「神に選ばれ、神になる」そんな俺のものがたり

竹華 彗美

第十一話 サポタの怒り


 俺は永本の傷を癒し、歩けるようになったことを確認し、ゴブリンの元へ行く。
 ゴブリンも瀕死状態でヒールをかけて治す。ゴブリンは目を覚ますと怯えていたが、俺がデスフラワーによる危険性はないことを伝えるとホッとしたようだ。
 
 既に太陽は真上を通過し、西に傾き始めていた。俺は全く問題なかったが二人はヒールをかけたとはいえ、疲労は蓄積している。なので今日の村探しはやめて、転移でみんなの元まで帰った。

 その後長谷川先生に帰ったことを報告すると、先程の衝撃で怪我はないかなどを聞かれた。
 怪我も何も自分でやったことなので、加害者側の訳だが、二人とも大丈夫だと答え俺は後で長谷川先生と二人になり、全てを話した。話していくに連れて顔が真っ赤になっていくのはよく分かった。
 全てを話した後、しばらくの沈黙の後、顔を真っ赤にした長谷川先生は怒りを通り越し、怒る気も失せていた。

「あーもう。お前はもう何でもできそうだ。みんなといてもストレスが溜まるだけだと思うしな。特別、お前はもうここにいなくてもいいぞ。好きにやってくれ。俺も清水といると疲れる。永本と一緒に色々行ってみたらどうだ?」

 俺はその言葉に戸惑う。たしかに異世界なんだし色々行ってみたいし、やってみたいこともたくさんあるのだが、こうも投げられてしまうとどうすればいいかわからない。
 それにみんなの戦闘能力ではこの先何かあった時、全滅ということもあり得る。
 あれだけ頑張っている永本でさえ、やっと一人で大人のウルフを狩れるようになってきたところなのだ。
 なのに全くもってまだ戦闘もやったことのない素人がこの山を抜けることなど不可能なのだ。
 それにずっとここにいても食べ物だってなくなるし、みんなのストレスも高まるばかり。
 それをほっといて、俺たちだけここを離れるのはできない。

「少し考えます。」

 俺はその一言だけ残し、その場を後にした。

 永本達は疲れていたようで、俺の作ったベッドの上で寝てしまっている。
 ベッドは創造魔法で作ったものだ。まず一本の木に触れてベッドの形をイメージし、ニ段ベッドを作る。
 そこにウルフから拝借した毛皮を敷布団と掛け布団として設置すれば完成である。
 人目につくと厄介なので、大きな岩の隅に設置しておいた。

 俺はベッドの近くの木に寄りかかり、どうやったら力を制御できるかプロフィール画面を見ながら考える。

[名前] 清水 隆志 しみずたかし
[性別] 男
[年齢] 十六歳
[種族] 人間族
[職業] 
[称号] 転生者 異世界の学生 先駆者
    神々に選ばれし者 人外者
    全能神のお墨付き 初級魔法使い
    体術一流 武士一流
    火属性魔法の使い手

[レベル] 12600
[体力] 11599975/12600000
[魔力] 約12兆/約12兆

[魔法]
火 lv96
水 lv31
氷 lv18
雷 lv17
風 lv20
地 lv27
光 lv17
闇 lv15
無 lv15
精神 lv32
空間 lv25
創造 lv32
召喚 lv19
回復 lv42

[体術] lv180
[武術] lv46

[特性・耐性]
初級・中級魔法無効化
物理ダメージ九割軽減
魔法 消費魔力半分
物質透過
低確率ダメージ吸収回復
視野拡大(360度5kmまで)
魔力感知(最大14km)
狙撃耐性
気圧耐性
水圧耐性
聴力上昇
火耐性
水耐性
光耐性
毒耐性
熱耐性(100度まで)
寒さ耐性(マイナス200度まで)
痺れ耐性
呪い耐性
精神魔法耐性
回復魔法回復力アップ
ステータス覗き見不可

[スキル]
無限アイテムボックス
レベル上昇補助
隠蔽
全武器使用可能
調査


「はぁ〜。」
 
 もうため息しか出てこない。だって称号に"人外者"ってあるもん。というか分かるわ。こんなん。
 火属性魔法もう使うな!って言ってるようなものじゃん。確かにちょっとおかしいなぁとは思ってたよ?
 超手加減したつもりで、卓球ボールぐらいの火の玉をウルフにぶち込んだ時に爆発して、他の周りにいた二十匹ぐらいの姿が消えたから。
 おかしいとは思ったけど、あれ以上手加減しろなんて、無理だって。

「サポタ。なんか力を吸い取れるような魔法とかない?」
『ありますよ。』
「そうだよな〜。あるよな〜。……ん!?……ある?……今あるって言った?」
『はい。存在します。この世界では超級魔法に位置付けられていますが、たかし様であれば楽々に使えるかと……」
「……!?………あるんか〜〜い!!!!!!!!!」

 俺は大声でそう言う。その声で永本とゴブリンは飛び起き、二階にいたゴブリンは転げ落ちる。そして視界には入っていないが、周辺の生物達も皆飛び起きた。長谷川先生は一人ため息をついていた。

「どうしたんだよ!?清水!また大騒ぎして!!」

 俺は永本にそう言われ我に返ると周りを見渡し、現状を理解すると自分でも顔が赤くなっていくのがわかった。

「……ちょっとまたサポタに驚かされて。」

 そう僕が言うと頭の中でサポタが愚痴を言ったような気がした。それを無視し、落ち着いたところで永本には驚いた理由を告げた。

「なるほどねー。力を吸い取れるなんて……たしかに驚くわ。それにその魔法、使えればほぼ最強だし。」
「だろ?……で、サポタ?どうすればいいんだ?」
『……』
「……?」
「どうしたんだよ?たかし。」
「それが、サポタが反応してくれなく……まさか!!もう休憩時間入っちゃった?」
「いや、まだだと思うよ。まだ日が完全に隠れてない。まだ六時ぐらいかなぁ?」
「あ、そっか。じゃあ、サポタ?起きてるんでしょ?ねぇ!その魔法教えてよ!」

 そして少しするとくらーい声でサポタの返答が返ってきた。

『……なんでですか?私を厄介者扱いしたくせに……今更なんというんですか!?」

 え!?……厄介者?……そんな風に思った覚えはこれっぽちも……

『私に驚かされたとか、言ってませんでした?私はあなたの質問に答えただけなのにあなたが勝手に叫んだというのに、私のせいだと……言ったではありませんか?」

「………。」

「大丈夫か?たかし?顔、真っ青だぞ?冷や汗もかいてるみたいだし。休んだ方がいいのでは?」

 サポタさんは今まで聞いたこともない低くて冷たい返事をした。
 俺は永本の声など入ってきているわけもなく、その場で土下座をする。

「申し訳!ございませんでした!!」

 辺りはまた静かになる。いきなり誰もいない前で土下座をする少年に誰が声をかけられようか。
 端から見たら、薬でもやってるのか?という反応が返ってきそうだ。
 そんなことは見えていないのでそのまま謝り続ける。

「厄介者など滅相もございません!あなた様はいつも俺の質問に丁寧に答えてくださり、感謝以外の言葉はありません!先程の発言、誠に申し訳ございませんでした!」

 あまり人が見ていないのが幸運と言ったところだが、その姿はただの"危ない奴"である。永本だけは既に察しているようではあるが、謝る理由がわかればわかるほど恥ずかしくなっていくのであった。

『いいでしょう。許します。』
「本当ですか!?サポタ様!」
『はい。あなたの醜態を持って罰といたします。周りをよくご覧ください。」

 そして俺は我に返り、周りを見渡す。



「……やって!しまったーーーーー!!!!!!!」




 またしても山中に、俺の声が響き渡る。そして長谷川先生はまたため息をつくしかなかった。





 そしてこの一日の出来事は、この山に住む人々の中で永久に語り継げられることとなる。

『むかしむかしこの山に突然爆音が鳴り響いたそうな。その頃は山の魔物たちが活発で、「他の生命に迷惑をかけてることを知りなさい」という神様からの怒りのいかづちだそうな。雷が落ちた場所は凹んでいて、そこにいた魔物達は一瞬にして死んだそうな。しかしそれでもなお魔物達は神様からの雷に歯向かった。するとその日の日が沈むと同時に、神のお声がかかって「皆の者、まだわからぬか!これで静かにせんかったのなら、この山ごと吹き飛ばすぞ!!」と忠告してきたそうな。それからというもの、魔物達は穏やかになったとさ。おしまい。』



    

 

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