さあ、始めようか

きくりうむ

奴隷

あの女の子に言われたとおり広場まで行き、すぐに奴隷商と思われる建物を見つけた。

 建物の大きさは意外に大きく、冒険者ギルドよりはあるんじゃないかと思う。
 まぁ、この中に何十何百という奴隷がいるのならこの大きさもわかるが…

 奴隷商のドアを開ける。
 すると中から、少し太った男がいた。
 そいつは俺に気づくと一瞬怪訝そうな顔をしたが、すぐに営業スマイルを向けこちらにやってきた。

 「いらっしゃいませ。本日はどのような奴隷をご希望ですか?」

 「獣人の奴隷はいるか?」

 「もちろんでございます。性別はどちらで?」

 「女だ」

 「わかりました。それでは私について来てください。ご案内します」

 奴隷商の男の後についていく。
 廊下を進み下へと続く階段へ下りていく。

 あの大きさで地下まであるのか…と驚く。

 男は途中にある道に目も向けずずんずんと前に階段を下りていく。
 一番下までついたのか、目の前に頑丈そうな扉が現れた。
 男はズボンのポケットをゴソゴソとあさり鍵を取り出した。

 「こちらでございます」

 がちゃり…と、音を立てて扉の鍵が開いた。
 男の後に続き中に入る。
 中には、幾つか檻があり、一番手前の檻だけでも、いろんな種類の獣人がいた。
 そして、檻の外には見張りらしき人間が数人居る。

 「手前から5〜10、11〜15、16〜20、と、5歳ずつ上がって行きます」

 (5歳…か。随分低いのからいるな)

 「見せてもらうぞ」

 「どうぞどうぞ」

 俺は手前から順に見て行った。
 檻の中の奴らはみんな簡単な白い布の服しか来ていない。
 いや、服というのかも微妙だ。
 しかも、全員が痩せ細ってて、ろくに食事などしていないのだろう。

 とりあえず適当に見て、俺はどれがいいか悩んでいると、ピロン♪ と、頭に響いてきた。

 <5歳から10歳コーナーにある、髪が薄茶色の猫耳の女の子にすべきです。その女の子だけ、固有スキルを持っています>

 (固有スキル? だと…?)

 俺はピロンさんの話しに出てきた女の子のところに行く。
 見つけづらかったが、その子は、檻の奥にいて体育座りをして座っていた。
 その子もほとんど食べてないのか痩せ細っている。
 だが、結構なほど可愛らしかった。

 どんな固有スキルなのかピロンさんに聞いて見たが分からないという。
 俺は何故と問いたが、この子の固有スキル欄にはスキルがあるにはあるが、“不明”と出ているらしい。

 この“不明”というのは、固有スキルはあるが、まだ発動するための経験が足りないか、スキルを発動するための体の作りがまだ出来ていないか…等の理由があるらしい。
 まあ、簡単に言うと、発動するにはまだ早すぎる、ということだ。

 固有スキル自体この世界では貴重だ。
 まだどんなスキルなのかわからないが、手元に置いておいてもいいかもしれない。
 俺も気に入ったし、ピロンさんもあの子を買えと言っていたから、あの子にしようと思う。

 「あの子は、金貨5枚という値段になっております」

 男に値段を聞くと金貨5枚と出たが全然余裕なので購入することに決めた。

 「よし、ならあの女の子を買おう」

 「かしこまりました。それでは手続きをするのでついて来てください」

 さっき通った階段を今度は登り、地下から出る。
 そして、今度は別の部屋へと移された。

 そこは、真ん中にテーブルが一つ、迎え合わせにイスが一つずつ置かれている。
 男に言われイスにすわり、俺が座った後、男は1度出てすぐに戻ってきた。
 そして、俺に何らかの紙を渡す。

 「契約書でございます。読んだ後、下にご自身のお名前をお書きください。それで、正式にあなた様はさっきの奴隷の主人になります」

 そう言ってきたので、紙の内容を軽く読み下に名前を書く。
 さすがに契約書に偽名はあれなので本命を書く。
 書き終わった紙を男に渡す。

「はい、確かに受け取りました。それではレイコウ様、手続きはこちらで終わりですので、入り口にへと戻ります。こちらへ」

 男の後に続き部屋から出る。
 入り口に戻ると、すでに俺が買った奴隷が立っていた。

 俺がやってくると女の子は少し辛そうにしながらも俺のところにやってきて、頭を下げた。

 「ほ、本日はお買い上げいただきありがとうございます」

「…さて、最後にレイコウ様にはこの首輪を渡します」

 そう言って、渡されたのは黒い首輪だった。
 俺はそれを受け取るとアイテムボックスへと放り込む。

「あ、アイテムボックス持ちでしたか…」

 「もう行っていいか?」

 男は驚いたように言ったが俺はそれを無視し言う。

 「い、いえ、奴隷には奴隷と見分けるために首輪をしなければならない規則となっておりますので、さっき渡した首輪をつけていただきたいのですが?」

 「…ふむ、そうなのか」

 俺は、さっきしまった首輪を取り出すと、女の子に首輪をはめようと思ったが、やめた。

 (日本で、首輪とか見たこともないのに、いきなり、こんなちゃんとした首輪をつけると言われても、付け方なんてわからねぇー)

 という理由だ。

 「どうかされましたか?」

「…いや、これをつけるのは、後でもいいか?」

 付け方がわからないと言うのも嫌なので、後でいいか、男に聞く。
 そして男は、「ちゃんとつけるなら大丈夫です」と言った。

 そして俺は再度首輪をアイテムボックスに放り投げ、今度こそ店から出て行く。
 女の子も少しふらついているがちゃんと俺の後について来る。

 店を出た後、とりあえずこの子の服を買うため服屋に行くことにした。

 (飯は…途中何か買えばいいか)

 そう考え、俺は女の子の手を握り歩き出す。
 人混みではぐれる可能性があるからな。
 女の子は「あ…」と、言ったがとりあえず無視して歩く。

 途中にさっきのお店とは違う串焼きを売っている店があったので、5つほど買う。

 「ほら」

 「え…?」

 俺が串焼きの1本を出すと女の子はそれをみて固まった。

 「早く受け取って食べろ。腹、減ってんだろう?」

 「あ…はい…」

 俺がそう言うと女の子は少し躊躇ったが、ちゃんと返事をして食べ…始めなかった。

 「何故食べない?」

 「え…えと、私は奴隷ですので…その…あの…こんなちゃんとした食べ物を食べる資格が…ないの…です」

 女の子は、顔を俯かせてしまったが、目は手に持っている焼き鳥に釘付けだった。

 (…なるほど。これが奴隷か)

 「…なら、命令だ。その焼き鳥をさっさと食べろ。いいな?」

 「!?…あ…は、はい……!」

 俺が、命令、と言うと女の子は、少し嬉しそうにしながら食べ始める。

 何分か後にやっと食べ終わったので服屋に目指し歩き出す。

 服屋を見つけ入ると女の子に服と下着を好きなのを持ってきていいよう言う。

 さっきと同じで躊躇っていたが、俺が、命令、と言うと困惑しながら、見に行った。

 「あ、あの、持ってきました…」

 約3分後、両手に一つの薄ピンク色の下着と、薄緑色のした、ワンピースを持っていた。

 1着だけで足りるのかと思ったが、浄化に清掃があるから、1着だけでも大丈夫だろうと思いそのままレジへと行く。

 「3200ジルになります」

 ジルとは、この世界の通過の事だ。
 俺は、銅貨3枚に小銅貨2枚を渡す。
 店員は服と下着を何の柄もないシンプルな紙袋に入れ俺に渡す。

 (この世界にも紙袋あるんだな...)

 俺はそんな事を思いながら店を出る。
 紙袋は出るときアイテムボックスの中にしまった。

 俺はもうここに用はないので帰ることにする。
 女の子…と言うのはもう面倒だから名前聞くか。

 「お前名前は?」

 「あ、えと、スフィアです」

 「じゃあ、スフィア。今から帰るからちゃんとついて来いよ」

 「は、はい!」

 スフィアは元気に返事をし、俺はスフィアの手を掴む。
 スフィアはまた「あ...」とか言ってたが無視する。
 そして俺達はこの国から出るため最初通ってきた門を目指して歩き出した。




名前:レイコウ・カミヤ LV.6
 種族:人族
 性別:男
 年齢:15

 体力:51000
 魔力:51000
 筋力:51000
 敏捷:51000
 耐性:51000

 称号:【異世界人】【下克上】

 固有スキル:【スキル一覧】【全属性適正】【神の力】【武具創造】

 スキル:【剣術LV.MAX】【解体LV.MAX】NEW【火魔法LV.MAX】【水魔法LV.MAX】【風魔法LV.MAX】【土魔法LV.MAX】【氷魔法LV.MAX】【雷魔法LV.MAX】【光魔法LV.MAX】【闇魔法LV.MAX】
【アイテムボックス

 適正属性:【全属性】

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