天才の天災

春夜

ファッション

ウキウキ顔でミネア、シズク、ココの3人が帰ってきた。
俺が来週から学院に入学することになったため、服を買いに行ったらしい。
入学式に着る服1着でいいはずなのだが、
3人とも両手にパンパンの袋を持って帰ってきた。
「...そんなに必要ないぞ?」
「い、1着だけでいいのは分かってるんですけど、私達だけでは決めきれなくて...」
「服を着るのはボスなんだから、ボスの意見も聞かないとだしね。」
「ますたー、どれも似合う。選んで。」
「...いつものやつでいいよ。」
「ダメ。」「ダメです。」
「こんな時ぐらい、オシャレしないとね。」
とのことで、長時間にわたりファッションショーが行われた。
6袋分の服を着終えた時には既に日が沈んでいた。
正直、服なんて着れればいい。
前の世界でも動きやすいからとジャージを着ていたし…
「で、お前らはどれがいいと思うんだ?」
試しに聞いてみた。
「「「これ。」」」
3人とも選んだ服はバラバラだった。
「どー考えてもこれだろ?
ボスによく似合ってたじゃねぇか!」
ミネアが選んだのは、まさに暴走族のような服。
黒い生地に金色のドラゴンが大きく描かれている。
「違う。これだった。」
珍しくシズクが強気に意見しているのは、
和風。
よくこんなの売ってたな…
「いいえ!行事にはこれを着るに決まってます!」
ココのはスーツ。
黒1色のスーツに白いシャツ。
見たことあるようなのばっかりだ...
「はぁ...リズ、お前はどう思う?」
「マスターは何を着ても似合うと思います。」
断言された。
これじゃ決まらないので、3人にジャンケンを教えてやってもらう。
「「「ジャンケン、ポン!」」」
グー、チョキ、チョキ。
結果はシズクの一人勝ち。
「決まった。」
俺も私服としてジャンケンに参加すれば良かった…
何はともあれ、入学式には和服を着ていくことに決定した。

後日
エギルに会いに行って話を聞いたところ、
ほとんどの人が私服で登校するらしい。
目立ちたくないのに、和服は俺一人という可能性がでてきた。

次は自分で勝手に決めよう、
そう固く決意するレンだった。

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