「神に選ばれ、神になる」そんな俺のものがたり

竹華 彗美

第二十話 神の子


 今日から訓練が始まる。この訓練は条件通り先生方も加わる。
 メニューなどは俺や永本も加わり決めているが、こういう指揮官は前もって決めていた通り、全般長谷川先生が担っている。
 なので、俺と永本はというと。
 永本は時々長谷川先生の補助をしながら、第二空間セカンドスペースで一人ゴーレムと戦っているようだ。
 二段ベットの横に第二空間セカンドスペースにいつでも行けるように、空間転移門を設置したのだ。
 岩に同化するように作ってあるから、偶然運悪く入らない限り、他の人では入れないようにしている。
 
 俺は千葉くんとゴブリンたちを連れ、村探しをしていた。
 なぜ千葉くんを連れているかというと俺の思いつきだが、あれだけの運をお持ちなら村なんてすぐ見つけられるのでは?という検証である。
 千葉くんはあんな大層なスキルを持っている代わりに、ステータス欄は空白が目立つ。
 


[名前] 千葉 迅大 ちばはやと
[性別] 男
[年齢] 十七歳
[種族] 人間族
[称号] 転生者 異世界の学生

[レベル] lv1

[体力] 300 

[体術] lv1

[スキル]
運の王ラッキーキング(運気300000)



 スキルなかったらただの何も出来ないレベルだけど、このスキルありならこのぐらいが妥当だと思う。
 というかこの運気あれば魔法とかあっても宝の持ち腐れだしね。

 そんな千葉くんの性格は、八組の中でも人気者。特に女子には気に入られていたらしく、俺も彼を何度か登下校見たけど、ずっと女子といたかな〜?
 部活動が吹奏楽部ってこともあるんだろうけど。
 
 朝、壁の外に出ることを言うと、少し考えたあと笑顔で承諾してくれた。
 自身もこのスキルがどのくらい使えるのかを試してみたいらしい。
 まず千葉くんにどこから行きたいか。と尋ねると俺たちが最初に行った方角より少し右側を指した。

 それからその方角に向かって歩く。常に千葉くんを先頭に歩いてもらい、好きな方へ歩いてもらった。
 ただ運気が強いとはいえ、魔物で溢れかえる壁の外で奴らに会わないなどということはなく、全て俺が駆逐していった。
 これには千葉くんも最初は呆然としていたが、慣れれば"よろしく!"と言い見ていた。
 不思議なことに千葉くんには魔物たちは目も当てない。もし千葉くんに突進してきたアホな奴がいたら、突然木が倒れウルフを押し潰したり、落とし穴を踏んでしまうなどしていた。
 
「次はこっち行ってみよ!」
「うん!オケ!」
「しかし、清水くんすごいな〜!この前ウルフを倒した時もすごいと思ったけど、こんなにもどんどん倒しちゃうなんて。」
「いやいや。そっちの方がすごいだろ!?偶然にしてはすごい確率だし、やっぱそのスキル欲しいかな〜?」

『ダウンロードしますか?今なら特典付き。』
『いや、いいです。……って特典って何!?』
『それはダウンロードしてからのお楽しみ。』
『サポタさん。それはダメだわ。そういうの俺の世界ではなんて言うか知ってる??詐欺っていうの。犯罪に引っかかるのよ。そういうのは』
『あなたの元の世界ではもうありません。今はここの法に引っかからなければいいのです!!』

 いきなり正論!でもなんだろ。この嫌な感じ。

「清水く〜ん!……清水くん!!」
「ん?……あ、なに?」
「ボッーとしてたから大丈夫かと思って。」
「あ、ああ。大丈夫。大丈夫。ちょっとボッーとしてただけだから。……って……」
「今度はどうしたの!?」
「………みえた。」
「見えた?何が?」
「あそこにある。」
「だからなにが?」
「……モシカシテ、ワタシタチ、マチ?」
「そんなの見えないけど?」

『サポタ。あそこにあるやつ、見えるか?』
『はい。見えます。』
『あれが本当にそうなのか?』
『恐らく。』

「みんな、良い知らせと悪い知らせがある。いい知らせは、あと約八キロ先。正面に、数十人規模の人間と思われる村を発見した。多分ゴブリンたちの村だ。」
「ホント、スカ?ア、アリガト、ザイマス!」
「で?悪い知らせは?」
「悪い知らせは……その村の近くのダンジョンに居座っているモンスターが全滅。その相手が、レッドドラゴン四体だということ。」
「レッドドラゴン?」

 千葉くんはその単語を聞いてもあまり驚かない。しかしこの地に住んでいるゴブリン達は震えていた。

「レッド、ドラゴン……ホント、スカ?」
「ああ。本当だ。そのうち二体は成体。レベルは162と150。幼体はそれぞれ120と117だ。で、レベル150の方はレッドドラゴンとイエロードラゴンとの混血。」
「ソ、ソンナノ、ムリ。アナタサマデモ、ムリ。」

 確かにあのレベルと本気で戦ったら、ここ一帯、なくなるだろうな。
 そうなったら一つしか手はない。

「全員手を繋いで。あそこの街まで転移する!」

 全員が手を握りあったのを見計らい、転移する。

ーーーーー


 すでに村はパニック状態。村から逃げ出す準備をしていた。
 たかしたちがついた時には既に後発隊が出ている頃である。


 
 俺は村に着くやいなや、千葉たちにここにいるように命じた。千葉なら持ち前の運気で、もし瓦礫が飛んできても、火の玉が飛んでこようとも問題ないと考えたからである。
 そして俺はアイテムボックス内に入っているアビリティーボールを取り出し、体力、魔力をなるべく注ぎ込む。
 序でに空間魔法のレベルも上げる。

 そして俺はレッドドラゴン四体の場に飛び立った。千葉たちには止められたが、なんせったってさっきの俺の力とは桁が違う。
 なにがって?そりゃー魔力量と体力でしょ!
 今の俺のフル体力 約80兆。
 魔力量は 約2400兆である。
 空間魔法レベルは142。一番魔法の中では高い。空間を二つも作ってしまったお陰と言える。
 そしてドラゴンが気付く前にドラゴンを囲うように空間魔法を発動させる。

「絶対破壊不可能の檻!完全体パーフェクト!!!」

 この魔法の発動によりドラゴンは破壊不可能の檻へと閉じ込められる。しかもこれ、中でなにやっているかとか見えない。
 俺がこの中でどんなに激しい戦闘をしていても、外は無音・不可視なのだ。
 そして中は見た目以上に広い。この中は俺が作り出した空間だと思ってくれていい。
 この魔法で使った魔力は八百万。普通ならとてつもない量なのだが、全く痛手にもならない。

 俺はこの中に入り、竜を一瞥する。そして竜がこちらに気づいた時、虐殺を開始した。

 



 竜たちは俺を見ると不機嫌そうな態度でこちらに攻撃してくる。四体で見事な連携プレイ。
 まず羽で一体風を起こし、一体はその風に火を吹くと、もう一体は俺の体を押さえつけ、もう一体は補助につく。 

『ドラゴン四体による合技です。熱耐性、火耐性により無傷。』
『あーそういえばそんな耐性あったなぁ。つーかそれなら俺この戦いどのくらい時間掛けても無傷じゃない?』
『はい。たかし様のHPがなくなるのはドラゴンのレベル・力などから予測すると八十万年ほどかかるでしょう。』
『……あ、そっ』

 俺は自身に呆れた。この世界でトップクラスに入るドラゴン相手に……全くもって強いという感覚がしなかった。それはサポタから予測結果を聞いたからというわけではなく。
 
 なんせたって痛みがない。熱いとか、掴まれた時の圧迫感とかがあまりにも感じられない。ーー弱すぎて。
 さっきまでのウキウキ感はなんだったのだろうか。今では退屈でしかない。

 とこの時俺は初めて……いや、前からちょくちょく思ってたことではあったが、初めて確信した。

『俺ってもう人間じゃないんじゃね?』

 だってどう考えたってそうだもん。
 どう考えたっておかしい体力、魔力、魔法の威力、特性、耐性、スキルの数……。
 その疑問に対するサポタの答え……

『今ごろお気づきになられたのですか?まず"神々に認められし者"の称号が与えられている時点でたかし様は人間というよりも神の子・・・と言った方がいいのかもしれません。前にもお話ししたかもしれませんが神の掟として、自分の作った世界には神自身は不干渉でなければなりません。
 その理由は神自身が干渉してしまえば、そこにある生命は全てその神の言いなりと化し、生命という謎めいたモノを自然体として観察することができなくなってしまいます。神の仕事とは生命がどのような感情を持ち、どのように発展していくのかを観察することなのです。
 だからこそ自分の心臓を"コア"として授け、自分の作った世界を見守るのです。仕事として、単に興味として、知識欲として、他の神との情報共有として……。
 そしてある程度時間が経ったところで、さらに探求したいという神の意向によって"神々に認められし者"が送り込まれるのです。その称号を持った者には絶大なる力を与え、神の心臓である"コア"を守りつつ世界の変動をどう受け止め、対処していくのかを見守る。その時に民衆はどんな反応を見せ、どう未来に向かって動き出すのか。そのきっかけを作るのが"神々に認められし者"の使命です。
 そしてその行いが評価されれば神になれるし、低評価でも生まれ変わりは可能ということです。』

 俺は見事にサポタに言い切られてしまった。一応ステータスには"人間族"とはあるが、"神の子"だということを。

ーーならば……だとするならば俺はこんな奴らに負けるはずがない。というか遊ぶ必要性すらない。
 俺はアイテムボックスの中から、アビリティボールを出す。
 
「アビリティボールの全てを吸収。」

 すると体にあらゆる力が入り込む。
 そして一つの魔法で終わらせた。

無限凍結ブローズ・インフィニティ!!!!!!」


 ーーその魔法を発動した瞬間、俺の作りだした空間の中の気温はマイナス百度という生命など生きられぬ極寒の地と化す。
 空気すらも冷え固まりドラゴン達は呼吸をするだけで肺から凍りついていく。
 どれだけ火を吹こうとこの寒さの前では全て無意味。一瞬で消える。
 ドラゴン達は苦しみの咆哮を上げるがそれも虚しく、どんどん凍っていく。尻尾から頭まで。体内でも血が凍結していく。

 全てが凍結していく中、ドラゴン達の悲鳴だけが響き渡っておりそこはまさに"地獄"となっていた。
 俺はというと寒さ耐性のおかげで全くダメージにもならない。

 こうして俺と竜との戦いは幕を閉じた。

 


 

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