ちいさな神様の間違いで異世界に転生してしまいました

きくりうむ

第4話ー冒険者生活1日目

 異世界生活2日目。この世界に来てから、最初の朝がきた。休憩所で目が覚めた僕は、隣にミルフィリアさんがいないことを確認した。もしかしてもうお仕事かな? 勝手に出てっても大丈夫なんだろうか、僕は。


 「あ、起きたんですね。おはようございます」


 「おはようございます」


 出ていこうか出ていかまいか悩んでいると、タイミングよくミルフィリアさんが戻ってきた。昨日さんざんお話に付き合ってたせいで、特に緊張なく挨拶ができた。


 「ちょうど朝ごはん作ってきたんですよ。一緒に食べましょう?」


 「えっと…さすがにそれ……貰います。ありがとうございます」


 手に持ったおぼんをテーブルに置きながら朝ごはんを並べる。さすがに、泊めてもらっただけでなく、夜にもご飯を貰い、朝ごはんまで貰うのは悪いかと思い、断ろうとしたけど、みるからにしゅんと落ち込み姿をみせられ、やっぱりもらうことにした。


 門で会ったおじさんといいミルフィリアさんといい、どうしてこんなにも良い人と出会うんだろう? 僕は。嬉しいけどさ。


 ミルフィリアさんが持ってきたご飯は、普通の柔らかいパンに、スクランブルエッグとベーコンサラダといった、普通のご飯だった。というか、ここは日本だったのか…!?


 昨日はこのパンだけだったから、特に何も思わなかったけど、ここまで日本と同じようなご飯が出るとは思わなかった。


 「ふふ…昨日はパンしか出せなかったけど、今日は一回家に帰って、材料持ってきたんですよ。調理器具はあるんですけど、パンしか置いてないんですよね、ここ」


 「な、なにもそこまでしなくても」


 一回家に帰ったって、ギルドの中、僕しかいなかったってことか。泥棒とか来たらどうするの。


 「いいんですいいんです。戸締まりはちゃんとしましたし、それに、こうやって誰かと一緒に食べるのって久しぶりなので、とても嬉しくて」


 お昼とかは職員の誰かと一緒に食べないのかな?


 「それじゃ、ありがたくいただきます」


 ミルフィリアさんのご飯はとても美味しかったです。










 冒険者生活1日目


 それから少し休憩した僕は、ついに依頼を受けるべく、ボードの前に来ていた。ミルフィリアさんがいうには、もう少しで他の冒険者の人達もやってくるから、混み始める前に、選んできていいですよとのこと。


 さてさて、どの依頼を受けようかな? といっても、Eランクのしか受けれないんだけどね。EランクEランクは…と。


 えーと、宿屋の接客、店の品出し、子供のお守り、土木作業、ゴミ捨て…etc……。見る限り、本当に雑用だこれ。


 門のおじさんとミルフィリアさんでなれたから接客は、たぶんもう大丈夫…だと、思う。品出しって、接客するのかな。それとも本当に品物出すだけかな。子供のお守りは…やめよう。土木作業? …いや、案外いけるかも? 力は強いし。ゴミ捨てって、依頼にする必要あるのかな。


 とりあえず簡単そうなゴミ捨てとかかな。うん。ミルフィリアさんのところに持っていこう。


 「ミルフィリアさん、これにします」


 「ゴミ捨ての依頼ですね。これゴミの量多いんですけど大丈夫ですか? 接客とかの方がいいと思いますが…」


 ボードから取ってきた依頼書を見せたら、ミルフィリアさんは不安そうに見つめてくる。


 「大丈夫です! こう見えて力強いんですよ私」


 「ユウさんがそういうなら…。ですけど、絶対に無茶はしないでくださいね」


 「はい!」


 ミルフィリアさんは依頼書にハンコを押した。それを僕に渡してくるので受けとる。場所は依頼書の裏にかかれているらしい。


 「それではいってきます」


 「はい。いってらっしゃい。気を付けてくださいね」


 ミルフィリアさんと別れ、ギルドを出る。そのまま依頼書の裏面を見ながら、目的の場所に進む。


 それにしても、この地図が見やすくて本当に助かる。昨日来たばっかだから、どこに何があるか全然わからないし。ギルドに帰るときも、逆にたどっていけばいいし。


 …ええっと、あ、あったあった。たぶんここだ。


 「すいませーん」


 こんこん。と、ドアをノックする。はじめて会う人だけど、うん。大丈夫でしょ。きっと。ミルフィリアさんで慣れたし。今の僕なら、門のおじさんとも普通に話せる自信がある。


 「…どちらさまでしょー?」


 がちゃりと、ドアノブが回り、ドアが開いた。中から、赤い髪色のショートヘアーの女性が出てきた。


 「えっと、朝早くにすみません。ギルドにゴミ捨ての依頼を出された人で合っていますか?」


 「はい。そうですが…あなたは?」


 「依頼を受けてきた、冒険者です。新人ですけど…」


 「え? …えっと…大丈夫? 結構な量のゴミあるけど、持てる?」


 「はい! 大丈夫です!」


 ものすごく、驚いてはいたけど、とりあえず上がらせてもらえた。帰れとか言われなくて本当によかった。


 女性の人に案内してもらい、1つの部屋の前に着いた。


 「この部屋のゴミを全部捨ててきて欲しいの」


 そう言って、部屋の扉を開け、中を見せてくれる。


 そこは、これでもかって言うほどごみの入った大きな袋が置かれていた。これはひどい。


 「…本当にごめんなさいね」


 「い、いえいえ。一応、これでも、時間はかかりますが大丈夫です。はい」


 この大きさだと2個が限界だと思うから、2個ずつ運ぶんだけど、何往復かかるんだろこれ。


 「仕事でね、夫が遠くに出掛けてて、数日で戻れるといってたんだけど、何か、終わらないみたいで、当分帰ってこないのよね。私もね、捨てようとは思ったんだけど、こう、中々動きたくなくて……」


 すぅーと横を向く依頼人の女性。用は、やろうとは思ったけど、めんどくさくて、放置してたってことだよね!? 


 「えーと、このごみはどこに捨てればいいでしょうか?」


 「ああ、それなら今から案内するわね」


 そして、女性の案内で、ゴミ捨て場に一回きて、場所を把握した。
だいたい、一軒家3個分くらいの距離かな。今の僕なら楽勝楽勝。


 「…それじゃ始めますね」


 女性の方から「あ…」と、小さく聞こえたけど、さっさと終わらせたかった僕は、スルーする。


 そして、僕が部屋に入った瞬間悲劇が起きた。


 「……くっさい!」


 そうだよ。こんなにごみが置かれてるんだから、異臭がすごいやばいはずじゃん! 全然臭わなかったから、忘れていた。


 「あはは、ごめんなさい。この部屋には、"遮断石"が置いてあって防音とか匂いとかを、外に漏れないようにしてたの」


 なにその便利な石! 欲しい! 超欲しい! さすがファンタジーですね!! 


 「うぅ…入りたくない」


 …でも、これやらないと、お金貰えないし、また、ミルフィリアさんに迷惑かけちゃう。


 「えと、無理そうなら、やらなくて大丈夫よ? ギルドの方には、失敗扱いにならないように言うから…ね?」


 「…いえ、やります」


 お金のためお金のためお金のためお金のためお金のため。


 よし。行ける気がしてきた。


 「が、がんばってね」


 女性の声援を受け、僕は、部屋の中へと足を踏み入れたのだった。










 朝早くに行ったのに、ギルドに戻ったのは、昼過ぎだった。ちなみにゴミ捨て事態は特に問題もなく、終わらせることができた。依頼書にサインを貰い、女性が、濡れたタオルを持ってきてくれたので、ありがたく体を拭いた。そのあとに、匂い消しの薬も持ってきてくれて、臭いもちゃんと消えてくれた。


 そんなことがあり、依頼事態はあれだったけど、女性の人は普通に優しかった。


 ギルドの中は人がいっぱいいた。


 「あ、ユウさん。お疲れ様です」


 「ミルフィリアさん!」


 中に入った僕は、何故か後ろから来た、ミルフィリアさんに声をかけられた。


 「依頼どうでしたか?」


 「はい。無事に終わりました」


 ミルフィリアさんに、サインの入った依頼書を渡す。


 「…はい。ちゃんと終わってますね。それでは、受付に行きましょうか」


 「はい」


 

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