の短剣を撫でる。
そこで私は懐かしい歌を思い出した。
「嗚呼。その剣、呪詛を受けし魔剣。闇夜に劣らぬ暗さを持つ刀身、魔力を強める。漆黒の刃、生者を切り裂く。呪詛の魔剣。今は亡き呪竜の骨粉。世界を救った勇ましき竜の欠片」
燃え盛る炎の中で小さく呟く。
誰が謳っていたかなど、とうの昔に忘れてしまった。所詮は道端の蟻と同じ存在だったのだろう。
だが、いつも思い出す歌。
何処か哀愁が漂う……。
「そこにいるのは誰だ?」
燃え果てた木々達。その倒木に身を隠すようにいた人物を物思いにふけっていても少女は見逃さなかった。
その声を聞いて潜伏していた人物はこれ以上隠れているのは無駄だと判断したのだろう。ゆっくりと物陰から出てくる。
それはローブを着込んだ一人の男だった。
まだ年若い風貌が時折、断片的ではあるが垣間見れる。だが、何か異常な気配を感じさせる。
やる気のない歩き方と物腰。だが、明確な狂気をその男は持っていた。それを世界を焼くほどの力を持つ少女が見逃すなど有り得なかった。
「今の私は少々機嫌が悪い。失せねば殺すぞ」
真紅の双眸に殺意を込めて睨みつける。この世の全ての憎悪を込めた様な目。そんな目に見つめられたら常人であれば怖気で何も喋れなくなるだろう。
だが、男は肩を竦めて言葉を発する。
「まぁ、そう言わずに。私はあなたは所謂、同種の人間ですよ」
男の言葉は最後まで続かなかった。
少女が指を小さく動かすと辺りに燻っていた黒い炎が男へ向かって飛んでいき、目の前で爆ぜたのだ。
「全く……人の話は最後まで聞いて欲しいものです……ね!!」
爆煙に紛れ、背後から殺気を宿した声と共に風を切るような音が聞こえる。
多分、蹴りの類だろう。
だが、そんなのは少女には効かない。
彼女を傷つける事は彼女の炎が許さない。
蹴りが当たる瞬間、少女と男の足の間をピンポイントで黒炎が発生と同時に爆ぜ小さな爆発の爆風を起こし、男の蹴りを阻害する。
前述した通り、彼女自身に黒炎の影響はない。彼女の呪いが自身の魔術の影響を無かった事にする。
だが、男には影響を及ぼす。あんな至近距離で爆風を受けるとどうなるかは明白。
男の足に大火傷を負わせたのだ。
「おやおや……」
驚きの声をあげつつ、そこで男の動きは停止した。
勝負は一瞬で決した。
二人とも本気では無かったにしろ実力差がありすぎるのは分かりきっている。
「私がお前と同じだと?笑わせるな。お前に私の憎しみの何が分かる」
全ての怒りを込めて男を睨みつける。その怒りを感じ取り炎が反応する。再び炎が飛んで来そうな勢い。
その光景を常人が見たら恐怖で何も言えなくなるだろうが、男は面白おかしく笑う。
「アハハ、流石は憤怒の権現。憎しみに満ちた魔力マナだ」
「そういうお前はなんだ?その感じだと……怠惰か?」
「ご明察。第四位の権現、怠惰ですよ」
その言葉を聞くと少女は睨みつけるのをやめ、月明かりが雲に隠れた夜空を見上げる。
いつの間にか厚い雲が空を覆っていた。
一雨降りそうだ。
「そうなると、私は選ばれたという事か……。ふふ、この世界も堕ちたものだよ。世界を救うために尽力した魔女を死してもなお、使役するとはね」
少女は自虐的な笑みを浮かべながら手に黒炎の輪っかを作る。
ゆっくりと髪をかきあげて、闇色の長髪を一本にまとめあげる。そして炎の輪っかで髪を留める。
次は黒炎をその身に纏い、黒いローブを形取る。
それでも少女の身は燃えない。少女の心の方が遥かに冷たく、その身は憎しみに焼かれている。
この程度の炎など熱さの内に入らない。
「それでは、これからしなければならないことは分かりますね?」
気のせいだろうか?男の口調が一瞬凄まじいほどの哀愁をのせていた気がした。
気持ちは分からなくはない。再びあの惨劇を引き起こさなければならないというのは酷く心を蝕む。しかし、既に私の心は死んでいる。今更どうということは無い。
心を痛める者がいたとしても、手を止める者など少女と同じ人種ならあるはずがない。でなければ全員が世界の災厄と言われるに至ることは無かっただろう。
「ああ、望むなら私はまた世界を燃やそう。どうせ下らない世界だ。ここで消え去っても問題などない」
「同感ですよ。この世界はつまらなすぎる」
「それで?移動はどうする。まさか女を歩かせるなどという愚行をする訳ではないだろうな?」
少女の疑問に男は答えなかった。ただ指を鳴らすと少女と男の地面が浮き始めた。
まるで反発し合う磁石のように。
この魔術は……なるほどそういう事か……。
そしてこいつの正体も分かった。
「怠惰の権現に似合う能力だなネル。天下の大罪人よ」
「お褒め頂き光栄ですよ」
男は満足そうに不敵な笑みを浮かべる。
「そう言えば、あなたはなんというお名前何ですか?少なくても私がいた時代ではあなたの様な魔法を使う人物は存在しなかったものですから」
「あぁ、私の呼び名は色々ある。黒炎の魔女、黒蓮、反逆の罪女好きに呼ぶといい」
「聞きたいのは本名何ですがね」
少女が自分のあだ名を伝えると男は拗ねたように呟く。
遥か昔に捨てた名前だが別に構わないだろう。
「私の名前は……ルナ。世界を滅ぼした罪人だよ」
その名を口にした瞬間。少女の闇色の髪が一瞬、美しい白髪に変化したのは男の見間違えだろう。
その日、何年もの予定を早めて、第三位憤怒の権現。世界を七日間で灼き滅ぼした魔女・ルナが復活した。
この世の全ての怒りと憎しみを背負っているはずのその姿はまるで十代の幼い少女だった。
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「あれ?お帰りなさい」
未開拓の荒地の中にひっそりと佇む巨大な遺跡。その中に入ると松明が立てられており、生活感がややあった。そんな中から一人の女が入ってきた二人を出迎えた。
雰囲気や服装はは素朴な町娘という感じだが、素朴ながらもその色香は凄まじいものだった。どちらかと言えば東洋人に近い特徴を顔に宿しながらも黄金比率で顔のパーツが揃えられている。桃色の唇、黄緑のセミロングな髪。綺麗な切れ長の二重に碧色の双眸を宿し、その双眸で見つめられてしまえば岩ですら蕩けてしまうだろう。
歳は……十代をもうすぐ卒業しそうぐらいだろうか?
「おやおや、ナルミアさん。ただ今戻りました」
ネルは礼儀正しくナルミアと呼んだ女に礼をする。
「ネルさん。私は一番の末席なんですからそんなに礼儀正しくしなくても……?」
ナルミアは慌てふためいた様子で華奢な腕を前へ突き出している。その仕草を世の男性達が見たら思わず心に何か響きそうである。
「いやいや、貴方も私も同じ境遇の同志ではないですか……そんな人物に差などありませんよ」
だが、ネルは全く動じない様子で会話を続ける。これだけ見ればこの二人はなんの変哲もない人間に見えるだろう。一種の宗教団体にすら見える。
だが、それでもこの二人は……否、ここに集う者は全員が何かしらの人格破綻者としか言えない。でなければ世界を滅ぼした際に精神が罪悪感に負け、正気ではいられなくなる。もしそうでなければその者はもはや人ではない……本当の意味での怪物だ。
否、もしかしたらその逆。元々正気では無かったから世界を滅ぼせたのかもしれない。
「そのお気持ち大変嬉しいです!!」
ナルミアは上目遣いでネルの手を握りながらブンブンとネルの手が千切れそうになる勢いで手を上下に動かす。
その様子にネルは苦笑しながら、なすがままになっている。
「おや、そちら方は……もしかして憤怒様ですか?」
ネルの手を蹂躙していたナルミアだが、ふとルナの様子に気がつき手を止める。
ルナはその視線を冷ややかな表情で受け止めると口を開く。
「ああ、私が憤怒の権現だ」
「あの……お名前を伺っても……?」
「怠惰から聞け」
ナルミアの質問をルナは一蹴した。
彼女には元より馴れ合うつもりなど無かった。今ここに集う者達は自分を然り、狂人……人格破綻者の集まりだ。そんな者達と馴れ合うなどとんでもない。
一種の同族嫌悪というやつだ。
「ネルさーーん……」
「彼女の名前はルナですよ」
泣きそうなナルミアをネルが宥めながらルナの名前を伝える。
その姿は本当に常人にしか見えなかった。案外、狂人と常人の境目など曖昧なのかもしれない。
「ルナ様ですか!!よろしくお願いします!」
ネルから名を聞くと態度を急変させて羨望の眼差しでこちらに歩み寄ってくる。そしてゆっくりと手を掴もうとして……止める。
……流石は世界を滅ぼした災厄。ふざけていても勘は鈍っていないらしい。
「このローブになんの対策もしないで触れようとするとその男の足みたいになるぞ」
その目線にはネルの右脚大腿。そこには先の戦いでルナが与えた火傷があった。今、着込んでいる炎のローブはネルに火傷を与えた炎を纏っている状態に近い。つまりそのような炎に触れようしたらどうなるか……考えるまでもない事だ。
と言うより、今までネルはその傷がある素振りすら見せなかった。痛みに鈍いと言うにも限度がある。
「ネルさん……その足どうしたんですか?」
今更だがナルミアがネルの大腿にある火傷にルナの視線によって気がつく。見るも無残な火傷。
「あはは、彼女と親睦を深めようとした際にうっかり手傷を負ってしまいましてね」
「言い方に異議を唱えたいが概ねその通りだ」
ルナはため息混じりにネルの話を肯定すると炎のローブを解除する。うっかり触れられても面倒と感じたからだ。
それに……いくら馴れ合うつもりなど無いとは言え、礼儀を欠けるのは本意では無かったからだ。
「よろしく。ルナだ、そこの奴みたいに呼び捨てで構わん」
「ルナさんよろしくお願いします」
「……」
ナルミアはルナの言葉を無視して呼んでくる。いちいち訂正するのも面倒と感じたので良しとしよう。
それよりも問題なのは。
「私の前では演技は不要だぞ。ナルミア・V・ヴィトレイア。私はお前がどういう人間でどんな末路を辿ったかを知っている」
「……」
あれほど饒舌だったナルミアがルナの一言を聞いた途端黙りこんでしまった。
顔を俯かせ、肩を震わす。その姿はうっすらと怒気すら感じる。怒らせるつもりはなかったのだが……。
彼女から身を守る事を考えた方がいいだろうか?
だが、ルナの知っている通りの情報ならば彼女の魔術を完全に防ぐ事は不可能だ。
殺し合いに発展すればルナ自身も無事では済まない。
なるべく権現同士で殺し合うのはやめておきたいのだが
「まぁまぁ、過去の事は水に流そうではないですか」
ネルのその一言でナルミアの怒気が霧散する。
どうやら最悪の事態は回避出来たみたいだ。
「今、私達はかの十界を倒さねばならないのです。ここでお互いがいがみ合っても仕方ないですよ」
ネルの言う通りだ。私達の目的を完遂する為にはこのメンツで力を合わせた方がいいだろう。
正直、私以下の権化が居なくてもどうにかなりそうな気もするが。
「まだ、その時ではないか……」
そう、まだその時ではない。それだけでは駄目なのだ。
権化は少しずつ増えるだろう、この世界を滅ぼすであろう可能性を秘めている者がいる限り。
全部の権化が現れた時行動が出来るのだ。
それはお前かもしれないぞ?
_________________________
嗚呼、世界が燃える。
とある建物の屋上で焼けた世界を見つめながら二人の人物がその景色を眺めながら立っていた。
闇色の長髪を風で揺らしながら佇む少女、ルナと白髪の青年の後ろ姿。
ルナは少々大人びていた。
二人はただ燃え尽きる世界だけを見ていた。
「おい、✕✕✕。ひとついいか?」
ルナが不意に青年に視線を合わずに言葉を発した。
その問いかけに青年は答えることは無かった。だが、沈黙は了解とみなし、ルナは話を続ける。
「私は、今でもお前を愛している」
嘘偽りの無いルナの本心。
長い時間をかけてようやくまた再会することが出来たルナにこの言葉を待つことは出来なかった。
「……俺もだ」
ルナが今まで「愛している」と言ったことは何回かあった。だが、いつも青年ははぐらかした。
でも、今回だけは同じようにルナに愛の囁きを返してくれた。
その言葉を聞いた瞬間、ルナの黒炎が少し明るくなった。
ルナはゆっくりと青年の方を向き、歩き出す。
そして、青年に抱きついた。
強く、渾身の力を込めて。
もう二度と離さないつもりで。
絶対に離れないつもりで。
そして顔を青年の耳元へ近づけ、囁く。
「なら、私を抱け」
例え、完全な本人で無いとしてもルナには我慢の限界だった。
ルナはそのまま青年を床へ押し倒した。
その日は月は出ていなかったが、燃えている世界が二人を照らしていた。
前とは違い、ルナは一人では無かった。
愛する者と結ばれながら世界を滅ぼしたのだ。
もう孤独に苛まれることは無い。
……彼女は己の罪で世界を滅ぼしたのだ。
※このお話はおじいさんが主人公を庇って亡くなったプラス、月が雲に隠れてなかった場合に派生するイフルートです。
内容の意味は今後の展開をご期待ください。
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