天才の天災

春夜

沙織との再開

なんだ?懐かしい感じがする...
ハクロに戦わせて勝った後、部屋に戻って寝たはずだが、この感じは…

「あ、おはよう。レン君。」
沙織に膝枕されていた。
「誰だ?」
「ふふっ。寝ぼけてるんですか?」
おかしい。以前とは違い、髪は長いままだが黒から白銀に変わっているし、
容姿も変えた。
「前とは随分変わってるね。
探すのに苦労しちゃった!」
「はぁ、なんで俺だと分かった?」
「?」
沙織は心底不思議な顔で首を傾げる。
「私がレン君を間違えるはずないじゃない。雰囲気で分かるよ。」
こいつは俺よりチートだと心から思う。
「綺麗な色...レン君はどんな髪色でもカッコイイね!」
沙織はレンの髪を撫でる。
「前からだったけど、ちょっと長いかな…私、切ってあげようか?」
「沙織、散髪なんて出来たか?」
「レン君のために出来ることをしようって頑張ってたら、色んなことが出来るようになったの。」
「そうか。邪魔くさいし、頼むわ。」
「うん!」

「おぉ...さっぱりした。」
「でしょ!長かった時もカッコよかったけど、こっちの方が私は好き!」
沙織は器用に風魔法を使って俺の髪を切ってた。
前は肩下まで伸びていたが、
魔法で少し毛を固めたりして、目元ぐらいまでの長さになった。
アニメの主人公にいそうだな...
「そういや、あいつらは?
こっちに来てるんだろ?」
「うん、みんななら...」
そのタイミングでミネア、ココ、シズク、
桜花の全員が帰ってきた。
「止まれ。」
レンの一声で全員の動きがピタリと止まる。
シズクは短剣を抜き、沙織の首元に当てる直前、ミネアは戦闘態勢に入っていた。
「ますたー、これは誰?今までの視線と同じ。」
視線?
「なんの事だ?」
「今までどっかから、ますたーへの視線を感じた。この人から。」
「披露戦が始まって直ぐに、
レン君がいる気がして見てたらほんとにいるんだもん。他の人がいると近づきにくいし、ちょっと観察してたんだけど、
その時かな?」
なるほど。シズクは暗殺職だから、
気配とかそういうのには鋭いんだろう。
「落ち着け。リズ、お互いのことを説明してやれ。」
「かしこまりました、マスター。」

数分後
「前の世界の家族か...」
「......」
「ご主人様のご家族でしたか。
初めまして、ココって言います。
一応、家事全般をさせて頂いてます!」
「所有物...うふふっ、レン君らしいね。
こっちの世界でも、やっぱり人は苦手?」
「そうでもないさ、面倒なだけ。」
「そっか。」
「なんやなんや?またレンの知り合いか?お前の知り合いは全員、べっぴんさんが多いのぅ...」
桜花には説明してない。
異世界人とか、話すとめんどそうだし。
「皆さん初めまして。
改めて、レン君の姉と思ってください。
沙織です。よろしくね。」
「あぁ、ボスの知り合いなら歓迎さね。
ミネアだ。竜人族だよ。」
「シズク。魔族。」
「ココです!よろしくお願いしますね!」
「おう!わしは桜花元帥じゃ。
よろしゅうな!」
「それはそうと、話を戻すぞ。あいつらは?」
「もちろん来てるよ。今観客席にいると思うけど、呼んでくるね。」
レンは立ち上がった沙織の手を掴む。
「レン君?」
「いや、いい。あいつらは俺の事気づいてるか?」
「ううん。私しか知らないと思うけど…」
「なら、このまま誰にも話すな。
内緒の方が面白いだろ?そのうち俺から話すよ。」
「分かった!じゃあみんなには内緒にしとくね。」
「それから、沙織はあいつらの所へ戻って一緒に行動してろ。」
「いや。」
沙織は今まで俺の言う通りだった。
反対の意を見せたのは初めてだ。
「だってレン君、刑務所に入っちゃって、ちょっと我慢すれば戻ってくると思ったのに、転移させられて離れ離れになっちゃうし、もうレン君と離れるのはやだよ...」

チュッ
レンは沙織にくちづけをした。
前の世界にいた頃は、よくした行為。
しばらく離れていたせいか、沙織の顔は真っ赤になっている。
「行け。」
「う、うん。また会いに来てね...」
沙織はそう言って、フラフラとおぼつかない足取りで部屋を後にする。

じーーーーーーーーーーーーーー
沙織が帰ったあとひたすらに視線を感じる。
「なんだ?」
「な、なんでもない!
(あたしが万が一、いや億が1でもボスに勝てたら、あたしもボスと...)」
「.........ずるい(((ボソッ…」
「...う、羨ましいです((ボソッ…」
「(マスターのお役にたてば、して貰えるでしょうか…)」
「は、恥じらいを知らんのか…」
「何を恥ずかしがる?それより、お前の出番だぞ。」
「見せつけおって。このイライラをぶつけたるわ!」
?よくわからん奴らだな...


(ぅぅぅ〜〜...れ、レン君と会えてなかったから、ドキドキが止まらないよぉ...
顔、赤くなかったかな...
あつい...みんなの所に戻る前に何とかしなきゃ…)

コメント

  • 頑張れ著者さん

    投稿頑張って!めっちゃ面白かったです!

    5
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品