「神に選ばれ、神になる」そんな俺のものがたり

竹華 彗美

第二話 魔法使ってみた


 僕はしばらくの間自分のステータスに呆然としていた。
 そしてしばらくするとまた頭の中で女性声が聞こえてきた。

『どうでしたか?』
「どうでしたか?っじゃねぇよ!なんなんだよこれ!他の奴らもこんなんなのか?」

 俺は頭の中でツッコミを入れる。

『いえ、他の方々はごく一般的なステータスとなっております。あ、申し遅れました。わたくし、異世界転生者サポーターのサポタと申します。以後よろしくお願い致します。』
「はあ?何意味わかんねーことばっか言ってんだよ?異世界転生者サポーターのサポタってどんだけ名前適当……ってそう言うことじゃねぇよ!なんだよ!俺、世に言う異世界転生したのか?」
『はい、その通りであります。ここは転生した元の世界とは異なる世界であります。ここにいるみなさんは全員転生者となっています。』
「え?じゃあ、お前の声はここにいる全員に聞こえているのか?」
『いえ。あなたにしか聞こえていません。』
「なんで俺だけなんだよ?』
『それは神々に選ばれし者だからです』
「何その"神々に選ばれしもの"って。ステータス画面にも書いてあったけど。」
『その名の通り、神々にあなたは選ばれたのです。』
「なんで俺なの?こんなにいっぱい人いるじゃん。」
『それは……』
「それは…… なんだよ?なんだ?そんなに言えない理由でもあるってのか?卑しいこととかが!」
『いえ、卑しいことなど一つもありません。ただ、あみだくじ・・・・・で選ばれただけです。』
「……はっ?あ、み、だ、く、じ?」
『はい、その通りであります。神々は原来賭け事が好きでありまして、"神々に選ばれし者"の称号をつける際、あみだくじによって決定しております。今回は全能神グミドル様がお勝ちになられましたのでそれに見合ったステータスをつけさせて頂きました。また神々に選ばれし者には私のような転生者サポーターをつける義務がございますのでどうぞよろしくお願いします。』
「神って案外適当なんだな。っていうかお前今"神々に選ばれし者には私たちのような転生者サポーターをつける義務がある"って言ったよな?他にもこの称号持ってるやつっているのか?」
『はい。いらっしゃいます。ですがあいにくそれは一世界に一人と決まっておりまして、この世界ではあなたしかいません。』
「一世界に一人って……じゃあ他の世界もあるってことだよな?」
『はい。その通りであります。現在ある世界は全部で二百八十六存在します。その中で生命たちは行ったり来たり、行ったり来たりを繰り返しています。その中でも前世の記憶があり違う世界に行ってしまった者達を転生者と呼ぶのです。これは単なるバグであり、あなた達はそのバグから生まれた人間であり、あなたはその中から選ばれた特別な生命なのです。』
「なるほど〜。難しい話はあんまり得意じゃないけどなんとなくわかったぜ!』
「あ、そういえば私との会話はここまでにした方がよろしいかと。あなたは頭の中で呟いているように錯覚していたようですが大半声に出ていました。それにより今あなたは一つの生命を怒らせています。今こちらに向かってきます。そろそろ目を覚ましてください。いつでも私の名前を呼べば、私はあなたの話し相手となれますので何かご不明な点ありましたらご相談ください。またステータス画面から開けるプレゼントボックスにこの世界についての辞書・魔法百科事典を転送しておきます。それも合わせてごらんください。では目を開けてください。』

 その言葉を聞いた後俺は無意識に閉じていた目を開ける。すると前には立ちながらこちらを睨みつけ怒る田村と周囲には心配するクラスメイト達が座っている。

「さっきっから!うるさいな!独り言でも慎めと何度も言ってるだろうが!!言ってもわからないんだったら!!!」

 そう言うと田村は足を振り上げ俺を蹴飛そうとする。他の先生は止めようとしているが間に合わない。

"ガッッ!!!"

 俺の腹に見事に蹴りが入る。俺は少し後ろに押される。

「グハッッッッ……」

 しばらくの間沈黙が流れる。しかし俺はあることに気づいた。

『ってあれ?なんだろ。全く痛くねぇ。』
「はぁ?テメェ何ほざいてんだこりゃ?」

 その言葉を聞いた他の先生方は止めに入る。

「田村先生っ!やめてください!子供達が見ています!」

 その言葉を聞いたが全く痛くない。けられた?いや、何にもされてない?いや、確かに少しは痛みを感じるが、痒いぐらいだ。

「大丈夫かい?たかしくん。」

 担任が心配そうに言ってくる。しかし俺は別のことを考えていた。
 あ、そっか。"物理ダメージ八割軽減"だもんなぁ。それは全く痛みがないわけだ。

「先生、大丈夫です。」
「無理しなくてもいいんだよ?」
「無理してる顔に見えますか?」

 そう言うとニコッと笑ってあげた。だって全く痛くないもん。
 そして興奮状態の田村に謝る。

「すみません。田村先生。ちょっとここについて分かった、いや思いついたことがありましてそれを自分自身で検討してたのです。それが独り言になっていたとは気づきませんでした。すみませんでした。」

 そして僕は立ちながらステータスを開き、プレゼントを開く。すると二冊の分厚い本が左手の上に出現する。
 周りの人、いや全員がこちらを注目する中僕は作業する。

「うわぁ、文字読めない。……あ、サポタ!」
『何でしょうか?』
「この言葉読めるようにできる?」
『わかりました。では読めるように元の世界の言葉に翻訳できるよう頭の中にこの世界の言葉をインプットします。』
「お願い。」

 そうすると段々と暗号のような文字が読めるようになってくる。そして十秒経つ。

『翻訳機能完成しました。これで読むことはもちろん、書くことも話すことも可能となりました。』
「ありがとう。」

 そう言い僕は二つの本を眺める。
 赤っぽいカバーの本がこの世界の辞典。黒っぽい本が魔法辞典だ。
 僕は世界辞典はアイテムボックスの中にしまい、魔法辞典の精神魔法のページを開き、読み進める。
 その時怒り狂い、先生達に止められる田村が言う。

「その本は何!?」
「この本ですか?この本は魔法書です。」
「魔法書?何言ってんの!貸しなさい!」
「嫌です。今田村先生に貸したら破られそうだ。」
『その点については問題ありません。この魔法書は破られても再生します。』
「そうなんだー。……じゃなくて!まぁいいや。それよりも……あったあった!」

 使いたい魔法があり、俺はその場で全員に聞こえるように言う。

「みんな。俺はここがどこなのか今証明したいと思う!俺は四組の清水だ!あんまり表立たないから知らないやつがほとんどだと思うが、俺の話を聞いてほしい。ーとは言っても田村先生がうるさいですね。ちょっと静かにしててください!"行動停止ストップ"」

 俺がそう言うと田村は動きが止まり、静かになる。抑えていた先生達も田村が一瞬にして静かになったことに動揺している様子だ。無論他の人たちもだ。

 そして俺は勇気を出し歩き出し前に立つ。

「みんな静かにしてくれてありがとう!少しいいかな?田村先生も耳は聞こえてると思うので話聞いててください。まずここがどこなのか。それは俺が自ら仮説を立て今立証されました。」

 まぁ自らなんて嘘だけど!

「ここは地球ではない!異世界です!」

 そう言うとガヤガヤとする。中には僕のおかしな言動で笑う人もいる。しかし中には田村が止まって動かないことに不審感を感じ、真剣に聞こうとする者もいた。
 僕は再び続ける。

「その証明の第一歩が、今止まっている田村先生です。今僕は田村先生に精神魔法である"行動停止ストップをかけました。この効果は行動を一時的に停止させるというものです。そろそろ効果も切れると思います。」

 そう俺が言った十秒後田村は動き出す。
ものすごい顔を赤くして。

「なんですって!魔法?意味わかんないことばっか言いやがって!今のは何か鎮静剤でも打ったんじゃないの!実はそんなものを隠し持ってたのね!これは少々痛い目にあってもらうわよ!」

 あー信じてないやー。田村はもともと頑固な性格だしなー。めんどいからもう一回行動止めとこっかなー?
 そう思いまた行動を停止しておく。効果二分って書いてあったから早口で話そう。
 で、また行動を止めると今度はもっとガヤガヤとしてくる。まだ笑う人もいるがさすが異世界モノに憧れていた少年少女達!俺に釘付けとなる。
 こういう時に先生達と生徒を見比べるとジェネレーションギャップをしみじみ感じる。
 そしてまた話し始める。

「これで信じてもらいたい。サポタ。火属性魔法の超低位魔法って何?」
『はい。それは魔法書三ページに記載されているファイヤーですね。火を生み出し主に野営をする時に使われます。』
「まぁそれでいっか。」

ファイヤー

 すると目線の高さに火の玉が出来上がる。それを見た学生達は今までにないぐらいガヤガヤと話をする。先生達は皆呆然としていた。
 再び目線を生徒に向けると拍手している者もいた。俺は少し優越感に浸っていた。
 

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