人間から(堕天使の)スキルになりました!?

雨夜

謁見と再会って…?

鳥の鳴き声が聞こえ扉の方からロルジの気配を感じ眠い目をこすりながらベッドから降りる。
ロルジを中に入れ、顔を洗って目を覚ました後、着替えながら勇者達の事を聞いた。


「そうですね…やはり、まだ子供で朝を起きられない者が多く学校や訓練の方は午後からとなっております」
「午後から…か。それでよく僕達を倒す気でいるんだ…?この国の王は何もしていないのか?」
「ハヤト様の元クラスメイト達には勇者としての力があるから負けるはずがない、と慢心しているのですよ。昨夜も王はオタノシミだった様ですし…あ、一部の勇者もでしたね」
「・・・」


それを聞いて僕は心の底から呆れ返った。
恐らくクラスメイトの奴らは自分の好みなメイドや騎士を部屋に招き入れているんだろう。その後の展開は…分かりきっている。


「本当、アイツらのその欲をぶっ潰してやりたい」
「同意見です…が、ハヤト様を連れて来て下さったあの4人は違いますよ」


ロルジ曰く、愛莉、幸音、椎斗、新倉はいつも朝は軽く鍛錬しているらしい。
3人はわかるが新倉は恐らく、他の奴らを率いる為にやっているのだろうな…無駄な行為になってるみたいだが。


「…アイツらは確実に強くなっているが最後の階のボスは倒せないだろうな。あ、ジャム取って」
「どうぞ。…それは何故ですか?」
「それはれふぇる…」


食べながらシェンさんから聞いた話を話そうとしたら睨まれたから急いで牛乳を飲んで流し込んだ。
モルテさんもそうだがロルジもテーブルマナーにうるさい。会話しながらの食事は許してくれるが口の中にいれた状態で喋ったら……新しい記憶ではリブロさんと食べながら会話してたら二人揃ってかなり高い所から落とされたな…。


「50階層にはLv100のボスが待ち構えている」
「100…それは、この国の勇者では無理ですね。過去の勇者か…ハヤト様でなければ」
「僕は嫌だぞ、どんなボスかわからないし…マスターの許可無く消していいものでは無い!ダンジョンの魔物達も僕達の仲間だからな」
「その為、ベンダ様が一声かければダンジョン付近に住む平和ボケしている人間達は一掃出来ますし」
「いや、それは僕も思ったけど……ごちそうさまでした!」


僕とロルジは王女と騎士の気配を感じ僕は子供らしく元気よく挨拶をしロルジに「お姉ちゃん達はどこにいるの?」とか「お兄ちゃんは魔法使えるの?」とか子供なら純粋に聞くような疑問を沢山聞く。
ロルジは「それはお答えできません」とか「人並み程度には」とか…素っ気ない?感じで答える。

すると、扉が開けられ王女と騎士2名が入ってきた…。いや、ノックしろよ!マナーがなってねぇな!!


「おはようございます、ハヤト君」
「お、おはようございます!ミルカ王女様!」
「フフ、可愛いわ。元気そうで良かった」
「あ、あの…僕になにか…えっと、ごようですか?」


僕がそう聞くと王女の目が一瞬だけ獲物を狩るようなそんな目になっていた。


「……えぇ、実はお父様が貴方に会って聞きたい事があるそうなのよ」
「こ、国王陛下が…僕に聞きたいこと、ですか?」
「会ってくださると嬉しいわ」


どうかしら?なんて聞いてきたけど断ったりしたら適当な理由をつけて切るつもりだな。それにこの国の王が気になるから会ってみるか…。


「僕もこの凄い(欲望に溢れてる)国の王様にお会いしたいです!」
「まあ、ありがとう。それじゃあ、早速行きましょう」


王女は僕の腕を掴んで引っ張りながら歩く。
ちょ、子供と大人の足幅を考えろ!!僕、駆け足になってる事気付いてくれないかな!?

しばらく歩き、謁見の間に到着。人に会わなかったからなのか早く着いたように感じる。


「良い?王様の前でくれぐれも失礼の無いように、ね?」
「はい!分かりました!」
「良いお返事ありがとう。……ミルカです、お父様。例の子を連れてきました」


ゆっくり開かれて行く扉。
僕は無意識に背筋を伸ばした。緊張するとかそんなんじゃない、今からやる事は敵を見定める事が重要だ!
王様が僕に何を聞きたいのかも気になるからね。







そう思っていた時期が、僕にもありました。
跪いて頭を下げているけど……いや、どこの悪貴族!?めちゃくちゃ脂肪があって体型が達磨かな!?しかも、凄い酒臭い!!後、昼間から女性を侍らかせてるんじゃねえよ!!


「フン、こんな餓鬼が本当に役に立つのか?ミルカ」
「ええ、お父様。生まれた国はあの魔王が居る国ですが何も知らなそうですの」
「それなら勇者達が通っている学校に通わせておけ。勇者の雑用にはなるだろう」
「分かりましたわ、ロルジに手続きするよう伝えて勇者様が住む寮に案内させますね」


一言二言、と言った感じで話が終わり僕は王女に腕を強く引かれて引き摺られるように謁見室を出る。
…聞きたい事って、口実だったのか…。


「ロルジ、この子を勇者様達がいる学校に通わせるわ。手続きをして案内の方をして頂戴」
「畏まりました、どうぞこちらへ」
「うん、ミルカ王女様ありがとうございます!」


元気良くお礼を言ってロルジと共に部屋に荷物を取り別荘……いや、城の庭にある屋敷を出て城外へ。


「……たくっ、あの王酒臭いし脂でギトギトしてそうだしでマスターの手を汚しそうだな…」
「その時は私が手を下します」
「いや、僕がやる。…僕の手だけまだ綺麗だからな…」


僕がそう言うとロルジは僕の頭を撫でて来たから睨んだ…て、おい鼻を抑えんな。

…本当に謎だ。マスターもリブロ達も…僕は睨んでるつもりなのに毎回天を仰いだり「可愛いなぁ」とか言って頭を撫でて来る。
……いったい僕の何処が可愛いんだ。


「申し訳ありません、少々取り乱しました。
…さて、ハヤト様が行く学校ですが幾つか注意点が御座います」
「注意点?」
「はい、それは━━━━━…」








「あ、来た来た!こっちだよ、ハヤト君!」
「幸音お姉ちゃん!」


僕は子供らしく駆け寄り幸音に抱き着く。
…というか自分は子供って言い聞かせないと恥ずかしくて死ぬ。


「王女様から聞いたわ、これから私達と一緒の学校に通うって」
「うん、色々教えてもらうかもしれないけどよろしくお願いします」
「畏まらなくていいと思うよ、私もこっちに来てから敬語無しでいるからね!」
「えっと…愛莉お姉ちゃん…?」
「うん、そうだよ。この子、頭良いね幸音お姉ちゃん」
「名前が覚えるのが得意なのかしら?」


幸音と愛莉が色々話してるのを聞き流しながらロルジに言われた注意点を思い出す。
それは……



□■□■□■



『時間厳守や私闘禁止等ありますが…勇者に関連するルールもあります』
『勇者に?……嫌なルールだと思うのは気の所為か?』
『気の所為ではありません。
ハヤト様に注意して特に欲しいのは…二つあります。
一つ、勇者の言う事は王族と同等であり逆らう者は刑に処す。
二つ、勇者に決闘を申込み負けた者は国外追放。
この二つを守ってください。私も出来る限りサポートは致しますが…』


指を二本立てて申し訳ない程度な笑みを浮かべたロルジに僕は首を振る。


『…僕の力がどこまで通用するのか確認したいから良い。何かあったら手を貸して』
『畏まりました。……勇者様が来たので私はこれで』


□■□■□■□■


「着いたよ、ここが食堂。皆が集まってるんだ」
「!!わ、わー、楽しみ!!」


気を付ける事を思い出してる間に食堂前に着いていて驚いたがすぐに子供らしく目を輝かせながら言う。

開かれた扉の先ではグループで固まって会話していたであろう元クラスメイト達が、好奇心といった感じでこちらを見てきた。
もちろん、魔人である僕への敵対心、警戒心の目もある。
僕はそれを気にしないように前に出た。



「明日からお兄ちゃん達とお姉ちゃん達と学校に通う事になったハヤトです!
よろしくお願いします、勇者の皆様!」


そう、短い間だけどよろしく頼むよ?
どうせならスキルとかを見せてそのまま自滅してくれって言いたいけど言わない。大人だから!

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