瞼に染まる白の残像
現代ドラマ

完結:2話

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瞼に染まる白の残像

  • あらすじ

     春、離別、悲哀、生と死の交差点。---
      三月生まれの弥生と、四月生まれの卯月(わたし)。隣同士の名前はとても近くて、決して交わることがない。
     
      彼女が死んだ。高所恐怖症の私には到底できない、高い高い場所から身を投げて死んだ。
      よりによって、私の誕生月である四月に。
     
     
      一転、卯月(うづき)という名前が大嫌いになった。彼女の途絶えたその季節が怖くなった。
      彼女に触れた指先が、今も時折冷たく染まる。
     
      春。出会いと別れ。祝祭の季節。
     
     
      私は瞼の裏に彼女を創る。まばたきをして世界を更新するまでは、彼女の残像は目の前に浮かび続ける。
      その乾いた日常は、くるり一周の船旅の果てに終わりを迎える。

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