天才の天災

春夜

いよいよ決勝戦

桜花が俯き、震えながら叫ぶ。
「どーいうつもりじゃ!!!!ディーオ!!」
なぜ桜花がディーオに怒っているか、
話はミネアとディーオの試合のあとに溯る。


「リズ、ミネアはどこにいる?」
「マスター、マスターがどうしてもとおっしゃるのでしたら、私はミネアの今いる場所のデータをマスターの脳に送ります。
ですが先程試合が終わったばかりです。
彼女も思う事が色々あると思いますので、今はそっとしておいては貰えませんか?」
思う事?そっとしておく?
リズやミネアが何を考えているかは分からんが、リズはミネアについて何か知っていることでもあるんだろう。
「まぁ、別にすぐでなくてもいいか。」
披露戦が始まる前に言った願いを聞いて、
これを渡すつもりだったが...
レンは手に小さな包装された箱を持っている。
その中には綺麗な藍色のブレスレットが入っている。
能力は一切付与されていない、
オシャレとしてのアクセサリーだ。
ミネアとは1番付き合いが長かったし、
何より今回の戦いは予想以上にミネアはレンを奮い立たせてくれた。
レンなりの感謝の印だ。
「マスターの意に反してしまい、申し訳ございません。」
「構わん。」
でも、ミネアがいないとなればやることが無くなった。
ミネアとの戦いの熱が冷めないせいで眠くもならないし...
「マスター、学院長から念話が入りました。繋げますか?」
「?何の用だ?まぁいい。繋げろ。」
「かしこまりました。」
「聞こえておるかの?レン君。」
「あぁ、何の用だ?」
「面倒を嫌うレン君が披露戦に出ると言ってきた時は驚いたもんじゃ。
その理由を知りたくてな?
育てたい勇者でも見つけたかの?」
「理由なんて...は?育てる?」
「なんじゃ、知らんかったのか?
この披露戦は我が校のSクラスの実力を披露するということで間違いはないが、
この披露戦で優勝したものには勇者を育成する資格と義務が与えられるんじゃよ。
わしはてっきりそれを知って参加を決めたと思ったのじゃが...」
「そんなわけないだろ...
そんなの知ってたら参加しねぇよ。
俺が参加した理由はミネア達と戦える良い機会だったってだけだ。
参加せずに外でミネアと戦えばよかった...」
「あんな戦い、結界の外でやられては
ものすごい被害が出てしまうじゃろうから、わしとしてはありがたいことじゃが。」


「Sクラス披露戦決勝戦、いよいよ始まるぞぉぉー!桜花元帥VSディーオ!
どちらも実力不明のルーキーだぁー!!!!
まずは桜花選手!意気込みを一言!!」
「わしはディーオ、お前と戦うんを楽しみにしとった。全力で、血が沸騰するような、熱い戦いにしようやないか!!」
「熱い戦いは我々観客の誰もが望んでいる展開であります。期待していますよ〜。
さぁぁて、続いてディーオ選手!!」
ディーオはチラリと桜花に視線をうつし、
フッと微笑む。
「辞退する。」
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「「「な、何ィィィィィィィっ!!!!」」」

会場にいる誰もが、今披露戦1番の大声を張り上げた瞬間だった。

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