【完結】女装男子のインビジブルな恋愛事情。

瀬野 或

■【一十五章:Do not dependent,】■


 春が訪れた。

 冬の名残りは程よく冷たい空気意外に無く、校舎へ続く長い坂には桜が咲き誇り、時折吹き抜ける風が花弁を散らす。

 今日から新学期が始まる──。

 バスに乗っていた三年生はもういない。そして、二年生だった彼らが三年となり、僕らは二年生となった。一年前、僕が一年生だった頃の三年生は大人っぽく見えたけれど、今の三年はどこか頼りなく映る。

 本日から彼ら新・三年が行事を取り仕切ることになるのだが、果たして本当に役目を果たせるのだろうかと不安だ。結果、僕ら二年生がそのサポートに当たる訳なのだけれど……僕ら二年生もそこそこポンコツ揃いである。新学期早々、暗雲が立ち込めるような状況。新入生は僕のメランコリックな気分など知る由も無い。それよりも、新しい学校生活がどう転ぶのかが掛かっているので誰しも表情は暗い。

 数百といる新入生の中で、誰がぼっちルートを辿ることになるのか──なんて下衆い考えが頭を過ぎったけれど、誰がぼっちになろうが関係無い僕にとって、彼ら新入生の先行きを案じることは、坂道を上り切るまでの暇潰しでしかなかった。

 一年間通してこの坂を上り下りしたが、身体能力が向上した気はしない。来年にはこの坂を表情一つ変えずに上り切ることができるのだろうか? 相も変わらず息は上がるし、最後の難関である赤煉瓦の階段はラスボスチックに嘲笑う。そして、僕の膝も絶賛大爆笑中だ。

 えっちらほっちらどっこいしょ、と階段を上り切る。眼前に聳え立つのは壁の所々に亀裂の入った校舎。冷暖房が完備されたのはここ最近らしい。それまでは真夏日の猛暑にも、冬の険しい寒さにも我慢して授業を受けなければならない過酷な惨状だったようだ。『忍耐が付く』というのは根性論。この時代に忍耐も何も無いだろうに。忍者でも育成したいのかって話だってばよ。








【感謝】

 この度は『女装男子のインビジブルな恋愛事情。』にお目通し頂きまして、誠にありがとうございます。皆様がいつも読んで下さるおかげで最新話をお届けできています。まだまだ未熟な私ですが、これからもご贔屓にして頂けたら幸いです。

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【話数について】

 当作品は『小説家になろう』と同時進行で投稿しておりますが、『小説家になろう』と『ノベルバ』では、話数が異なっています。その理由は、ノベルバに『章』という概念が無く、無理矢理作品に反映させているため、その分、余計に話数が増えているのです。なので、『小説家になろう』でも、『ノベルバ』でも、進行状況は変わりません。読みやすい方、使いやすい方をお選び下さい♪

【作品の投稿について】

 当作品は『毎日投稿』では御座いません。毎日投稿を心掛けてはいますが、作業が煮詰まってしまったり、リアルが現実的に、本当に多忙な場合、投稿を見送らせて頂くことも御座います。その際は、次の投稿までお待ち下さると嬉しい限りです。予め、ご了承ください。

 これからも──

 女装男子のインビジブルな恋愛事情。

 を、よろしくお願い申し上げます。(=ω=)ノ

 by 瀬野 或

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