「神に選ばれ、神になる」そんな俺のものがたり

竹華 彗美

第三話 俺やっぱチードじゃん(笑)


 俺はしばしの間優越感に浸る。そうこうしているうちにまた田村が動き始める。

「そんなのライターでも持ってるんじゃないの!?魔法なんて信じられるわけないでしょう!」

 また怒鳴り始める。しかし生徒たちはもうその田村の言動に呆れかけていた。

「田村先生、もう認めたらどうですか?今から本格的な説明に入るのですが。頑固な性格なのは分かりますがこれ以上うるさいようだと、お言葉を返すようで申し訳ないですが痛い目を見てもらいますよ?」

  そう言うと田村はますます顔を赤くし今度はこちらに突進してくる。
 田村は体育科の教師で空手部の顧問。幼い時から空手と向き合ってきていて高校三年の時には全国大会準優勝を飾ったらしい。
 今は三十代前半ぐらいでまだまだ強いと聞いたことがあった。実際空手部の生徒との模擬戦でも全戦全勝らしいし、男子部員をも圧倒しているらしい。
 俺は個人的に田村は嫌いだ。教科担任だが怒ればなんとかなるっていう思考で自分が気に入らない生徒には必要以上に怒る。
 そういうところが嫌いなのだ。

 ここまで走りテンポ良く右ストレートを俺の胸に照準を合わせる。
 しかし俺にはその右ストレートはジャポン玉程度の速さにしか見えない。だから当たる直前ヒラリと左側に避ける。そして瞬時に田村の後ろに回りまだ動いている足首を掴む。前に重心が行ってるから後ろに足首を引いてやると、

「ドス!!」

 田村はそのまま勢いよく顔から地面にダイブし、受け身を取れず鼻血を出す。
 その様子を見ていた全体はあまりの俺の早さにただただ呆然としていた。
 そして倒れた本人は鼻血を出しながらすぐに立ち上がり、激昂する。
 だがそこにはもう尊厳はなく、他の先生方も生徒たちも全く耳を貸そうとはせず、俺の体術に尊敬の目を向けていた。(自称ではないはず!!)
 それでまだ殴りかかってきたのでそれも避けて、地属性魔法で倒れる田村の手首と足首と首の部分にリングを出現させ、地面にしっかりと拘束する。
 これは今瞬時にサポタに聞いたもので土属性は主に頭で描いているものを形にできるものらしい。
 まぁ土がないところではダメだがまぁそんな場所は海や川だ。
 ここも洞窟っぽいし、ふんだんに土はあるのでそれを使い拘束する。
 使い方によってはチート級だがそんなことは置いといて。

「なによ!これ!こんなことしてただで済むなんて思うなよ!」

 田村はこんな状態でも必死な抵抗を続ける。しかしリングは外れるわけがない。それにもう既に田村は全員から冷たい目で見られている。そんな中、一人の女子生徒がいう。

「田村先生が一番うるさいです!ちょっと黙ってください!今一番みんなが信じているのはあなたではなく前に立って仮説を立てて発表し、実演してくれている清水君です!自分が負けたからってうるさくして団体の秩序を乱してるのは自分だとそろそろ自覚してはどうですか?」

 そう同じクラスの工藤さんが言うとみんなも同調してくる。それに既に負けて醜態を晒し、他の先生方にも痛い目を飛ばされている田村がそれに反抗することはそれ以降なかった。
 それを見て僕は静かにするように促す。

「みんな!そこら辺にして話を聞いてくれ!」

 そう言うと静かになりじっと僕を見つめてくる。ちょっと恥ずかしいな〜。

「今から僕が見つけたことを教えるよ!まず右手人差し指を上から下に振ってみてくれ。そうするとみんななら大半の人はゲームやらアニメやら見てるから分かると思うけど、ステータス画面が見えると思うんだ。やってみて!」

 そう言うと皆一斉に右手人差し指を上から下へ動かす。その間に僕はサポタと話す。

「おい、サポタ。」
『何でしょうか。』
「声を大きく出来る魔法とかってない?」
『はい。実在します。"声量アップ"ですね。』
「ありがと。つうかさ。サポタいるなら魔法書とかいらなくね?」
『いえ。私の勤務時間は午前0時から午後11時までとなっておりますので一時間は話せません。その間に何かピンチなことがあった時、対応できません。それに清水様だって魔法は多く覚えたいでしょう?」
「まぁそうだな。……て一時間使えないのな。」
『はい。その通りです。私にも一応充電時間というものがありますので。』
「あら、そうですか。」

 そう会話を終わらせ、周りを見渡すと皆一様に興奮している。先生たちは呆然としている。

「あ、そうだ!俺のステータスはチート級だったがみんなのステータスはどんな感じなの?」
『えー、他の転生者の皆様は全体的にレベル1スタート。魔法も最高三種類しか使えなく、体術などのレベルも1からとなっているか、もしくはないか。また、体力・魔力は大体三百程度。特性や耐性欄もほぼ空白。スキルに関しましてはある方の方が稀となっております。詳しくはスキル"調査"にて耐性に"ステータス覗き見無効化"がある方以外はいつでも見ることができます。またステータスを見せる機会もなくはないでしょうから"隠蔽"のスキルで偽装もできます。』
「うわー。それはガチでチート級や。まぁ隠蔽があればなんとかなるか。ん?待てよ?ステータスって他の人に見せることができるのか?」
『はい。ステータス画面に右手を置き"オープン"と唱えると他人に見せることができます。しまう時は"クローズ"と唱えるとしまうことができます。』
「へぇ〜。説明ありがとう。」
『はい。どういたしまして。』

 そう言い、まだ賑やかになっているところに声を出し静かにさせる。

"声量アップ"

「みんな!さっきより声が聞こえるようになったかな?」

 そう言うとみんながこっちを向いて首を縦に降る。

「みんながどんなステータスだったのかは知らないけどみんなもう分かったと思う!ここは異世界だ!!今後どうするかについては先生方に任せる。いいかな?」

 そう言うと先生方は嫌そうな顔をしてきたが生徒側は首を縦に振る。

「ではお願いします。」

 僕はそう言い退場した。

ーーーーー

 僕の退場後今後の方針について先生達でしばし討論され、その後指示が出た。
 この場所で待機らしい。ここがどこなのか、どういった地形なのかを調べるらしい。
 まぁ既に俺には大体の構造は把握できていた。なんせ"物質透過""魔力感知""視野拡大""聴力上昇"があるのだから。
魔力探知は生命探知もできる。
 ここは洞窟のような場所で非常に入り組んでいる。地下に続いている階段のようなものもあり、スキル"調査"で調べた結果既にクリアされたダンジョンということがわかった。
 とはいえこの階にもコウモリや人型モンスターの反応はある。だがこの階の一キロ範囲内には何もないことが判明している。
 聴力上昇のおかげで風の音も分かり、ここはこのダンジョンの二階に相当し、一階に通じる階段も分かっている。

 まぁそんなことは俺にしか分かってないことである。その情報を先生方に伝えに行きたいのだが、自分の席に座るやいなや質問責めを食らっている次第である。
 俺だってそんなに知らねーつーの!
 このままだときりがないので俺は密かにサポタに聞いておいた短距離転移で一つ壁の向こうの道に転移する。
 その際親友である永本の手を握ってだ。
転移させたいものと触れながら魔法を使うと一緒に転移できるとサポタに教えてもらった。
 普通は一度行ったところにしかいけない転移だが、"物質透過"がある俺には造作もない。ここからそこまで行くようなものだからだ。

 転移すると自分もびっくりしたが、突然手を握られ違うところに転移させられた永本はもっと驚いていた。

「よし!ここなら静かに話せる!」
「たかし!今のなんだ?!」
「転移だよ。俺も今使ってみてちょいびっくり。」
「転移ってお前?ここどこだ?」
「壁一枚向こうはみんながいる場所だ。」
「へぇ〜……じゃなくて!お前!さっきの対応といい、体術といい、どういうことだよ!」
「お前には話そうと思ってな。親友だし。つうかお前に知ってもらいたい。お前に変な目で見られたら、俺すげー嫌だからな!今から話すことは絶対他言禁止!分かったか?」
「ん?……ああ分かった。絶対誰にも言わねー。」

 その言葉を聞いた後俺は話し出す。

「サポタ。」
『はい。』
「お前の声を俺以外のやつに聞かせることってできるか?』
『はい。できます。召喚術によって召喚してください。一度の召喚につき一時間可能です。』
「分かった。」

 俺は召喚魔法を使う。

「サポタ召喚!」

 すると召喚陣が突如出現し、そこから綺麗な白い衣装を着た女性が出現する。

 永本は驚きの声を上げ、サポタはこちらを向き挨拶する。

「私は転生者サポーターのサポタです。どうぞよろしく。」

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